スペクトル解析
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/16 05:04 UTC 版)
上述したように、光や音や電磁波信号は様々な周波数の成分から構成されている。そのようなものから周波数毎の強さを定量的に求める処理をスペクトル解析(spectrum analysis)と呼ぶ。スペクトル解析は、信号の短時間の領域について行ったり、長期の領域で行ったりするし、何らかの関数(例えば sin ( t ) t {\displaystyle {\begin{matrix}{\frac {\sin(t)}{t}}\end{matrix}}\,} )について行ったりする。 関数のフーリエ変換によってスペクトルが生成され、逆変換によって元の関数が合成される。逆変換による再現を可能とするには、各周波数の強さ(振幅)だけでなく、位相を保持しなければならない。従って、各周波数の成分は2次元ベクトルまたは複素数で表されるか、大きさと位相(極座標系)で表される。図示する場合は、一般に大きさだけを示す。これをスペクトル密度とも呼ぶ。 逆変換が可能であるため、フーリエ変換は関数の表現の一種であり、時間の関数だったものを周波数の関数に変換したものと言える。これを周波数領域表現と呼ぶ。時間領域で適用可能な線形な操作(例えば2つの波形を重ね合わせる)は、周波数領域でも容易に行える。時間領域の(線形も非線形も含めた)各種操作の結果と、周波数領域でそれがどういう結果となるかを理解しておくと便利である。例えば、スペクトル上に新たな周波数成分が出現するのは、非線形な操作を行ったときだけである。 無作為な(確率論的)波形(例えばノイズ)のフーリエ変換結果も無作為的になる。周波数成分を明確化するには、何らかの平均化が必要となる。一般に、データを一定区間に分割し、それぞれの区間毎に変換を行う。そして、振幅成分(またはその二乗)の平均を計算する。これは、デジタイズされた時系列データでの離散フーリエ変換で一般的な手法である。結果が平坦な線になるとしたら、上述したようにそれがホワイトノイズと呼ばれるものである。
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