闘将!!拉麺男 概要

闘将!!拉麺男

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/10 08:03 UTC 版)

概要

1982年3月当時、集英社『週刊少年ジャンプ』(以下、WJ)に『キン肉マン』を連載していたゆでたまごは、同誌企画「第10回愛読者賞」[注釈 1]のエントリー作品として読切作品『闘将!!拉麵男』を執筆し、1982年15号に掲載された。この読切は、『キン肉マン』に登場する人気キャラクター[注釈 2]であるラーメンマンを独立した主人公として描いたもので、読者投票では2位を獲得した。

当初『キン肉マン』の終了後の次作として想定されていた[2]が、間もなく創刊された姉妹誌『フレッシュジャンプ』(以下、FJ)の1982年8月号(創刊号)から、当初唯一の連載作品として連載開始した。以後、途中に1年半の休載を挟みつつ『WJ』の『キン肉マン』『ゆうれい小僧がやってきた!』と同時連載を続けたが、『FJ』の休刊にともない1989年1月号(1988年12月)で未完のまま連載終了。1988年1月にテレビアニメ化、7月に劇場化され、8月にはコンピュータゲームが発売されるなどのメディア展開がされた。

作品は中国を舞台とし、架空の中国拳法「超人拳法」の継承者であるラーメンマンの修行と戦いの旅を描く。前半は1話から2話程度で完結する短編が多くを占めており、村人を虐げる悪の拳法家や、超人拳法の秘伝を狙う敵などとの戦いを繰り広げる。後半にはチームバトルやトーナメント方式の戦いが取り入れられた。格闘要素と共に、残虐描写は『キン肉マン』よりも過激になっており、子供も含めて登場人物が虐殺されるシーンがたびたび描かれる。死者が多い一方、死んだキャラクターが後のエピソードでは何の理由も無く生き返ることは通例化しており、復活した敵の多くは特に改心した様子が描かれることも無く味方になっている。

時代背景は「むかしむかしのおはなし」[3]とされているが、帝政下の中国ということが分かるくらいで、厳密な設定はされていない。基本的には文明化されていないが、映写機やリモコンといった近代的な道具がしばしば登場する。ゆでたまごは「『闘将!!拉麵男』は『キン肉マン』の何年前の話か」という質問に対し、パラレルワールドであり直接の繋がりはないと回答している[4]

ゆでたまごはまた、中国を舞台に中国拳法を本格的に扱った漫画は本作が最初であると主張している[5][6]ブルース・リーの映画に影響を受け、元のラーメンマンのキャラクターに少林寺拳法の要素を取り入れたと語る[6]。未完で終わったことについては、続編を描くことへの意欲を見せている[6]

単行本はジャンプ・コミックスとして全12巻が発売された。1998年から1999年にかけてはジャンプ・コミックス・セレクション(愛蔵版)全9巻が、2002年には文庫版全8巻がそれぞれ発売されている。2004年6月からは『コミック格闘王』(集英社インターナショナル)で再録が連載開始したが、同誌は2号で休刊。その後「集英社ジャンプリミックス」レーベル(コンビニコミック)で2004年12月から2006年9月にかけて全12巻が発売された。

32年ぶりの新作が『グランドジャンプ』(集英社)の創刊10周年読み切りとして、2021年18号に掲載された[7]


注釈

  1. ^ 読者アンケートで選出される10名の漫画家が競作する企画。各作品はさらに読者投票で順位付けされる。1973年から1983年まで。
  2. ^ 『WJ』1980年50号で発表された人気投票結果では、人気超人・悪役超人の両部門で3位に入っている。ゆでたまご「車いすの少年の巻」『キン肉マン』 6巻、集英社(ジャンプ・コミックス)、1981年4月15日、135頁。ISBN 9784088511368 
  3. ^ 『FJ』1986年9月号から1987年11月号まで、ジャンプ・コミックス6巻から9巻にかけて続いた。
  4. ^ 烙(ラオ)の正しい表記は食偏に各()。ただし、烙であればlào(ラオ)だがはle(ル)である。
  5. ^ 後の版および文庫コミックスでは「破壊鬼玉王(はかいきぎょくおう)」に修正
  6. ^ 本当は「拉麵男『鬼鬼』鑼悪(鬼鬼で一つの漢字)」だが、ここでは拉麵男・鬼鑼悪と表記する。
  7. ^ アニメでの読みは「きせきのはこ」。
  8. ^ 「蝱」の本来の表記は「亡」の下に「蟲」。
  9. ^ 玉王は懢蝱敗北で例によって逃亡したものの、その後連載終了まで登場しなかった。
  10. ^ 後の版では流派を表す三字と名前の間に中点が入る。
  11. ^ エンディングクレジットでは岡利男と誤記。
  12. ^ 打穴三点崩し、後方風車・烈火太陽脚・命奪崩壊拳・百戦百勝脚・千手孔雀拳を披露し、ラーメンマンも急所を外すのが精一杯であった。
  13. ^ 「摔」の表記は手偏の右に「率」。
  14. ^ ゆでたまご自身も『必殺仕事人V』第9話「主水、キン肉オトコに会う」に出演。

出典

  1. ^ 「5月10日号特別付録 ファミコン ロムカセット オールカタログ」『ファミリーコンピュータMagazine』第7巻第9号、徳間書店、1991年5月10日、194頁。 
  2. ^ 中山基編「伝説超人インタビュー (3) ゆでたまご」『フィギュア王 No.119』ワールドフォトプレス、2008年1月30日、ISBN 978-4-8465-2701-3、57頁。
  3. ^ ゆでたまご「拉麵男誕生!!の巻」『闘将!!拉麵男』 1巻、集英社(ジャンプ・コミックス)、1983年8月15日、6頁。ISBN 9784088515816 
  4. ^ 週刊少年ジャンプ特別編集「キン肉マン熱血相談室」『キン肉マン熱闘スペシャル』、集英社、1984年8月25日、149頁。 
  5. ^ ゆでたまご「あとがき」『闘将!!拉麵男』 12巻、集英社(ジャンプ・コミックス)、1989年4月15日、185頁。ISBN 9784088515595 
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m 「TEAM MUSCLE編「ゆでたまご、拉麵男を語る。」」『キン肉マン超人大全集』集英社インターナショナル、2004年7月31日、265 - 267頁。ISBN 9784797610031 
  7. ^ “「闘将!!拉麵男」32年ぶり新作がグラジャンに、ラーメンマンと弟弟子の物語展開”. コミックナタリー (ナターシャ). (2021年8月18日). https://natalie.mu/comic/news/441321 2021年8月18日閲覧。 
  8. ^ yude_shimadaのツイート(16430799198)
  9. ^ yude_shimadaのツイート(1582363174686183424)
  10. ^ 「TEAM MUSCLE編「秘伝・闘龍極意書」」『キン肉マン超人大全集』集英社インターナショナル、2004年7月31日、307頁。ISBN 9784797610031 
  11. ^ 「テレビ局ネットワーク」『アニメディア』1988年3月号、学研、79 - 81頁。 
  12. ^ a b c 「テレビ局ネットワーク」『アニメディア』1988年10月号、学研、81頁。 
  13. ^ a b 「テレビ局ネットワーク」『アニメディア』1988年10月号、学研、79頁。 
  14. ^ a b 「テレビ局ネットワーク」『アニメディア』1988年10月号、学研、80頁。 
  15. ^ 南日本新聞』1988年4月13日付朝刊、テレビ欄。
  16. ^ 『南日本新聞』1988年12月28日付朝刊、テレビ欄。






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