PENTAXの銀塩一眼レフカメラ製品一覧:35mm判 (KマウントMF機種) ペンタックス Pシリーズ

PENTAXの銀塩一眼レフカメラ製品一覧:35mm判 (KマウントMF機種)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/27 00:04 UTC 版)

ペンタックス Pシリーズ

最後のマニュアルフォーカスカメラシリーズである。Aシリーズからの変更点として全機種がDXコードに対応した他、イージーローディング機構が実装されている。外装デザインも当時の流行にあわせて鋭角的なものとなり、従来のシリーズ機とは一線を画したものとなっている。本来はPProgram)の名称通り、Aシリーズをより進化させた「マルチプログラムAE」、「ワインダー」実装機種を中心としたシリーズ展開を構想していたと思われるが、実際には機能を基本的なシンプルなものに抑え、かつワインダー内蔵はやめてコストを抑え、ボタン式であったシャッター速度設定をダイヤル式に戻す(『ペンタックスP30』)など、見た目で分かりやすい操作性を目指したシンプルな機種のみのシリーズとなった。

その背景としては、発売直後に業界を揺るがした"αショック"により、その結果ペンタックスも開発ロードマップの大幅な変更を迫られ、社運を賭けた新世代のオートフォーカスシリーズ機である『ペンタックスSFX』の開発に会社が重点を置かざるを得なくなったことではないかと思われる。そのSFシリーズに「マルチプログラムAE」や「ワインダー」が標準で実装されることとなったため、Pシリーズは本来の構想から方向転換することとなり、SFシリーズのマルチモードAE機能に特化されてしまった感のある操作性に馴染めない層をフォローする下位機種的な役割と、旧来のマニュアルフォーカスカメラから新世代のオートフォーカスカメラへの橋渡し的な役割を担うシリーズに方向転換されてしまったのが真相かと思われる。

マニュアル撮影と必要最低限のプログラムAE機能による撮影のみの、マルチプログラムAEカメラ全盛期にあってあえて機能を絞り込んだ廉価機中心のシリーズ展開であったが、数々の新機軸を実装したためある一面においては走りすぎた感のあったSFシリーズの影で『ペンタックスK1000』とともにシンプルな機能を求める層に訴求したシリーズであったといえる。『ペンタックスP30』の派生型である『P30T』はオートフォーカス化後も『ペンタックスMZ-M』の登場まで発売されている。

P30
  • P30 / デート
1985年10月発売(『デート』は1986年6月発売)。「マニュアル露出モード」と「プログラム全自動露出モード」のみの、きわめてシンプルかつ白黒のはっきりとした大胆な仕様のカメラである。外部ケーブルレリーズ用ソケットも省略され、またデザイン面ではシャッター速度設定がダイヤル式操作に戻ったことから、一見するとAシリーズよりも退化したようにも見えるが『K2DMD』以来の「メモリーロック機構(AEロック)」が実装されているほか、内部の電子回路もより進化しており、実用的な機能に絞り込まれた堅実な機種であるといえる。発売当時は『α-7000』による"αショック"の真っ只中にあり、各社も総力を挙げてオートフォーカスカメラ製品の開発に重点を置いていたため普及機とはいえスペック的に物足りない感が否めないものの、必要最低限の機能は抑えてある機種となっている。
  • P50 デート
1986年9月発売。Pシリーズ最高級機である。スーパーAの後継機種的な色合いが強く、モータードライブなどのアクセサリーは共通である。プログラムモードは「シャッター速度優先ライン」と「被写界深度優先ライン」の複数を持ち、ペンタックス初のマルチプログラムAE機となった。またボディに大型の液晶情報パネルが実装され、従来機種と比較して設定情報がより分かりやすくなった。モードボタンやEFボタンと上下ボタンを組み合わせて設定する方式は、1984年に発売されたペンタックス 645と非常に近いものとなっている。普及機種としてはペンタックスで初めて露出補正機能が1段単位から1/2段単位になり、よりAEカメラとしての使い勝手が向上している(これ以降の機種では1/2段単位が標準となった)。ただ翌年発売されることとなる『ペンタックスSFX』を考慮した販売戦略の影響もあってか、スペック面ではスーパーAよりも抑えられている。
  • P30N
1989年4月発売。P30に「絞り優先AE」と「外部ケーブルレリーズ用ソケット」が追加された派生機種である。これによってシンプルすぎてむしろ初心者には使いづらい点が改善されている。デザイン面では、モデル名は前面から軍艦部上面に移動し、グリップ部に「P30」とモデル名が大きく彫りこまれている。これは同時期に発売されていたSFシリーズと共通のデザインである。
  • P30T
1991年6月発売。P30Nの外装をチタンカラー化(チタン製ではない)し、ファインダースクリーンのスプリットイメージを斜めに切り、縦位置でのピント合わせの向上が図られている派生機種である。時期的にはすでに2世代目のオートフォーカス機シリーズ製品であるZシリーズの1号機である『ペンタックスZ-10』とともに発売され、希少なマニュアルフォーカス機としてK1000とともに『ペンタックスMZ-M』が発売されるまで販売された。

  1. ^ SMCペンタックスレンズ群に関する詳細はペンタックスの写真レンズ製品一覧の記事を参照のこと。
  2. ^ OM-1=136mm×83mm×50mm、MX=135.5mm×82.5mm×49.5mm
  3. ^ 後期型は応答速度の向上したSPDに変更されている。製造番号が「9」で始まるものが前期型、「4」で始まるものが後期型である。
  4. ^ MV1は軍艦部に"ASAHI"の刻印は残っているが、カタログなどでは"PENTAX"として展開されている。
  5. ^ 国外ではデータバックなしのモデルも販売された





英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  PENTAXの銀塩一眼レフカメラ製品一覧:35mm判 (KマウントMF機種)のページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「PENTAXの銀塩一眼レフカメラ製品一覧:35mm判 (KマウントMF機種)」の関連用語

PENTAXの銀塩一眼レフカメラ製品一覧:35mm判 (KマウントMF機種)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



PENTAXの銀塩一眼レフカメラ製品一覧:35mm判 (KマウントMF機種)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのPENTAXの銀塩一眼レフカメラ製品一覧:35mm判 (KマウントMF機種) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS