はっとり‐とほう〔‐トハウ〕【服部土芳】
服部土芳
はっとりとほう
服部半座衛門保英。伊賀藩藤堂家の武士。『野ざらし紀行』の旅のおり、東上の途についた芭蕉を追って水口まできて再会を果たし、蕉門に入る。この時、芭蕉は「命二つの中にいきたる桜かな」と感動的に詠んだ。芭蕉をひたすら慕い、元禄元年3月には、伊賀上野の南郊に草庵「蓑虫庵」をひらいた。30歳の若さで藤堂藩士引退し、以後俳諧一途の生涯を送った。享保15年、享年74歳を一期として没。『三冊子』、『蕉翁文集』、『 蕉翁句集』などの著者として、師の記録を後世に残すなど芭蕉亡き後、伊賀蕉門の第一人者になる。土芳の代表作
梅が香や砂利敷流す谷の奥(『猿蓑』)
棹鹿のかさなり臥る枯野かな(『猿蓑』)
おもしろう松笠もえよ薄月夜(『猿蓑』)
この比のおもはるゝ哉稲の秋(『猿蓑』)
梅が香や砂利しき流す谷の奥(『猿蓑』)
かげろふやほろほろ落る岸の砂(『猿蓑』)
荷鞍ふむ春のすゞめや縁の先(『猿蓑』)
むめちるや糸の光の日の匂ひ(『炭俵』)
近江路やすがひに立る鹿の長(『炭俵』)
鮎の子の心すさまじ瀧の音(『續猿蓑』)
黑ぼこの松のそだちやわか緑(『續猿蓑』)
鶯に橘見する羽ぶきかな(『續猿蓑』)
職人の帷子きたる夕すヾみ(『續猿蓑』)
明ぼのや稲づま戻る雲の端(『續猿蓑』)
冬梅のひとつふたつや鳥の聲(『續猿蓑』)
漸に寐所出來ぬ年の中(『續猿蓑』)
植竹に河風さむし道の端(『續猿蓑』)
月添ひてかなしさこぼる萩すすき
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