56式自動歩槍
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/18 05:38 UTC 版)
派生型
中国北方工業公司製
軍向け
56式自動歩槍 1型
56式自動歩槍の銃床をAKS同様のアンダーフォールディング銃床に変更したモデル。56式自動歩槍同様、レシーバーは前期型で切削加工(AK)、後期型ではプレス加工(AKM)で製造されていた。展開式スパイク銃剣は段階的に廃止されていった。
-
56式自動歩槍 1型
-
分解された56式自動歩槍 1型。
-
56式自動歩槍 1型のガスチューブ周辺。
-
56式自動歩槍 1型(プレス加工)のフロントトラニオン左側面。三角形の中に"66"と書かれた66工廠の刻印が確認できる。その下にある二本のリベットは、他国では前後に隣り合っているのに対し、56式では斜めに配置されている。
56式自動歩槍 3型
56式自動歩槍の木製部品を56式自動歩槍 2型同様の赤褐色ポリマーで構成したモデル。銃口にはAKMと同じ竹槍型マズルブレーキを取り付けている。
56式自動歩槍 4型
56式自動歩槍 3型の銃床をAKS同様のアンダーフォールディング銃床に変更したモデル。
56式自動歩槍 C型
中国人民解放海軍向けに船上での運用を考慮して56式自動歩槍 2型をベースにカービン化したモデル。1988年に開発が開始され、1991年に採用された。2021年にも入国事務局や香港関税局などにも配備がされている。
279.4mmに短縮された銃身とハンドガード、ガスブロックを短縮し、銃口にはAKS-74Uによく似た形状のマズルブースターが取り付けられている。またハンドガードは放熱穴が下部ハンドガードにある独特なものに変更され、グリップもフィンガーチャネルが付いたものに変更された。
AK-2000P
56式自動歩槍 2型のAK-101模倣モデル。AK-101模倣なものの簡略化された黒色ポリマー製ハンドガードと、56式自動歩槍 C型と同様の黒色ポリマー製のグリップと銃床、AK-74 タイプ2マズルブレーキを模倣した銃口装置を備えている。使用弾薬は5.56×45mm弾に変更され、84式自動歩槍 S型シリーズと同様の30連金属製マガジンから給弾する。取り付け方法が不明だが照準器が取り付け可能。
インドネシア国家警察機動隊(BRIMOB)が安価として大量に購入しAK-101とAK-102とともに運用されたが、粗末な仕上げと塗装の剥がれやすさ、耐久性の低さからすぐに運用されなくなりほとんどがフィリピンの警察に払い下げられた。その後フィリピンでは大部分がミンダウ島の犯罪グループへ横流しされた。
輸出向け
M22
56式自動歩槍の1960年代半ばまで生産された最初期輸出向けモデル。中国としての接触を最小限に抑えながら56式自動歩槍を輸出するために特別に開発、生産された。仕様は前期型AKレシーバーで、展開式銃剣は省略されている。セレクター表記は連・単からL・Dへ変更された。刻印は66工廠のマークがなくなりM22と刻印が追加されている。
56式自動歩槍 2型
1980年に開発された56式自動歩槍をベースに木製固定銃床を右側に折りたためる銃床に変更し、グリップとハンドガードを赤褐色の独特なポリマーで構成したモデル。また展開式の銃剣は省略されている。また主に輸出向けとして生産されているが国内でも運用されている。
Rk 56 TP "トゥパード"
56式自動歩槍 2型のフィンランド向け輸出モデル。フィンランド製7.62×39mm弾を正常に発砲するためにハンマースプリングなどに微細な変更がされている。
56式自動歩槍 5型/56式自動歩槍 M型
56式自動歩槍をベースとした軽機関銃。RPK風銃床と若干延長された銃身、AK-74のものに似たマズルブレーキを備えている。主に輸出向けとして開発されたが国内でも一定数が運用されていた。
56式自動歩槍 1A型
CS/LR11と同時期にラインラップに加えられた近代化改修を施した56式自動歩槍 1型。名称上は56式自動歩槍 1型だが銃床は折りたたみは不可能でAR-15パイプに適合した伸縮調整可能な銃床を備えている。グリップを樹脂製に変更し、ハンドガードはM-LOKスロットを備えたものに変更している。レシーバー左側面にサイドレールが追加されておりドブテイルマウント照準器はもちろん、ピカティニーレールマウントを搭載することで他の照準器が取り付け可能。
