西尾維新 作風

西尾維新

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/17 08:50 UTC 版)

作風

デビュー当初からの特徴として、言葉遊びや毒を交えての会話がどの作品においても大きなポジションを占める[12]。独特なボケとツッコミに関しては、清涼院流水との対談で関西人であることが関係しているのかと聞かれた際「関西人というのは確実にあると思う」と答えている[13]。本人は「台詞こそがキャラクター」という感覚を持ち、見た目の描写より喋る内容を重視している[14]。また作品中には「個性を発揮させやすい」という理由から女性が多く登場し[15]、そのことについて「女性はキャラクターとしての装飾(ファッションなど)が男性より圧倒的に多いから」と述べている[15]

「フリーキーなキャラクターたちが常識ではありえないフィクショナルな状況での推理を繰り広げる、いわゆる新伝綺と呼ばれるミステリーライトノベルの中間領域のような文芸センス」、「かつてのアニメやマンガなどの小ネタを縦横無尽に引用」などが作品の特徴[16]

自身に一番影響を与えたジャンルとして、「少年ジャンプ的なもの」と少女漫画を挙げている[2]。漫画の中では『ジョジョの奇妙な冒険』の熱烈なファンであり、作者の荒木飛呂彦との対談が実現した際には「全人類に読んで欲しい漫画」として同作を挙げた[3]。なお2011年には、上遠野浩平舞城王太郎らと並びジョジョシリーズの公式ノベライズ企画「VS JOJO」へも参加している。

小説では笠井潔森博嗣京極夏彦清涼院流水上遠野浩平らに影響を受けたことを公言しており、この5人を「神のような存在」としている[17][2]綾辻行人の著作もすべて読んでおりデビューした頃は新本格ミステリーも意識していた[18]ライトノベルジュブナイルゲームブックの影響も大きいと語っている[19]

宇野常寛は「セカイ系」から「新伝綺」への移行をただひとりスムーズにこなしてしまった作家と西尾維新を評している[20]

戯言シリーズ」においてはクロスオーバーやリンクを行わないという方針を公言している。これはクロスオーバーやリンクは、尊敬する上遠野が得意とする手法であったため、それとは逆のスタイルを貫こうと決めているためであるが[21]、「人間シリーズ」に関しては、上遠野の著書における「ブギーポップシリーズ」と『ビートのディシプリン』の関係性のオマージュとして書き始めたため、例外であると答えている[22]。現在も一定の執筆ペースを維持し複数のシリーズを同時展開するが、『混物語』までは作品間において世界観を共有する「リンク」などは行なっていなかった。『混物語』の執筆については、約15年もクロスオーバーをしないというスタイルを貫き続けてきたため、そろそろ別のパターンにもチャレンジしようと考えたと述べている[23]

キャラクターの名前の付け方には独特のものがある[19]。本人は名前だけでキャラクターを定義したいと考えており、単純に珍しい名前を付けているわけではなく自身なりのルールを決めて付けているが、あえてルールを外すこともある[19]。ネーミングに関しては「奇天烈[24]」「極めて奇妙[25]」と評されている。

物語執筆の際に取材を行うと、その時点で満足してしまうという理由から執筆時に取材は行わない[26]

藤島康介は西尾との対談で、作風について特徴があり真似しやすいということを指摘している[27]。そのために西尾に影響を受けた作品が増えてきたと語っており[27]、実際に影響を受けたことを公言している作家としては入間人間河野裕さがら総がいる。


