NVIDIA
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/12 09:37 UTC 版)
グラフィックスチップについて
企画設計と販売を行い、実際の製造はファウンダリー(ファブ)に外部委託するファブレスメーカーである。
2010年9月21日、ドイツ・シンガポールに拠点を置くファンダリーGLOBALFOUNDRIES社との契約が成立したことを発表した[24]。 今後はTSMCと並行しGLOBALFOUNDRIESへも製造委託すると見られる。
半導体の微細化技術に優れるファブと協業することが競争力を保つ要素であり、難易度が高くなる微細化が進むにつれ、複数のファブを利用するようになった。 かつて、IBMのファブを利用していたこともある。
過去には製造委託したファウンダリーにも独自ブランドでの販売権を与えていたが、知名度が高まるにつれ全量を買い上げるようになった。委託製造されたチップを複数のボードベンダーに供給し、ボードベンダーがグラフィクスボードに仕立てて販売を行なう。ボードベンダーはNVIDIAにとっての重要度から、「ティア1」「ティア2」といった階級付けが行われている。
新設計のチップはティア1のベンダーに優先的に供給され、試作と初期製造が行われる。製品発表会などで複数ベンダーの展示がある場合、ティア1ベンダーの製品をNVIDIAがその他のベンダーへ配給し、その他のベンダーはヒートシンクに自社デザインのステッカーを貼るなどして展示を行なっている。ティア1での製造が安定すると、ティア2ベンダーへの販売用のチップの供給が開始される。
過去にはカノープスなどが独自設計のボードを製作していたが、現在はNVIDIAによる標準(リファレンス)デザインのボードを用いることがチップ供給の条件となっている。これは、過去にRIVA TNT2や同TNT2M64といったチップを多数のベンダーに提供したことで、各社が同じチップを搭載したボードで激しい価格競争を行なった結果、製造原価を抑えた粗悪なボードデザインや部品を使用した製品が出回った教訓から、一定品質を確保し消費者に提供するために取った方法である。その結果、開発者サポート制度の充実により、開発時のリファレンスとして用いられることが多く、ユーザーの人気を高めた。標準デザインにはネットリスト(配線リスト)、アートワーク(配線パターン)が含まれるため、各社のボードはほぼ同じものとなりがちである。
PC用のビデオチップでジオメトリエンジンの採用製品化を行い、ブランドとして「GeForce」を新設した。これによりCPUを補助するチップではなく、CPUと並ぶ主要なチップGPU (Graphics Processing Unit) であると主張した。それまでも他社よりも頭一つ抜けていたが、これにより明確に筆頭メーカーとなり、GPUは事実上グラフィックチップの呼称となっていった。
単独のGPUでの性能の限界から、2つのGPUボードを並列で利用することで性能向上を求める「SLI」の開発を行なう。後からSLI対応のGPUボードを追加することで、アップグレードパスとした。また、SLIの変形として単一のボード上に2個のGPUを実装する形態も発表している。更に4枚のGPUボードで2560×1600ドットの高解像度でのグラフィック表現をする「QuadSLI」に注力、その代表としてGeForce 7950 GX2(単体販売)、GeForce 7900 GTX Duo(2006年9月現在、販売実績は無い)が挙げられる。GeForce 7950 GX2はボード上に2個のGPUが実装されていることから、QuadSLIを行なうには2枚のボードで済む。ただし、SLI機能を持つボードにはSLI動作に必要な「SLIコネクター」を同梱しない製品も存在する(「SLI Ready」マークが目印)。QuadSLIに対応するドライバー(ユーティリティー「ForceWare」最新版)が公表されて、自作PCでの実現が可能となった。
ライバルとなったATI Technologies(2006年にAMDが買収)に対し長年リードを築いていたが、同社がコンシューマ向けにRadeon、プロ向けにFireProブランドを創設すると同時に方針転換を行い、強力な製品を開発するようになった。それによりNVIDIAと以前以上に熾烈な性能争いを繰り広げ、2012年現在では使用状況次第で得意不得意が現われる事となり、一概にどちらが優れていると評価できないほど実力は拮抗するようになった。2021年現在ではCPU側の開発にも力を入れているAMDと比較した場合、GPU専業の分トップ性能では上回る製品がある。
注釈
- ^ 製造を担当するSGS-Thomsonのブランドでの製品名はSTG2000、STBからはVelocity 128 AGP。
出典
- ^ “エヌビディア【NVDA】:業績(通期)/株価 - Yahoo!ファイナンス”. Yahoo! JAPAN. 2020年4月6日閲覧。
- ^ “エヌビディア【NVDA】:企業情報/株価 - Yahoo!ファイナンス”. Yahoo! JAPAN. 2020年4月6日閲覧。
- ^ “エヌビディア ジャパン”. エヌビディア ジャパン Facebook. 2023年2月20日閲覧。
- ^ “NVIDIA Logo GuideLines 1.0”. NVIDIA. p. 1. 2023年7月10日閲覧。 “NVIDIA is always written in upper case.”
