ユーロへの完全移行
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 00:15 UTC 版)
2001年9月のアメリカ同時多発テロ事件を受けて、EU内に手形交換所が設立された。このころからドイツではいわゆる「フロントローディング方式」の枠組みでユーロが民間銀行に配付された。また銀行ではドイツマルクを回収してユーロを供給することで切り替え作業を進めていった。2001年12月17日からはドイツ国内の銀行で各種のユーロ硬貨が入ったスターターキットの販売が開始された。このスターターキットには合計10.23ユーロ(20.0081409マルク相当)の20枚の硬貨が入っていたが、販売価格は20マルクであり、切り捨てられた小数点以下の部分は国庫が負担した。オーストリアのスターターキットでは合計14.54ユーロの33枚のユーロ硬貨が200シリングで販売された。通常の現金、特に紙幣の流通は2002年1月1日から開始された。 ドイツではドイツ連邦銀行の各支店でドイツマルクをユーロに交換することができる。また特例的に一部の商店では代金支払の際にドイツマルクで受け取っている。 このようにユーロへの交換は簡易かつ費用負担がかからないにもかかわらず、2005年5月の時点で37億2,000万ユーロ相当のドイツマルク硬貨(2000年12月の発行量のおよそ46%)が流通していた。また紙幣についても39億4,000万ユーロが交換されないままでいた。この推定はドイツ連邦銀行によるものであるが、ほとんどの硬貨や紙幣は紛失または破損したものと見られている。 ユーロを導入した国ではそれぞれで、2002年の2月あるいは6月までを移行期間として代金の支払にユーロか旧通貨の使用が認められ、移行期間後は旧通貨の法的効力は消滅した。ただし、ほとんどの旧通貨は各国の中央銀行でユーロと交換することができる。 ユーロ導入国では旧通貨の取り扱いについてそれぞれの国で異なっている。ドイツではドイツマルクの紙幣および硬貨を、無期限・無手数料でユーロに交換することができる。ドイツ以外でもオーストリア、スペイン、アイルランド、エストニア、ラトビアにおいても同様で、それぞれの国の旧通貨とユーロとを交換することができる。ベルギー、ルクセンブルク、スロベニアではそれぞれの旧通貨の紙幣のみ、無期限でユーロとの交換ができる。これら以外の国ではそれぞれの旧通貨とユーロとの交換には期限が定められている。 ポルトガル・エスクード硬貨、フランス・フラン硬貨、ベルギーおよびルクセンブルク・フラン硬貨、オランダ・ギルダー硬貨、ギリシャ・ドラクマ硬貨は交換不能となっている。
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