事業費配分
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/25 15:58 UTC 版)
経済学者の円居総一は「大半の地方自治体は、ダム・道路、そして原子力発電所の立地などによる公共事業に依存してきたのが実態であり、それが日本経済の構造的弱点であった」と指摘している。 岩田規久男は「住民が政治活動を通じ、自己負担無しの公共事業を求める行為は、レント・シーキングである」「ある特定の地域に公共事業が割り当てられ、その地域住民が公共事業の費用を負担しないのであれば、利益だけを享受できる。負担なしに得られた利益は、競争的市場では得られない超過利益であり公共事業によるレントである」と指摘している。岩田は「公共事業の地元誘致によって、最も利益を享受するのは地元の建設業者である」と指摘している。 飯田泰之は「財政政策を効かせるポイントは、いかに金を使う人にまわすかにある。公共事業にまわしても、地方の土建業者は借金でぎりぎりであるため、金を返して終了というのがほとんどである」と指摘している。 県民一人当たり公共投資額をみると、多い順に島根県79万円、高知県67万円、徳島県65万円となっており、最も少ないのは神奈川県20万円となっている(2002年時点)。 みずほ総合研究所は「各都道府県で面積・社会資本の整備状況が違うため、単純比較はできない。公共投資自体が、景気調整機能と所得再分配機能を一部担っているため、地域間で格差があることは仕方ない面もある」と指摘している。 池田信夫は「公共事業は、大都市・地方中核都市に重点的に配分すべきである。地方都市は、自然環境を保護することに予算を使うべきである」と指摘している。 経済学者の竹森俊平は「現在(2014年)でも生産性の高い経済的にメリットのある公共事業のプロジェクトはまだ存在する。例えば、首都圏の交通混雑を解消するための公共事業などは、明白にメリットが存在する。有益なプロジェクトが大都市にはいくらでもあるのに、公共事業は地方で集中的に実施される。それは公共投資の大都市圏と地方圏への配分の違いで明確に表れている。政治プロセスの歪みによる弊害である。日本では人の住むところではなく、住まないところにも橋・道路・コンサートホールがつくられる。これでは公共事業は無意味という評価が定着してもおかしくない」と指摘している。 円居総一は「原子力発電は、保護政策と相まって、巨大なビジネス・公共事業として推進されてきた」と指摘している。円居は「地方自治体が原子力発電依存に陥っていった要因は、産業基盤の弱体化にある」と指摘している。
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