- ^ 第203回 エヌビディア創業者 ジェンスン・フアンCEO/台湾
- ^ TECH.C.の強みは多様性国際色豊かな学生が集まるのがすごく良い
- ^ 【やじうまPC Watch】17年前の8月31日、世界初のGPUが誕生した - PC Watch
- ^ “Crypto miners beware, Nvidia wants to keep GPU in the gaming industry” (英語). CCN.com (2018年1月22日). 2019年12月16日閲覧。
- ^ a b c d e “NVIDIA の歴史: 長年にわたるイノベーション”. NVIDIA. 2019年8月7日閲覧。
- ^ ASCII. “原点はXbox NVIDIAチップセットの系譜をたどる”. ASCII.jp. 2019年8月7日閲覧。
- ^ NVIDIA、MID向けの新しいSoC「Tegra」を発表
- ^ NVIDIA Tegra K1搭載開発キット「Jetson TK1」ハンズオンセッションに参加してみた - Car Watch
- ^ NVIDIA、Pascal搭載の深層学習用スパコン「DGX-1」の国内販売開始 ~「Deep Learning Day 2016 Spring」講演 - PC Watch
- ^ “NVIDIA の技術が任天堂の新ゲーム機「Nintendo Switch」に採用されました | NVIDIA”. NVIDIA Japan Blog (2016年10月20日). 2024年2月5日閲覧。
- ^ “NVIDIAとトヨタグループTRI-AD、より安全な自動運転の実現に向けて協業”. 日本経済新聞 電子版. 2019年3月21日閲覧。
- ^ “2022年3月期 第2四半期 決算説明会”. ソフトバンクグループ株式会社. 2021年11月13日閲覧。
- ^ 株式会社インプレス (2022年2月8日). “ソフトバンク、NVIDIAへのArm売却を断念”. PC Watch. 2022年2月8日閲覧。
- ^ “米エヌビディア、ロシア事業を全面停止 従業員は海外移転も(ロイター)”. LINE NEWS. 2022年10月4日閲覧。
- ^ “エヌビディアCEO、日本で「AIファクトリー」-経産相と面会”. 2023年12月6日閲覧。
- ^ 株式会社インプレス (2024年2月14日). “NVIDIA、PC上で動くカスタムAI「Chat with RTX」を無償公開”. PC Watch. 2024年3月2日閲覧。
- ^ “無料のチャットボットAI「Chat With RTX」をNVIDIAがリリース、GeForce RTX GPU搭載PCでローカル動作が可能 - GIGAZINE”. gigazine.net (2024年2月14日). 2024年3月2日閲覧。
- ^ 株式会社インプレス (2024年2月26日). “NVIDIA「Chat With RTX」を、RTX4060搭載ノートPCで動かす〜ローカルLLMでRAGを実現【イニシャルB】”. INTERNET Watch. 2024年3月2日閲覧。
- ^ 株式会社インプレス (2024年2月27日). “【西川和久の不定期コラム】 NVIDIAがローカルで手軽に動せるAIチャット「Chat with RTX」をリリース!その実力は?”. PC Watch. 2024年3月2日閲覧。
- ^ Nvidia signs up with Global Foundries semiaccurate.com
- ^ ATIのチップセット ロードマップをまとめる - マイナビニュース 2006/6/27
- 1 NVIDIAとは
- 2 NVIDIAの概要
- 3 歴史
- 4 グラフィックスチップについて
- 5 チップセット「nForce」について
- 6 AGEIAの買収
- 7 脚注
固有名詞の分類
- NVIDIAのページへのリンク