超短波全方向式無線標識 VOR指示計の使用方法

超短波全方向式無線標識

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/21 20:05 UTC 版)

VOR指示計の使用方法

VOR指示計の表示例

パイロットがあるVOR局に真東から接近したい場合、その局に到達するためには真西に飛行しなければならない。このときパイロットは、VOR指示計の方位板の頂点で「27(270°)」の数字がプライマリ・インデックスと呼ばれるコース・ポインターと整列するまでOBSを使用してコンパス・ダイヤルを回転させる。選局済みであるVOR受信機が90°ラジアル(VOR局から見て真東)を抽出したとき、CDI指針は中央に位置しTO/FROM指示器は「TO」を示す。VOR局に向かう場合、パイロットは標識局がある方向とは逆方向をVOR指示計にセットしなければならないことに気をつける。つまり、VOR指示計がVOR局へのコースが270°であることを示す間、航空機はVOR局の90°ラジアルを辿っている。これを「090ラジアルにて進入する(proceeding inbound on the 090 degree radial)」と呼ぶ。その後、パイロットはCDI指針を中央に維持しておくことでVOR局へのコースを辿ることができる。CDI指針が左右どちらかに片寄っていくようならば、それが再び中央に戻るまでパイロットは指針の方へ旋回する。航空機がVOR局の上空を通過すると、TO/FROM指示器は「FR」(From)を示し、航空機は「270°ラジアルにて離脱する(proceeding outbound on the 270 degree radial)」状態となる。航空機が「混乱の円錐(cone of confusion)」すなわちそのVOR局の直上付近にあるとき、CDI指針が振動するか振り切れることがあるが、VOR局を通り越して短い距離を飛行すると指針は再び中央へ戻る。

右の具体例では、OBSスケールがプライマリ・インデックス指示254°にセットされており、指針は中央に位置し、TO/FROM指示器は「FR」(From)を示している。 このVOR指示計は、航空機が254°ラジアル(VOR局から見て西南西)上にあることを示している。また、TO/FROM指示器が「TO」を示していれば、航空機は74°ラジアル上にあり、VOR局へのコース磁方位は254°であることを意味する。ただし、航空機がどの方向へ飛んでいるかという実測表示がまったくない点にも注意しなければならない。画像にあるVOR指示計の表示は、航空機が仮に真北へ飛行していたとしても、航空機が254°ラジアルを横切った瞬間にVOR受信機にて選局されていれば表示され得る。なぜならば、機上のVOR受信機のアンテナは無指向性(全方位の電波を受信できる。)だからである。そのためVOR受信機がパイロットの望むVOR局を正しく選局していることが非常に重要で、VOR受信機の操作パネル(VOR指示計とは別にある)で選局後に、そのVOR局が発しているモールス信号(あるいは合成音声)による識別符号を聞いて確認する。


  1. ^ 識別符号は3文字で構成され、日本国内では米軍管理のものを除き、VOR局は"O", VOR/DME局は"E", VORTAC局は"C"を3文字目に表記する。1-2文字目は、IACO空港コードの末尾2字や併設するNDBの識別符号を付することが多い。
  2. ^ 原文ではreference-phase signalであり、直訳すると参照位相信号であるが、直感的にわかりにくいので意訳した。
  3. ^ 原文ではrotating-phase signal(直訳:回転位相信号)であるが、意訳した。


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