PENTAXの銀塩一眼レフカメラ製品一覧:35mm判 (KマウントMF機種)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/27 00:04 UTC 版)
ペンタックス Aシリーズ
ペンタックス初の「マルチモードAE機」シリーズである。
複数のAE機能を持つマルチモードAEカメラとして、まず1977年発売の『ミノルタXD』によって「絞り優先AE」と「シャッター速度優先自動露出(以降はシャッター速度優先AEと記述する)」の両AE機能が実装され、さらにその翌年(1978年)発売の『キヤノンA-1』によって「完全自動露出(=プログラム自動露出:以降はプログラムAEと記述する)」が実現した。そのような時代背景の中で旭光学は依然として絞り優先AE機であるMシリーズに重点を置いていたが、他社が続々とマルチモード化、プログラムAEの実装などのエレクトロニクス面での開発競争に入ったため、遅れを取った旭光学はより精度の高いマルチモード機を実現すべく開発に取り組んだ。
機能的には外観がMシリーズに酷似していることから、同シリーズの延長上に位置するように思われがちであるが、実際は旭光学工業初の電磁レリーズ、電子セルフタイマーの実装など大幅なエレクトロニクス化が行われており、ペンタックス独自のより高精度な「絞り位置制御方式」によるマルチモードAE対応が行われ、これの実現のため新たな絞り値伝達用の電子接点つきのKAマウントが採用され、「シャッター速度優先AE」と、「プログラムAE」が可能となった。またこのシリーズよりすべての機種がポリカーボネートなどのプラスチック系素材による外装となり(『LX』、『MZ-S』を除く)、更なる軽量化と電子カメラとしての耐ショック性の向上、ボディ外装デザインの自由度が増すことになる。
マウント対応レンズとして開発されたSMCペンタックスAレンズ(以下「Aレンズ」)も同時に用意され、絞り環に最小絞り値のとなりに新たに自動露出を意味するA位置が設けられており、この位置に設定しておけば、カメラ側から自動的に絞り込まれる。
- スーパーA (super A)
- 1983年3月発売。ペンタックスカメラ初のマルチモードAE機種である。発売当時はマルチモードカメラとしては最多のモード数である「プログラムAE」、「絞り優先AE」、「シャッター速度優先AE」、「マニュアル」、「TTLオートストロボ(ダイレクト測光式)」、「外光オートストロボ」の6種の露出モードを実装。それ以外にも新機軸を盛り込んだ時代の最先端を行く機種であった。外装デザインは従来のMEシリーズを踏襲しつつ、LXのイメージを取り入れられ、ファインダーの採光窓、取り外し式のグリップ、メモホルダー兼用グリップ付きの裏蓋など、斬新なものになった。内部機構は大幅な電子化が進められ、初の電磁レリーズの実装、電子式セルフタイマー、ファインダー内表示の液晶(LCD)化、新規開発のモータードライブ装着により秒3.2コマ実現など、目立たないところで大幅に進化している。Aレンズとの組み合わせによって、より正確な絞り制御が可能となった。その技術が高く評価され、同年「ヨーロピアン・カメラ・オブ・ザ・イヤー'83」を受賞。1984年4月には受賞記念限定モデルも発売された。海外では『SUPER PROGRAM』の名称でクロームボディのみ発売された。
- プログラムA (program A)
- 1984年3月発売。Aシリーズの普及機種である。スーパーAで6種あった露出モードから「シャッタースピード優先AE」、「TTLオートストロボ」を省略し、最高シャッタースピードも1/2000秒から1/1000秒へとスペックダウンされている。外見はほぼ差がないものの液晶表示によるシャッター速度パネルがなくなっており、内部構造もコストダウンのために大幅に簡略化されている。一方、誤作動しやすいと不評だった電子セルフタイマー機構の位置が改められるなどの改良点は、続く『ペンタックスA3デート』にも受け継がれている。逆説的にはMEスーパーにプログラム機能を追加した機種であると言える。ブラックボディ、クロームボディがある。海外では『PROGRAM PLUS』の名称で発売された。
- A3 デート(A3 DATE)
- 1985年3月発売。ペンタックス初のワインダー機構内蔵機種であり、データバック(裏蓋交換によるデート印字機能)を標準実装した機種である[5]。ワインダー内蔵に伴い「オートローディング機構」もあわせて実現し、規定位置までフィルムを伸ばしてフィルムカバーを閉じると自動的に1コマ目まで巻き上げられるようになった。ただし、巻き戻し操作は"そのほうが速い"といった理由から手動となっている。
- 装填フィルム確認用の"覗き窓"と、パトローネのDX情報により自動でISO感度を設定する機能も設けられ、背面フィルム室蓋にあったメモホルダーが廃止された。プログラムAをベースとしながらも「マニュアルモード」が省略されるなど更なる自動化が図られている。ワインダー搭載によって横幅が広がり、軍艦部が広くなったぶん「モード選択ダイヤルが大型化」され操作性は向上している。ただし露出補正機能は簡略化され、逆光補正用の+1.5のボタンが設けられるにとどまっている。
- A3 デートS
- 1986年6月発売。A3デートの改良機種。グリップ部の貼り革(グッタペルカ)のデザインと素材が変更されホールディング性と、ファインダースクリーンの変更による合焦性能の向上などのマイナーチェンジが施されている。発売時期がPシリーズと重なったためかデザインの意匠は当時の流行が取り入れられたためPシリーズやSFシリーズに近く、クラシカルな風味を残していたAシリーズの中でも異彩を放つ機種。
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