注釈

  1. ^ テレビアニメ『化物語』の「あとがたり つばさキャット篇」において、神谷浩史が「西尾維新はこの世の誰よりもあとがたりを聴いている男」と発言している。

出典

  1. ^ a b c d プロフィール”. 公式ウェブサイト. 西尾維新. 2020年1月29日閲覧。
  2. ^ a b c 『ユリイカ 9月臨時増刊号』 2004, p. 91.
  3. ^ a b c 『西尾維新クロニクル』 2006, p. 85.
  4. ^ 『メフィスト 小説現代 2004年5月増刊号』 [要ページ番号]
  5. ^ 西尾維新 - あなたの本を見つけよう!! Book Vox RUC”. 立命館生活協同組合 (RUC) (2012年6月). 2017年4月15日閲覧。
  6. ^ 『西尾維新クロニクル』 2006, p. 87.
  7. ^ 『ザレゴトディクショナル─戯言シリーズ用語辞典』 2006, p. 113.
  8. ^ 『このライトノベルがすごい! 2006』 2005, p. 2
  9. ^ オリコン2009年BOOK作家別”. 2014年11月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年11月6日閲覧。
  10. ^ 『西尾維新クロニクル』 2006, p. 97
  11. ^ 『西尾維新クロニクル』 2006, p. 81.
  12. ^ 『別冊オトナアニメ シャフト超全集!!』 2010, p. 39.
  13. ^ 『ファウスト Vol.3』 2004, pp. 177–178.
  14. ^ 『ダ・ヴィンチ 2011年4月号』 2011, p. 20.
  15. ^ a b 『ユリイカ 9月臨時増刊号』 2004, p. 92.
  16. ^ 『ほぼ日刊惑星開発委員会 vol.176』 2014 [要ページ番号]
  17. ^ 『ファウスト2005SPRING Vol.5』 2005, p. 136.
  18. ^ 『西尾維新クロニクル』 2006, p. 91-92
  19. ^ a b c 『ユリイカ 9月臨時増刊号』 2004, p. 181.
  20. ^ 宇野 2011 [要ページ番号]
  21. ^ 『ファウスト Vol.5』 2005, p. 140
  22. ^ 『ファウスト Vol.5』 2005, p. 142
  23. ^ 『日経エンタテインメント! 2017年2月号増刊「傷物語」版』 2017, p. 27.
  24. ^ 『ユリイカ 9月臨時増刊号』 2004, p. 112.
  25. ^ 『ダ・ヴィンチ 2011年4月号』 2011, p. 26.
  26. ^ 『ファウスト Vol.7』 2008 [要ページ番号]
  27. ^ a b 『キャラ☆メル Febri Vol.11』 2012, p. 8.
  28. ^ 『Quick Japan Vol.54』 2004, p. 116.
  29. ^ 『日経キャラクターズ! 2005年1月号』 2004, p. 57.
  30. ^ 『西尾維新クロニクル』 2006, p. 54.
  31. ^ 『このライトノベルがすごい! 2005』 2004, p. 15.
  32. ^ 『このライトノベルがすごい! 2005』 2004, p. 88.
  33. ^ 『このライトノベルがすごい! 2006』 2005, p. 27.
  34. ^ 『ファウスト2005WINTER Vol.6』 2005, p. 360.
  35. ^ オリコン 2009年 年間“本”ランキング 作家別”. ORICON NEWS. オリコン (2009年12月4日). 2014年11月6日閲覧。
  36. ^ オリコン 2010年 年間“本”ランキング 作家別”. ORICON NEWS. オリコン (2010年12月1日). 2014年11月6日閲覧。
  37. ^ 西尾維新さんが描く小説版“ジョジョ”12月16日発売 主人公はDIO”. はてなニュース (2011年10月21日). 2022年6月22日閲覧。
  38. ^ オリコン 2011年 年間“本”ランキング 作家別”. ORICON NEWS. オリコン (2011年12月1日). 2014年11月6日閲覧。
  39. ^ オリコン 2012年 年間“本”ランキング 作家別”. ORICON NEWS. オリコン (2012年12月3日). 2014年11月6日閲覧。
  40. ^ オリコン 2013年 年間“本”ランキング 作家別”. ORICON NEWS. オリコン (2013年12月2日). 2014年11月6日閲覧。
  41. ^ オリコン 2014年 年間“本”ランキング 作家別”. ORICON NEWS. オリコン (2014年12月1日). 2014年11月6日閲覧。
  42. ^ 2015年 年間本ランキング『純文学の世界に『火花』ビッグウェーブ! 出版界に差し込んだ大きな光』”. ORICON NEWS. オリコン (2015年11月30日). 2017年1月5日閲覧。
  43. ^ 2016年 年間本ランキング、『小説 君の名は。』ミリオン突破! 話題の『天才』『ハリー・ポッター』最新刊もBOOK総合上位を席巻”. ORICON NEWS. オリコン (2016年12月1日). 2017年1月5日閲覧。
  44. ^ NISIOISIN_infoの2022年8月10日のツイート2022年9月3日閲覧。
  45. ^ 【オーディオファーストプロジェクト第5弾】西尾維新によるAudible書き下ろしを鈴村健一が朗読”. PR TIMES (2022年12月20日). 2023年2月3日閲覧。
  46. ^ 森瀬 2018, p. 247.
  47. ^ 西尾維新、初の公式サイトがオープン 新作『断片小説』全文公開”. ORICON NEWS. オリコン (2015年10月8日). 2016年4月24日閲覧。
  48. ^ “西尾維新×岩崎優次のジャンプ新連載! “暗号解読”学園ドラマ『暗号学園のいろは』”. ORICON NEWS (ORICON). (2022年11月21日). https://www.oricon.co.jp/news/2257666/full/ 2022年11月21日閲覧。 
  49. ^ 「暗号学園のいろは」『週刊少年ジャンプ』2024年10号、集英社、2024年2月5日、455頁。 
  50. ^ ガッキー演じる! 短髪白髪に眼鏡っ子」『デイリースポーツ online』神戸新聞社、2015年7月15日。2015年7月15日閲覧。






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