ダイレクトコンバージョン受信機の復活
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/27 06:10 UTC 版)
「ダイレクトコンバージョン受信機」の記事における「ダイレクトコンバージョン受信機の復活」の解説
1970〜1980年代に入るとポケットベルや携帯電話のような携帯できる高度な無線機器が作られるようになった。このような機器の小型化と低消費電力化のためには無線回路をIC化/LSI化する必要がある。当初このような無線機器の受信部にはスーパーヘテロダイン方式が用いられていたが、高周波増幅段のイメージ除去用フィルタや、中間周波段に使われるクリスタルフィルタ/SAWフィルタなどは特殊な高周波部品であるため高価でICへの搭載も難しかった。このような問題点を解決する方法として、中間周波段が無くイメージ除去用フィルタも不要なダイレクトコンバージョン方式が再び注目を浴びるようになった。 最初は構成が比較的単純で当時利用者も多かったポケットベルの受信用に使われた。イギリスのバンス(I. A. Vance)は1978年にダイレクトコンバージョン方式を使ったFSK受信回路の特許申請を行い、1982年にはその回路を応用したポケットベル用のワンチップ受信LSIについて発表を行った。ポケットベル用に使われる400MHz帯/800MHz帯の周波数でFSK方式のデジタル信号を受信することができるもので、ダイレクトコンバージョン方式を使うことで外付け部品を減らした。同様の技術で作られたスーパーヘテロダイン方式のポケットベル用LSIと外付け部品の点数を比較すると、1つの水晶振動子、2つの調整用コンデンサ、1つのSAWフィルタが不要で、ダイレクトコンバージョン方式の方が外付け部品が少なく小型化ができ消費電力も少なかった。その後も多くのポケットベル用受信LSIが発表された。 さらに1990年代に入るとGSMやDECTなど携帯電話用のダイレクトコンバージョン方式LSIの開発も行われるようになった。その後の技術の発達により、より通信速度が速い第三世代携帯電話(3G)にも採用されるなど、利用範囲が拡大している。
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