表面準位
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/07 08:35 UTC 版)
タム準位
強結合モデルのフレームワークで計算される表面準位はしばしばタム準位と呼ばれる。強結合のアプローチでは、電子波動関数は通常、LCAO法として表される(図5参照)。この図では、表面の存在がバルク準位のエネルギーとは異なるエネルギーの表面準位を生じさせることを理解するのは簡単である。最上部の表面層にある原子は片側に結合パートナーがないため、その軌道は隣接する原子の軌道とあまり重ならない。したがって、結晶を形成する原子のエネルギー準位の分裂とシフトは、バルクよりも表面で小さくなる。
特定の軌道が化学結合、例えばSiまたはGeのsp3混成の原因である場合、表面の存在に強く影響され、結合が切断され、軌道の残りのローブ(丸い部分)が表面から突き出る。これはダングリングボンドと呼ばれる。このエネルギー準位は、バルクの値から大きくシフトすると予想される。
ショックレー準位の記述に用いられるほとんど自由な電子モデルとは対照的に、タム準位は遷移金属やワイドギャップ半導体の記述にも適している。
外的要因の表面準位
きれいで秩序だった表面から生じる表面準位は通常、内的(intrinsic)と呼ばれる。これらには再構成された表面から生じる準位が含まれている。ここでは2次元の並進対称性により表面のk空間にバンド構造が生じる。
外的要因(extrinsic)の表面準位は通常、きれいで秩序だった表面に由来しない準位として定義される。extrinsicのカテゴリに入る表面は[7]
- 表面の並進対称性が壊れている欠陥のある表面
- 吸着質のある表面
- 半導体酸化物もしくは半導体金属界面など2つの材料間の界面
- 固体相と液体相の界面
一般的に、extrinsicな表面準位は化学的、物理的、構造的特性から簡単に特徴づけることができない。
角度分解光電子分光(ARPES)
表面準位の分散を測定する実験技術は角度分解光電子分光(ARPES)もしくは角度分解紫外光電子分光法(ARUPS)である。
- ^ a b Sidney G. Davison; Maria Steslicka (1992). Basic Theory of Surface States. Clarendon Press. ISBN 0-19-851990-7 .
- ^ a b C. Kittel (1996). Introduction to Solid State Physics. Wiley. pp. 80–150. ISBN 0-471-14286-7.
- ^ a b K. Oura; V.G. Lifshifts; A.A. Saranin; A. V. Zotov; M. Katayama (2003). “11”. Surface Science. Springer-Verlag, Berlin Heidelberg New York.
- ^ a b Feng Duan; Jin Guojin (2005). “7”. Condensed Matter Physics:Volume 1. World Scientific. ISBN 981-256-070-X.
- ^ W. Shockley (1939). “On the Surface States Associated with a Periodic Potential”. Phys. Rev. 56 (4): 317. Bibcode: 1939PhRv...56..317S. doi:10.1103/PhysRev.56.317.
- ^ I. Tamm (1932). “On the possible bound states of electrons on a crystal surface”. Phys. Z. Sowjetunion 1: 733.
- ^ Frederick Seitz; Henry Ehrenreich; David Turnbull (1996). Solid State Physics. Academic Press. pp. 80–150. ISBN 0-12-607729-0.
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