フーガホ短調
バッハ:フーガ ホ短調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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バッハ:フーガ ホ短調 | Fuge e-Moll BWV 945 |
作品解説
《アルマンドとクーラント》BWV838と同じ筆写資料によって伝えられる作品。疑作とされる。バッハの真作である可能性は閉ざされていないが、その証明はおそらくほとんど不可能である。
音楽様式からは一見して、真の作曲者が他にいるように思われる。主題は倚音を含む2度進行で開始し、オクターヴ跳躍を繰り返す。すでにフーガとしての展開可能性が期待できない主題造形である。それでも後半には16分音符で下行する新しい動機が主題と組み合わされて展開する。
全体の和声にもバッハ典型の巧みさはみられないが、各主題提示は大胆な進行によって終止に導かれる。素朴な主題そのものと相まって、どこか古風な響きのする作品である。
バッハ:フーガ ホ短調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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バッハ:フーガ ホ短調 | Fuge e-Moll BWV 956 |
作品解説
J. P. ケルナーの弟子が写した手稿譜を唯一の資料として伝えられる。ケルナーはバッハと同時代の人でバッハの作品をコレクションしていたのだが、その弟子の筆写となると、ケルナー自身の作である可能性がひじょうに高くなる。
しかし、全体にはバッハらしい特徴がいくつか見られる。まず、この種の摸続進行と同音連打を含む主題は、ヴァイマール時代以前によく用いたタイプである。また、3声の主題提示を一通り終えたのちは、主題提示のあいだに長い自由句が挿入される。これは、バッハの初期のフーガの特徴である。(《平均律クラヴィーア曲集》など中後期の様式では、主題提示はまとまって行なわれ、いわば主題グループを繋ぐように自由な展開部分が現れるようになる。)さらに、楽曲のほぼ中央、第35小節に平行長調へ転じる明確な完全終止がおかれる。フーガのなかに完全終止をおいて、フーガにシンメトリーを与える手法は、バッハが後年に確立する形式であるが、すでにここに萌芽がある。
摸続進行や3度の平進行のために単調で陳腐な響きとなってしまった部分は否めないが、半音階や巧みな和声進行も垣間見え、たとえ誰の作であったにせよ味わい深いフーガとなっている。
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