56式自動歩槍 1G型
近代化改修を施した56式自動歩槍 1型。外見は56式自動歩槍 1A型と酷似しているが、グリップの形状とハンドガードの形状が異なる。
CS/LR11
56式自動歩槍のAK-103模倣モデル。デザインが若干AK-103と異なる銃床、AK-74タイプ2マズルブレーキ、ベースが56式自動歩槍のためAKタイプのボルトとガスブロックを備えている。マガジンは樹脂製ではなく金属製の30連マガジンから給弾される。セレクター表記はL・Dで、上を向いた矢印が記されたイズマッシュ製を示す偽の刻印がされている。
ソマリアなど様々な国が購入し、一定数が運用されている。
88式自動歩槍
1988年ごろに開発された56式自動歩槍 2型の使用弾薬を5.45×39mm弾に変更したモデル。マガジンは金属製30連のものを使用し、独自形状の銃口装置を備えている。
88式自動歩槍 AK-74タイプ
88式自動歩槍のAK-74模倣モデル。銃床とグリップ、ハンドガードを木製に変更し、ガスブロックはAKの垂直タイプからAK-74同様の緩やかなタイプのガスブロックを備えており、銃口にはAK-74タイプ2マズルブレーキを備えている。またこの銃床は84式自動歩槍 3型のような長い銃床である。使用弾薬は5.45×39mm弾に加えて7.62×39mm弾、5.56×45mm弾が存在する。
88式自動歩槍 B型 AK-74タイプ
88式自動歩槍の木製固定銃床をAKS-74同様の左に折りたたむ金属製銃床に変更したモデル。
民間向け
56式自動歩槍 S型
56式自動歩槍のアメリカ向け民間輸出モデル。アメリカではType 56 Sporterなどの名称で販売されている。グリップを一般的なAKやAKMと同様のセレーションのない木製グリップに変更し、AKMの竹槍型マズルブレーキを装着したモデル。民間向けなためセミオートオンリーでスラムファイアを防止するパーツの追加や、マガジン挿入口に妨害リベットを追加することで通常の30連マガジンを装着できないようにされている。
56式自動歩槍 S-1型
56式自動歩槍 S型の銃床をAKS同様のアンダーフォールディング銃床に変更したモデル。
56式自動歩槍 SS-1型
56式自動歩槍 S-1型のカービン仕様。銃身をガス導入部まで短縮している。銃身先端はねじ切りされておらず銃口装置の取り付けはできない。
56式自動歩槍 S-2型
56式自動歩槍 S型の木製固定銃床を右側に折りたためる銃床に変更し、グリップとハンドガードを赤褐色のポリマーで構成したモデル。56式自動歩槍 2型のアメリカ向け民間輸出モデルにあたる。
56式自動歩槍 S-3型
56式自動歩槍 S-2型の銃床を赤褐色ポリマー製の固定銃床へ変更したモデル。グリップの形状が変更されている。
56式自動歩槍 S-7型/87式軽機関銃 S型
56式自動歩槍のRPK風の民間向け輸出仕様。若干延長された銃身とRPK風銃床、独特な形状のマズルブレーキと取り付け方が異なる独自二脚を備えている。セミオートオンリーで、40連マガジンと75連ドラムマガジンが付属する。
84式自動歩槍 S型
56式自動歩槍 S型の使用弾薬を5.56×45mm弾に変更したモデル。銃口装置が竹槍マズルブレーキではない円柱状のバードケージフラッシュハイダーへ変更されている。
84式自動歩槍 S-1型
84式自動歩槍 S型の銃床をAKS同様のアンダーフォールディング銃床に変更したモデル。
84式自動歩槍 S-2型
84式自動歩槍 S型の木製固定銃床を右側に折りたためる銃床に変更し、グリップとハンドガードを赤褐色のポリマーで構成したモデル。56式自動歩槍 S-2型の5.56×45mm弾仕様モデルにあたる。
84式自動歩槍 S-3型
84式自動歩槍 S型の銃床とグリップ、ハンドガードを黒色ポリマーで構成したモデル。この銃床は他のモデルと比べ若干長い。のちに小改良モデルである84式自動歩槍 S-3A型へ更新された。
