レース展開など
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/12 03:06 UTC 版)
レースはスタートからトウショウボーイが逃げるが、すぐに馬体を合わせかわすテンポイント、更に抜き返すトウショウボーイ、そしてまたテンポイントが抜き返すという前代未聞のマッチレースを展開。互いに先頭を譲らず、人馬ともに互いをライバルと認め合い、互いに負けられないと言う気骨がこの名勝負を生み出したといえる。そして最後の直線でも激しい叩き合いを続けるTT両馬をピッタリとマークし、一気に猛追するグリーングラス。3頭がなだれこむようにゴール版を通過する中、先頭でゴール板を駆け抜けたのはテンポイントだった。トウショウボーイはグリーングラスを半馬身なんとか抑えきっての2着。最終的にTT両馬にグリーングラスがわずかに詰め寄ったのみで、他の馬たちは全て蚊帳の外という凄まじいレース内容であった。 このレースでテンポイントは初めて宿敵・トウショウボーイを打ち負かした。この名勝負を振り返りトウショウボーイに騎乗していた武邦彦、テンポイントに騎乗していた鹿戸明の両騎手は「レースに負けてもいいから相手に勝つ事しか考えていなかった」と同じ旨のコメントを残している。 上位3頭と、4着のこの年の菊花賞優勝馬プレストウコウの間には6馬身もの差が開いていた。このことからもこのTTG3頭の実力が他馬に比べて突出していたことが伺える。このレースを有馬記念ベストレースはもとより、日本競馬の白眉として史上最高のレースに推す競馬ファンは今も少なくない。また、「あなたの、そして私の夢が走っています」、「中山の直線を!中山の直線を流星が走りました!テンポイントです!」という杉本清の実況の一節も共に競馬史上に残る名文句として語り継がれている。ただし、この実況は関西テレビがテンポイントの特番を作成するために特別に収録したもので、杉本は実況席ではなく、スタンドにロープで区切りを作ってその中で実況をおこなったという。この特番はその後の悲劇によって形を変えたものの、「もし朝が来たら〜テンポイント物語」というタイトルでビデオ化されており、杉本の実況も聞くことができる。また、先述したように杉本による実況はあくまで企画ものとしての録音であるので、一般にはフジテレビ盛山毅アナウンサーによる「テンポイント力で、トウショウボーイを、そしてグリーングラスをねじ伏せました!」という実況も広く知られている。
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