プロレスにおいて
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/08 00:18 UTC 版)
アントニオ猪木は格闘技ブームの影響から、キャリア後期にはフィニッシュ・ホールドとして使用するようになった。 格闘技においては脱出不可能といわれる裸絞だが、プロレスの場合はロープブレイク、タッグパートナーのカットなどにより脱出できる場合もある。 2016年のG1 CLIMAX優勝決定戦では、後藤洋央紀にスリーパー・ホールドをかけられたケニー・オメガが、技をかけられた状態のままコーナーをよじ登り、コーナー最上段から背中向きに飛び降りて後藤を自身の体ごとリンクに叩きつけるという荒技を披露している。 多くのプロレス団体において、前腕でも気管を圧迫する行為は反則、とされており、「チョーク」と呼ばれ、反則裁定なしなどの気管を圧迫するリア・ネイキッド・チョークは特別ルールでない限り決め技となることは少ない。 パンクラスが旗上げ時にこのルールに反し、この気管を圧迫する絞め技を解禁した。柔道、修斗、空道、ブラジリアン柔術、柔術ファイティングシステム、などの格闘技ではこのような絞め技は認められており、中学生柔道でも使用できるそう危険ではない技であった。このような絞め技が禁止されているのは絞め技が認められている格闘技ではプロレスぐらいしかなかった。しかしながら、柔道母国でありながら日本のプロレス界ではセンセーショナルにあつかわれた。プロレスは一般にもっと危険な技だとされる首関節技が認められており、不条理な状況だが、前田日明はこのパンクラスの騒動を受けて、本来はプロレスで禁止されているのは多くの格闘技で禁止されている指での喉への攻撃でレスラー達が前腕が喉に入っただけで「チョーク!チョーク!」とアピールしてたら前腕で喉を絞めても反則になってしまったんだ、と語った。ロープエスケープが足首をロープを超えないで爪先だけロープを超えても成り立つようになったようになし崩し的にルールが変わっていくのはプロレスではよくあることである。しかし、前田はこのパンクラスのような改善をUWFでは行わなかった。1980年11月20日発効の日本プロレスリング・コミッション認定プロレスリング競技規約でも前腕で喉を絞める絞め技は反則にはなっていない。この規約は新日本プロレスと国際プロレス合意のもと制定された。両団体と日本以外のプロレス団体NWA、WWF、NWF、IWAで採用実施している競技規則を原則的方針とし両団体は厳格に遵守、服従しなければならない、としている。1969年の『週刊少年マガジン』誌プロレス反則技特集でも「チョーク」は手で喉を絞めること、とされており掲載イラストも前腕では絞めていない。 従来から合法であった主に頚動脈に重点をおいて絞め付けるリア・ネイキッド・チョークを「スリーパーホールド」と呼ぶのに加え、これを機に気管を重点的に絞め付け呼吸を妨げるリア・ネイキッド・チョークを「チョーク・スリーパー・ホールド」と呼ぶようになった。パンクラスは総合格闘技でもあったのでこの呼び方は日本の総合格闘技界にも広がっていった。 三沢光晴は「チョーク・スリーパーをかけられたら持ち上げて背中から体重をかけて叩きつければいい」という上記の通り、よほどの体格差がないと非現実的な脱出方法を述べている。一方で柔道でもこの方法を想定しており危険防止のため禁止されている。 プロレスでは主にスリーパー・ホールド (Sleeper Hold) の名称で用いられ、バーン・ガニア、マーク・ルーイン、ロディ・パイパー、鈴木みのる、オカダ・カズチカ、潮崎豪、中嶋勝彦らがフィニッシュ・ホールドとして使用していた。アドリアン・アドニスはグッドナイト・アイリーン (Goodnight Irene) 、ブルータス・ビーフケーキはバーバーズ・チェアー (Barber's Chair) の独自名称を用いた。
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