84式自動歩槍 S-4型
84式自動歩槍 S-3型の銃床をAKS同様のアンダーフォールディング銃床に変更したモデル。
84式自動歩槍 S-5型
84式自動歩槍 S-2型の銃床とグリップ、ハンドガードを黒色ポリマーで構成したモデル。
86式自動歩槍 S型
56式自動歩槍をベースにブルパップ化したアメリカ向け民間輸出仕様。セミオートオンリーで、前方に折りたたみ可能なフォアグリップを備え、FA-MASを参考にした大型キャリングハンドルを備えており、その内部にコッキングレバーを備えている。セレクターは親指操作可能なものへと変更されている。またアメリカへと輸出するためSBR認定を避けるため銃身は延長されている。
88式自動歩槍 S型
88式自動歩槍のアメリカ向け民間輸出向仕様。仕様に変化はないが民間向けなためセミオートオンリーになっている。
88式自動歩槍 S型 AK-74タイプ
88式自動歩槍 AK-74タイプのアメリカ向け民間輸出向仕様。仕様に変化はないが民間向けなためセミオートオンリーになっている。使用弾薬は5.45×39mm弾に加えて7.62×39mm弾、5.56×45mm弾が存在する。
88式自動歩槍 SB型 AK-74タイプ
88式自動歩槍 B型 AK-74タイプのアメリカ向け民間輸出向け仕様。仕様に変化はないが民間向けなためセミオートオンリーになっている。
NHM-90
56式自動歩槍の第二世代アメリカ民間向け輸出モデル。セミオートオンリーでサムホール銃床に変更され、通常の大容量マガジンが装着できないよう給弾口付近に妨害リベットがある。中国北方工業公司によって製造され、1991年よりアメリカのチャイナスポーツ社によってアメリカで販売された。だが1994年のAWBによって販売が違法化された。またハンドガードの仕様が2種類あり、従来仕様と放熱穴が省略された仕様がある。
NHM-91
NHM-90の長銃身モデル。533.4mmに銃身が延長され、フロントサイトの前部に二脚が取り付けられるため軽機関銃模倣モデルともとれる。
MAK-90
1990〜1994年の間にポリテックと中国北方工業公司によって中国で生産されアメリカへ輸出された56式自動歩槍の1989年の銃規制対策民間向け輸出モデル。56式自動歩槍の前期型AKレシーバーをベースにセミオートオンリーに変更し、銃床をグリップと一体化したサムホール銃床に変更したモデル。現在はアメリカへの輸出は禁止されているため、1990〜1994年の間に輸出されたもののみが国内で取引されている。そのままのものや銃床を取り外し独立型ピストルグリップと銃床を取り付け通常レイアウトに改造したモデルなども流通している。
MAK-91
MAK-90の長銃身モデル。457.2mmに銃身が延長されている。
NMM-90
MAK-90の銃床と下部ハンドガードを黒く塗装し、上部ハンドガードを金属製のものに変更したモデル。アメリカ向け民間輸出モデルで、AK-47 Thumbhole Sporterなどの名称で販売されている。
ポリテック製
AK-47/S "レジェンド"
中国のポリテック社がアメリカ向けとして製造する民間仕様の56式自動歩槍。前期型のAKレシーバーで展開式スパイク銃剣は省略されている。
AK-47S "レジェンド"
中国のポリテック社がアメリカ向けとして製造する民間仕様の56式自動歩槍 1型。前期型のAKレシーバーで展開式スパイク銃剣は省略されている。
AKS-762
中国のポリテック社がアメリカ向けとして製造する民間仕様の56式自動歩槍。後期型のAKMレシーバーで、展開式スパイク銃剣を備えている。木製固定銃床を備えた56式自動歩槍仕様の他にAKS同様のアンダーフォールディング銃床を備えた56式自動歩槍 1型仕様と右側に折りたためる銃床に変更し、グリップとハンドガードを赤褐色のポリマーで構成した56式自動歩槍 2型仕様、ガリルのものによく似た右側に折りたためる金属製銃床を備えたガリルサイドフォルダーと呼ばれる独自仕様が存在する。
注釈
- ^ a b 中国語で「短機関銃(機関短銃)」の意
- ^ 但し、冷戦終結後のAK系小銃の無断製造は東欧の旧東側諸国などでも行われていることから、中国固有の問題ではない。
