RIDE ON TIME (山下達郎のアルバム)
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『RIDE ON TIME』 | ||||
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山下達郎 の スタジオ・アルバム | ||||
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レーベル | AIR ⁄ RVC | |||
プロデュース | 山下達郎 | |||
チャート最高順位 | ||||
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山下達郎 アルバム 年表 | ||||
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『RIDE ON TIME』収録のシングル | ||||
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解説
アルバム『MOONGLOW』[注釈 1]のレコーディング中の1979年 夏、山下はオルガン・プレイヤー、ドン・ルイスの来日公演に参加した吉田美奈子から、同じく参加メンバーだった当時まだ22歳のドラマー青山純を紹介された[1]。青山は、佐藤博のグループ“ハイタイムス”[2]で共にメンバーだったベーシスト伊藤広規と、山下のバンドメンバー・オーディションを兼ねたセッションに参加することになった。青山によれば“とにかくじゃあまずこの曲をやってみよう”と山下から渡された譜面には「ついておいで」とタイトルが書かれていたという。青山は“この曲ならちょっとは知っているし、好きなドラム・パターンだし”と思いその曲に始まりその後、数曲のセッションを終えてもう終わりかと思う頃、山下はその後も次々と譜面を出してきたが、それでも伊藤と共に演奏できない曲はほとんど無かったので助かったという。そんな中、曲名は忘れたというが6/8拍子のおよそロックしかやっていないドラマーだと叩けないようなバラード曲の譜面を出してきた。後に青山は“きっと若造だった我々にはおそらく無かったであろう渋さを試してみようと、達郎氏も期待はそんなにしていなかっただろうと思っていた”というが、当時からその手の音楽が好きだったがゆえ、演奏経験の乏しさは否めないが二人とも何の抵抗も無く、青山は“気持ちいいなぁ”と思いながら演奏を終えた。その直後、山下からかなり怖い顔つきで“ねぇ君、青山君だっけ? あのさぁ、歳いくつなんだっけ?”との問いに“22歳ですけど、何か? まずいッスかねぇ?”と返すと、“何で今やったような曲のドラムも叩けんのよ、おかしいよ、その歳で!”と言われたという[3]。
雑多なパターンの曲を演奏したいという作家志向の強い山下は、それまでは多くのミュージシャンと演奏して来て、曲調に合わせてメンバーを使い分けてきた。スタジオではそれで十分でもライブ・ステージとなるとメンバーの選定によっては演奏できない曲調がどうしても出てしまったが、その点でどんなスタイルも自身の満足するグレードで演奏できるはじめてのコンビが青山純・伊藤広規だった。彼らとの出会いによって、ライブでの演奏レパートリーが飛躍的に増え、シュガー・ベイブ以来、自身の思い描いていたライブの理想パターンが初めて現実化する見込みが出てきた。結局その日のオーディションのようなセッションが一回行われた後、次回からはステージで演奏するためのリハーサルに突入した。彼等は1979年の暮れからライブの正式メンバーとなり、さらに年が明けてからはレコーディングのメンバーにもなっていった。こうして青山・伊藤の2人が、『GO AHEAD!』[注釈 2]からのメンバーである難波弘之と椎名和夫に合流し、ようやくレコーディングとライブを共通の固定メンバーで行えるようになった。練習スタジオでパターンを練り上げ、スタジオに持って行ってレコーディングを行うという作業もメンバーが固定したこの頃から始まり、様々なリズム・パターンを実践的に試みて曲作りに反映させる方法は、家で一人で考えるそれまでのやり方からは思いつかない多くのアイデアを生み出した。
同じ頃、『MOONGLOW』[注釈 1]のロング・セラーに気を良くしていたディレクター小杉理宇造はいよいよ勝負に出る時だと、山下自身がテレビ・コマーシャルに出るという企画のタイアップを取ってきた。CM作曲家としてはすでにある程度のキャリアがあった山下にとって、小杉が持ってきたそのプロジェクトのコピーライター・演出家・広告代理店のプロデューサーたちいずれともずっと以前から面識があり、そこをうまく突かれてオファーを承諾してしまった。そこから生まれたシングル「RIDE ON TIME」[注釈 3]は、山下にとって初のヒット曲となった。
シングル・ヒットを受けて制作が開始された本作は、音楽的な路線は前作『MOONGLOW』[注釈 1]の延長であるものの、一番の違いは制作予算だったとし、ヒットが出たことで売り上げが見込め、スタジオ代を気にせずに違うテイクやアレンジがトライできることが長年の夢で、それがこのときようやく実現できたという。それによってこの時期、数年前とは見違えるように曲が作れるようになったのだともしている。その反面、「RIDE ON TIME」[注釈 3]のヒット後に芸能メディアの酷悪さを垣間見たことから、その反動でこのアルバムは浮き足立ったりせず玄人受けする内容にするのだという意思が強く働いたという。その結果、出来上がった作品に対して当時近しい関係者からさえも“地味だ”などとずいぶん言われたが、今となればこの制作方針で正解だったとつくづく感じるという。山下のミュージシャン人生にとっての幸運は、もっとも大きな音楽的・商業的な転換時期に上り調子のミュージシャンとの出会いと彼らとの最良のコミュニケーションの中でレコーディングとライブを構築できたことだと思えるとしている。
パッケージ、アートワーク
初回盤LPはCM撮影時のスチール写真に、マクセルのロゴマークと「いい音しか残れない」のコピーが印刷された被せオビ仕様で発売された。
注釈
