健保金の激減
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/22 18:20 UTC 版)
「日本ボクシングコミッションにおける健保金問題」の記事における「健保金の激減」の解説
2008年度の健康基金取崩益は約5400万円で、これを基に各年度財務諸表の健康管理収入と健康管理費から算出すると2014年度の健保金残高は約1億1900万円となるが、JBCが協会に提示した資料ではその残高が2014年末に約5700万円となっている。2013年6月末までは約1億円が維持されていたが、半年後の同年末には6000万円弱まで激減していたことが確認されており、2014年にはJBCが1月現在の健保金残高とする5906万5905円を協会主導で三菱東京UFJ銀行神保町支店に設けた専用口座に移した。(同月6日には、2013年12月20日に後楽園ホールで試合をした後に急性硬膜下血腫で開頭手術を受けて危篤状態だった選手が死亡している。)この健保金残高について、JBCは次のように説明している。 [略]協議により、これまでの当財団が収受した健康管理金及び健康管理見舞金収入の総額から、収受した期間に必要となった治療費支出、医師委託料、人件費、会議費、消耗品費等の経費の総額を差し引き、その残額に繰越金相当額を加減することによって、平成25年度末(12月31日)時点での健康管理金及び健康管理見舞金相当残高が、5906万5905円である事を相互に確認しました([ママ]このことは、当財団から日本プロボクシング協会宛の平成26年12月8日付「健康管理見舞金に関して」と題する書面にも記載いたしました。 — 日本ボクシングコミッション、健康管理見舞金、ならびに安河内剛氏に関してのご説明 Y2は2015年に「健康管理見舞金からは、治療費以外の支出はしない」と約束し、協会は同年、健保金運用のための必要経費として専用口座からの払い出し手数料228万円を支払っている。しかし協会には報告すらされなかった治療費以外の支出があり、残高は2015年10月7日には約3100万円まで減少。2016年6月20日には協会会長の渡辺均(ワタナベボクシングジム会長)と同副会長で事業局長の金平桂一郎(協栄ボクシングジム会長)がJBC統括本部長のY3を問い質し、専用口座の残高証明が2242万円になっていたことを確認した。金平が補填できるのかと問うと、Y3らは「ウーンと唸ったまま」だったという。この日、協会側は、Y3の「善処します」という言葉を信じることにして協議を終えたが、Y3は同年9月、『週刊朝日』記者の亀井洋志の取材に対して、この言葉は「記憶にありません」と回答している。 JBCは「現代ビジネス」記者の藤岡雅の取材に対しては健保金の残高を「2557万円」と答え、「『[残高が約]2200万円となった』と回答したことはない」「健康管理見舞金の基金は存在しておりません」と説明。Y3名義の書面で「近年、和解金など一時金が必要になった関係で支出が増加しましたが、あくまでも臨時の支出でありますので、恒常的に著しい財務の悪化は認められません」「健康管理見舞金は適切に管理しており、ずさんに管理しているなどの事実は一切ありません」と主張し、危機感の希薄さと状況把握の甘さを露呈している。Y3はさらに亀井の取材に対して「健保金を一般会計に入れた時点で、『基金』という概念はなくなり、健保金の『相当額』と呼んでいます。専用口座も存在しません。協会の一部の方[会長および副会長]が確認した口座の残高がたまたま2242万円になっていただけで、健保金の相当額は、会計上は4千万円以上あることを説明しました。」と健保金専用口座の存在自体までも否定している。 藤岡によれば、健保金については、Y2名義の2015年7月17日付協会宛て書面で「健康管理見舞金の基金が問題なく維持されている」とするなど、JBC自身が2015年まで協会に「基金」として説明し、協会も字義通りに理解しており、両者が使途の限られた基金とする共通認識のもとで交渉してきたことが認められるのであり、口座を存在しないものとする主張は、Y6名義の2014年1月20日付協会宛て書面における「今後、年度毎に健康管理見舞金の収支差額を同口座において管理させて頂きます」との約束に反するものである。藤岡は[Y2]についてボクシング界を理解しようとしない姿勢、[Y3]について事務処理能力の不足を指摘した上で、健保金に関する取材を通じて得た印象を次のように記している。 彼ら[Y2・Y3・JBCの顧問弁護士]は誰一人として健保金の性質や実態を理解せずに、協会に説明、交渉を続けていたのである。繰り返しになるが、現在のボクシング界の混乱を招いた大きな要因の一つは[Y2]理事長、[Y3]統括本部長の杜撰な運営と、ライセンス承認権を盾に協会や加盟団体に見せる強権的で一方的な態度にあることを筆者は指摘しておきたい。しかし2人がこのことに気が付く様子はここに至ってもなお、全くないのである。 — 藤岡雅、日本ボクシング界最大の危機!? ジムと運営組織が「全面戦争」へ 亀井は「[Y3]氏は取材に対し、健保金相当額は今年[2016年]8月31日時点で約4700万円あると語ったが、その根拠を示せなかったからこそ、金平氏らの納得が得られなかったのではないか」と指摘している。JBCとしては他の収入から健保金の欠損分を補填しながら、健保金残高相当額を選手の治療費に当てていくものとしているが、健保金を含めた2015年度の正味財産合計が実質的に約6300万円しか残されていないのは上述の通りである。
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