上告棄却判決
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/08 08:43 UTC 版)
同年11月29日に上告審判決公判が開かれ、最高裁第二小法廷(福田博裁判長)は原判決(無期懲役)を支持して検察官の上告を棄却する判決(以下「福田判決」)を言い渡した。「福田判決」は、検察官の上告趣意を「判例違反をいう点を含め、実質は量刑不当の主張であって、適法な上告理由に当たらない。」と退けた一方、被告人Oの量刑について職権により判断し、死刑適用基準(永山基準)を示した最高裁第二小法廷の判決(1983年7月8日)を引用して「殺害された被害者が一名の事案においても、(『永山基準』にて、死刑を選択すべきか判断する際に考慮すべきものとして示された)諸般の情状を考慮して、極刑がやむを得ないと認められる場合があることはいうまでもない。」と指摘した。 その上で、「福田判決」は「極めて卑劣かつ自己中心的な動機に基づく犯行で、殺害の手段・方法も非常に執拗かつ残虐な点に照らせば、被告人Oの刑事責任は極めて重い。また、前科(強姦致傷など)や本件強盗強姦の犯行から窺える被告人Oの犯罪性(特に性犯罪への親近性)には顕著なものがある」と指摘し、第一審判決が死刑を選択したことについて「首肯し得ないではない」と理解を示した。しかしその一方で、「強盗強姦は計画的犯行であったが、殺人については事前に周到に計画されたものとは言い難い。また、被告人Oが安易に被害者を殺害したことは否定できないが、それまでに他人の殺害や重大な傷害を目的とした犯行はなく、その種の犯罪への傾向は顕著とはいえない」と指摘し、「死刑を選択すべきか判断する際に考慮すべき諸事情を全般的に検討すると、被告人Oに無期懲役を言い渡した原判決を破棄しなければ著しく正義に反するとまでは認められない」と結論づけた。 結局、「連続上告」5事件のうち、本事件を含む4事件(福山事件を除く)はいずれも最高裁で上告棄却の結論が出された。一方、唯一上告が容れられた福山事件については、同年12月10日に同小法廷(河合伸一裁判長)で原判決破棄・差戻判決が言い渡された。
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