- ^ a b c 『MOONGLOW』 1979年10月21日 発売 AIR ⁄ RVC LP:AIR-8001
- ^ a b 『GO AHEAD!』 1978年12月20日 発売 RCA ⁄ RVC LP:RVL-8037
- ^ a b c d 「RIDE ON TIME」 1980年5月1日 発売 AIR ⁄ RVC 7":AIR-503
- ^ a b 「MY SUGAR BABE」 1980年10月21日 発売 AIR ⁄ RVC 7":RAS-501
- ^ 難波弘之『SENSE OF WONDER』 1979年9月21日 発売 KING LP:SKS(S)-1032
- ^ a b 『GREATEST HITS! OF TATSURO YAMASHITA』 1982年7月21日 発売 AIR ⁄ RVC LP:RAL-8803
- ^ 吉田美奈子『MONOCHROME』 1980年10月21日 発売 ALFA LP:ALR-28006
- ^ 『JOY –TATSURO YAMASHITA LIVE–』 1989年11月1日 発売 MOON ⁄ ALFA MOON 2CD:50MX-95/6
- ^ 吉田美奈子『LET'S DO IT -愛は思うまま-』 1978年10月25日 発売 ALFA LP:ALR-6011
- ^ 『PERFORMANCE 2002 RCA/AIR YEARS SPECIAL』 2002年3月2日 – 5月26日 、全33公演。
- ^ 『CIRCUS TOWN』 1976年12月25日 発売 RCA ⁄ RVC LP:RVL-8004
- ^ a b 『FOR YOU』 1982年1月21日 発売 AIR ⁄ RVC LP:RAL-8801
- ^ a b 『FOR YOU』 2023年5月3日 発売 AIR / Ariola Japan / Sony Music Labels Inc. LP:BVJL-90、CT:BVTL-2
- ^ 『MOONGLOW』 2023年7月5日 発売 AIR / Ariola Japan / Sony Music Labels Inc. LP:BVJL-92、CT:BVTL-4
- ^ 『GO AHEAD!』 2023年7月5日 発売 RCA / Ariola Japan / Sony Music Labels Inc. LP:BVJL-93、CT:BVTL-5
- ^ 『SPACY』 2023年8月2日 発売 RCA / Ariola Japan / Sony Music Labels Inc. LP:BVJL-94、CT:BVTL-6
- ^ 『CIRCUS TOWN』 2023年8月2日 発売 RCA / Ariola Japan / Sony Music Labels Inc. LP:BVJL-95、CT:BVTL-7
- ^ 『IT'S A POPPIN' TIME』 2023年9月6日 発売 RCA / Ariola Japan / Sony Music Labels Inc. LP:BVJL-96~97、CT:BVTL-8
- ^ 『GREATEST HITS! OF TATSURO YAMASHITA』 2023年9月6日 発売 AIR / Ariola Japan / Sony Music Labels Inc. LP:BVJL-98、CT:BVTL-9
出典
- ^ Roland Music Navi Vol. 88
- ^ HIROSHI SATO OFFICIAL SITE内“BIOGRAPHY”
- ^ “PERFORMANCE 2002 RCA ⁄ AIR YEARS SPECIAL”コンサート・プログラム収載「MESSAGE from band members (Since RCA/AIR Years)」
- ^ a b c d e f g h i j k l m n “ライド・オン・タイム - 山下達郎 - 4988017607336 : CD” (日本語). 楽天ブックス. 楽天株式会社. 2020年5月29日閲覧。
- ^ “山下達郎/RIDE ON TIME<完全生産限定盤//180g重量盤レコード>” (日本語). TOWER RECORDS ONLINE. タワーレコード株式会社. 2023年6月13日閲覧。
- ^ a b c “山下達郎、アルバム『RIDE ON TIME』TOP10入りでインターバル最長記録自己更新”. オリコン (2023年6月15日). 2023年6月16日閲覧。
- ^ a b c d “山下達郎、1976年~82年のアナログ盤&カセットを最新リマスターで発売”. 音楽ナタリー. 株式会社ナターシャ (2023年1月6日). 2023年6月13日閲覧。
- ^ “TATSURO YAMASHITA RCA/AIR YEARS Vinyl Collection 最新リマスター&ヴァイナル・カッティング8タイトル追加プレス決定のご案内”. 山下達郎 | ソニーミュージックオフィシャルサイト. Sony Music Entertainment (Japan) Inc. (2023年5月24日). 2023年6月13日閲覧。
- ^ “山下達郎、アナログ&カセットリマスターシリーズのティザー映像公開”. 音楽ナタリー. 株式会社ナターシャ (2023年4月16日). 2023年6月13日閲覧。
- ^ “山下達郎自らがノンストップミックスで編集したマスターエディット使用、 Teaser映像公開!”. 山下達郎 | ソニーミュージックオフィシャルサイト. Sony Music Entertainment (Japan) Inc. (2023年4月19日). 2023年6月13日閲覧。
- 1 RIDE ON TIME (山下達郎のアルバム)とは
- 2 RIDE ON TIME (山下達郎のアルバム)の概要
- 3 収録曲
- 4 BVCR-17017
- 5 TATSURO YAMASHITA RCA/AIR YEARS Vinyl Collection
- 6 リリース履歴
- 7 カバー
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