エクソンの定義: Fas受容体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/22 23:47 UTC 版)
「選択的スプライシング」の記事における「エクソンの定義: Fas受容体」の解説
Fas受容体の複数のアイソフォームは選択的スプライシングによって生み出される。ヒトで通常生じる2つのアイソフォームはエクソンスキッピング機構によって生み出される。エクソン6を含むmRNAは膜結合型のFas受容体をコードし、アポトーシスまたはプログラム細胞死を促進する。慢性的に日光に曝された皮膚細胞ではFas受容体の発現が上昇しているのに対し皮膚がん細胞では発現がみられないことは、ヒトではこの機構が前がん状態の細胞の除去に重要であることを示唆している。エクソン6がスキップされた場合、生じるmRNAは可溶性のFasタンパク質をコードし、これはアポトーシスを促進しない。エクソンが組み込まれるかスキップされるかは、TIA-1(英語版)とPTBという拮抗する2つのタンパク質に依存している。 pre-mRNAのエクソン6の下流のイントロンの5'供与部位はコンセンサス配列との間に弱い一致しかみられず、通常U1 snRNPは結合しない。U1が結合していないとき、エクソンはスキップされる(図のaを参照)。 ISEにTIA-1タンパク質が結合すると、U1 snRNPの結合が安定化される。その結果形成された5'供与部位の複合体はエクソンの上流の3'スプライス部位へのU2AFの結合を補助するが、その機構は不明である(bを参照)。 エクソン6はピリミジンに富むESS(ure6)を含んでおり、そこへPTBが結合する。PTBが結合した場合、PTBは5'供与部位複合体がU2AFの受容部位への結合に与える影響を阻害し、その結果エクソンはスキップされる(cを参照)。 この機構はスプライシングによってエクソンが定義される例である。通常スプライソソームはイントロンで組み立てられ、snRNPのサブユニットはイントロンの5'端と3'端が結合するようにRNAを折り畳む。しかし、このような近年研究されている例はエクソンの両端の相互作用も存在することを示している。このようなエクソンを定義する相互作用では、2つの近接するイントロンでスプライソソームが組み立てられる前にコアとなるスプライシング因子が結合することが必要である。
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