セガラン湖地区
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/26 00:36 UTC 版)
セガラン湖の区域は、その時代におけるタマン・サリの中心的複合体であった。この複合体は、セガラン(Segaran、人工の「海」〈ジャワ語: segara〉の意)と呼ばれる人工湖からなり、一部の建物が湖の中央に位置する人工の島にある。建物には水底トンネルによりつながる。王族が船によりタマン・サリの浴場に至る起点として使用された。今日セガラン湖は、水がなくなり、その湖底であった場所は今やヒトの入植により密集しており、もはや湖として見ることはできないが、水がなくなった後も地下には水底トンネルがいまだ現存し、行くことができる。 セガラン湖の中央にあった人工の島は、ケノンゴ島(ジャワ語: Pulo Kenongo、英: Kenongo Island)として知られる。その名はかつて島を取り巻いていたカナンガの木(尼: Kenanga〈学名: Cananga odorata〉)にちなんで付けられた。この島には現在廃墟となるゲドン・ケノンゴ(ジャワ語: Gedhong Kenongo、英: Kenongo building、gedhong は、煉瓦や石の「建物」の意)と呼ばれる3階建ての建物がある。 ケノンゴ島の南側には、タジュグ(インドネシア語版) (Tajug) と呼ばれる小さな建物が並ぶ。これらの建物はかつて湖の下に位置するトンネルの換気口として使用されていた。この1761年に構築されたトンネルは、船以外によってケノンゴ島に至る代替路であった。また、ケノンゴ島の南側には、セメティ島(ジャワ語: Pulo Cemethi)またはパネムブン島(ジャワ語: Pulo Panembung)と呼ばれるもう1つの人工島がある。それは1棟の構造物であり、スルタンが瞑想するため、あるいは襲撃時の王室の隠れ場所ともいわれる。この島はまたスムル・グマントゥン(Sumur Gumantung、「吊り下げる〈gumantung〉縦穴〈sumur〉」の意)とも呼ばれ、その名はこの島の南側にある地面の下の縦穴(井戸)による。この場所は水底トンネルを介してのみ行くことができた。セメティ島の構造物もまた、現在廃墟となっている。伝説によれは、宮殿にはニャイ・ロロ・キドゥル(英語版)(ラトゥ・キドゥル)という南方の女王が持つ宮殿のある南海(インド洋)をつなぐ秘密のトンネルがあるといわれる(キドゥル〈kidul〉は「南」の意)。この超自然的な女王は、何代にもわたるジョグジャカルタのスルタンの霊的な配偶者となっている。 ケノンゴ島の西側には、スムル・グムリン (Sumur Gumuling) と呼ばれるもう1つの2階建ての円形の構造物があり(ジャワ語: gumuling は「丸い」の意)、ここはかつて別の人工島を形成していた。この構造物の1階部分には、水底トンネルであった地下道より入ることができる。その建物ではスルタンが神に祈りを捧げたといわれ、モスクとして使用された。この建物の壁にある壁龕はミフラーブとして使われた。この構造物の中央部には4つの階段が交わる高架壇があり、その壇上より1本の階段が2階に延びている。この基壇の地上階にある小さな池は、イスラム教の清めの儀式(ウドゥ)のために使用された。
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