- ^ 厳密には、カバー真上の部分には円形の小穴が開けられていて、台座にねじ込まれたフロントサイトを回して高さを微調整するための工具を通せるようになっている。
- ^ AKシリーズの銃口にある保護リング、斜めに切り落とされた形状のコンペンセイター、あるいはマズルブレーキは銃身先端にねじ込まれた別の部品であるため、相互に互換性がある。また取り外して、サプレッサーやライフルグレネードのソケットに置き換えることも可能。
- ^ これらの改良点は国ごとに取り入れている部分が異なり、中には独自の改良を加えてあるケースもある。ルーマニア製のAIM/AIMSや、ハンガリー製のAKM-63及びそのカービンモデルであるAMD-65は垂直のフォアグリップを装備。ユーゴスラビア(セルビア)製のツァスタバ M70は、銃身とガスシリンダーをつなぐガスポートに発射ガス遮断器兼用のライフルグレネード照準器を装備。
- ^ 過去にコンバットマガジンで連載していたコラムや2017年12月号の取材でも同様の発言をしている。
- ^ ユーゴスラビア紛争勃発前のユーゴスラビア社会主義連邦共和国でもザスタバ・アームズがAKシリーズを国産化していたが、ザスタバ・アームズの工場はセルビアのクラグイェヴァツに存在しているため、クロアチアではAKシリーズを別途調達する必要があった。
出典
- ^ 松本仁一 「中国製」新幹線や銃を問う
- ^ “中国対ロシア:どちらのAKが優れているか”. ロシア・ビヨンド. (2019年4月5日) 2019年7月16日閲覧。
- ^ Gordon Rottman (24 May 2011). The AK-47: Kalashnikov-series assault rifles. Osprey Publishing. pp. 47–49. ISBN 978-1-84908-835-0.
- ^ Jurado, Carlos Caballero (1990). Central American Wars 1959-89. Men-at-Arms 221. London: Osprey Publishing. p. 19. ISBN 9780850459456.
- ^ Brayley, Martin J (2013). Kalashnikov AK47 Series: The 7.62 x 39mm Assault Rifle in Detail. Crowood. p. 32. ISBN 978-1-84797-526-3. p.160
- ^ Warlow, Tom (2004). Firearms, the Law, and Forensic Ballistic (2nd ed.). CRC Press. pp. 26–27, 47. ISBN 9780203568224
- ^ a b Ingram, Carl (1989年5月25日). “Governor Signs Assault Weapon Legislation”. Los Angeles Times: pp. 1 2014年11月21日閲覧。
- ^ Smith, This story was reported by Times staff writers Doug. “Chilling Portrait of Robber Emerges”. 2018年4月6日閲覧。
- ^ 『カラシニコフ II』 松本 仁一 「第2章 ライフル業者」より。
- ^ http://www.americanspecialops.com/photos/navy-seals/navy-seal-type-56.php
- ^ “Norinco AK-2000P: Balada Senapan Serbu “Kalashnikov” Produksi Cina”. 2017年1月18日閲覧。
- ^ “MAZ”. Military Industry Corporation. 2009年2月8日閲覧。
- ^ Type 56 Submachine Gun. Retrieved on October 28, 2008.
固有名詞の分類
- 56式自動歩槍のページへのリンク