黒鉛減速沸騰軽水圧力管型原子炉
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/04 01:30 UTC 版)
封じ込め
RBMKの設計では、通常の運転に必要な数種類の封じ込めを施していた。通常、摂氏700度にもなる黒鉛が酸素と触れないよう金属性封じ込め構造に黒鉛を収納し、不活性ガスで満たして密封する。炉心から大量に出る強烈な放射線を吸収するための遮蔽として、底部にコンクリートの厚板、側部に砂とコンクリート、上部にコンクリート板があった。原子炉から通じる蒸気の管を含む原子炉内部の機械の多くは、この上部のコンクリート板に取り付けられていた。
最初、RBMKは厳しい事故の封じ込めには関せず、単に事故防止と事故緩和に関してだけ集中して設計された。しかし、スリーマイル島原子力発電所事故(1979年)の後、RBMKの設計も非常事態に対処するために部分的な封じ込め構造(完全な封じ込め構造ではない)を含むようになった。原子炉の下に張り巡らされたパイプは、大量の水で満たされた密封構造の箱に封入された。もし、これらのパイプが漏れを起こすか破裂しても、放射性物質はこれらの箱の中の水によってトラップされ、外部に漏れ出すことはない。しかし、RBMKは、運転しながらの燃料補給と核兵器用プルトニウム生産を可能にするよう、シャットダウンなしに燃料棒の交換が可能なように設計されており、炉心直上に巨大なクレーンを必要とした。これによりRBMKの炉は高さが70メートルもあり、重い封じ込め用建築物を建造することは容易ではなく、コストも掛かり過ぎたため、原子炉上面に伸びるパイプのために更なる封じ込め建築物を建設することは不可能だった。不幸なことに、チェルノブイリ事故(1986年)では、原子炉上部を吹き飛ばし、蒸気爆発により圧力管の上・下部を破壊し開口部を作るほどの圧力に達した。その後、黒鉛によって火災が起き、火災で発生した煙に放射性物質も混入して、広範囲にわたって放射性物質を放出するに至った。
- ^ 燃料中のウランの残りはウラン238である。低濃縮ウランは、ウラン235濃度が0.7%である天然ウランを濃縮し、ウラン235濃度を2.0 - 2.4%として使用する。
- ^ “ロシアでRBMKのクルスク1号機が永久閉鎖”. 原子力産業新聞 (2021年12月27日). 2022年3月20日閲覧。
- ^ “ロシア スモレンスク3号機の運転寿命延長工事が完了 - 海外電力関連 トピックス情報 | 電気事業連合会”. www.fepc.or.jp. 2022年3月20日閲覧。
黒鉛減速沸騰軽水圧力管型原子炉と同じ種類の言葉
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