BAe シーハリアー 来歴

BAe シーハリアー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/19 15:12 UTC 版)

来歴

ケストレルとハリアーの開発

世界初の実用垂直離着陸機ハリアー

ホーカー・エアクラフト社とブリストル・エンジン社では、1950年代後半より垂直離着陸機の開発に着手しており、1960年10月21日には、プロトタイプとしてのホーカー・シドレー P.1127が初飛行した。1963年2月には「アーク・ロイヤル」で発着艦試験を行い、排気の熱による飛行甲板への悪影響がないことが確認された[2]。また1966年には「ブルワーク」で本格的な試験展開が行われ、艦上運用に耐えうることが確認されたものの、この時点では、従来どおりのCATOBAR方式の艦上機に対する優位点がないとして、イギリス海軍の姿勢は消極的であった[3]

一方、P.1127は順次に改正されてケストレルFGA.1に発展し、引き続き各種試験に供されていた。これをもとにエンジンをブリストル・シドレー BS.100に変更して超音速化したP.1154も計画されており、海軍もこちらには期待していたものの、予算上の理由から後にキャンセルされた。空軍ではこれに伴って、より漸進的に、ケストレルを実用機に発展させたハリアーGR.1を採択し、1966年8月31日に初飛行させた[2]

TDCの建造とシーハリアーの発注

同年発表の1966年度国防白書CVA-01級航空母艦の計画中止が決定されたことで、海軍は、将来的に正規空母を手放さざるを得ない事態に直面した。これを補うため、当初艦隊空母を補完するヘリ空母として開発されていた護衛巡洋艦の機能充実が図られることになり、設計案のなかには、軽空母(CVL)に近いサイズまで大型化したものも出現していた。このことから、1969年、デビッド・オーエン海軍担当政務次官は、ハリアーの艦上運用を提言した。この提言は、この時点では採択されなかったものの、これに応じて、ホーカー・シドレー社では艦上型ハリアーの設計を準備した[3]

そして1970年から1971年にかけての検討を経て、護衛巡洋艦から発展した全通甲板巡洋艦(Through Deck Cruiser, TDC、後のインヴィンシブル級航空母艦)の排水量が18,750トンにまで大型化したことで、ハリアーの搭載計画が本格的に推進されることになった。1973年に1番艦「インヴィンシブル」が発注された時点で、海軍本部では既に艦隊航空隊(FAA)向けハリアーの要求事項を作成していたものの、同年の第四次中東戦争に伴う石油価格高騰の煽りを受けて、実際の発注は先送りされた[3]。その後、1975年、先行量産型3機と量産型第1バッチ31機が発注された。これによって製作されたのがシーハリアーFRS.1である[2]


注釈

  1. ^ 計測ブーム、ピトー管を含む[2]
  2. ^ マッハ0.98とする説もある[2]

出典

  1. ^ a b c d Calvert 2019.
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u 松崎 2005.
  3. ^ a b c d Polmar 2006, ch.19 New Directions.
  4. ^ a b Taylor 1983, pp. 253–256.
  5. ^ a b c d e f g 田村 2005.
  6. ^ 防衛研究所戦史研究センター 2014, pp. 154–168.
  7. ^ 防衛研究所戦史研究センター 2014, pp. 193–205.
  8. ^ 防衛研究所戦史研究センター 2014, pp. 168–174.
  9. ^ a b c Lambert 1991, pp. 311–312.
  10. ^ FlightGlobal: “Light fighter, big punch” (英語) (1996年7月10日). 2016年1月10日閲覧。
  11. ^ 近代日本史料研究会 2007, p. 155.
  12. ^ “英、冷戦時代に中国への兵器販売を検討”. AFP通信. (2008年12月31日). https://www.afpbb.com/articles/-/2553226?pid=3642114 






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