衛星バス 衛星バスの概要

衛星バス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/19 18:53 UTC 版)

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通信衛星バスとペイロードモジュール

衛星の目的が違っても電力系や推進系などは共通であるため、毎回新規に開発するよりも、実績のある設計を流用することにより製造費用が安くなり、製造期間も短縮できることから、主に通信衛星といった商用の衛星には共通の衛星バスが用いられている。現在では衛星バスは、小型衛星、中型衛星、大型衛星用にそれぞれシリーズ化されており、ユーザニーズに応じて選ぶことが出来るようになっている。通信機器や観測装置などユーザごとに異なるミッション機器のみを専用に設計して搭載することで、製造期間を短縮することが出来る。

自動車開発で利用されるプラットフォームの人工衛星版といえる。

ヒューズ・エアクラフト社のHS-376英語版衛星バスがこの分野での成功を収め、50機以上が製造されてこの流れを作った。その後HS-393, HS-601, HS-701(現在のBoeing-702)と続いている。その他、フォード・エアロスペース英語版社のFS-1300(現在のロラール社(Space Systems/Loral)のLS-1300)、ロッキード・マーティン社のA2100バスなども多数の衛星を受注している。

構成要素

バスは主に以下のサブシステムから構成されている。

  • C&DH系(コマンド及びデータ処理系、Command and Data Handling System)
    • TTC系(テレメトリ・トラッキング・コマンド系)と呼ばれていたが、オンボードコンピュータの発達に伴いC&DH系と呼ばれるようになってきている。
  • 電力系(EPS)
  • 姿勢制御系(ACS)
  • 推進系
  • 構体系
  • 熱制御系(TCS)
  • 生命維持系(有人飛行の場合)

衛星バスの例

Eurostar 1000, 2000, 2000+, 3000などの衛星バスのシリーズを製造
Spacebus 1000, 2000, 3000, 4000の各衛星バスのシリーズを製造
2012年に702MP(Medium Power)を初打ち上げ[1]、2015年に702SP(Small Platform)がデビュー予定[2]
低周回軌道用のLEOStarシリーズと、静止軌道用のGEOStarシリーズがあり、GEOStarシリーズには大きさにあわせてSTAR-1とSTAR-2、STAR-3バスがある。
SSL-1300衛星バスは2015年9月30日に打ち上げられたオーストラリアのSky Muster衛星が同衛星バスとして引き渡された100機目の衛星となった。最初の1300衛星バスは1989年に日本のSUPERBIRD-Aとして打ち上げられた。この衛星の乾燥質量は1,300kgだったのにちなんでこの衛星バスの名前が付けられた。この衛星の発生電力は当時としては最大の3kWだった。当時と比べると現在の1300衛星バスは8倍の発生電力を持ち、寿命も30%長くなり、トランスポンダーを4倍積めるようになっている。SSL-1300衛星バスは、初めて100Vの電圧を使用した衛星で、初めて発生電力が20kWを超えた衛星であり、西側の衛星として初めて電気推進系を採用した衛星バスでもあり、リチウムイオン電池を初めて搭載した衛星バスのひとつとなった[3]
A2100を開発する前にもシリーズ3000, 4000, 5000, 7000バスを製造(旧マーティン・マリエッタ社とその買収前のGE Astro Space社の時代から製造)。
A2100バスは2003年9月初めの時点で、軌道上での運用時間が累計400年を達成した。A2100バスは商業通信衛星45機以外にも軍用通信衛星AEHF, MUOSでも採用。また、気象衛星GOES-RやGPS-III型としても採用されている。同社の他の衛星バスも含めると、同社の商業通信衛星は101機となり、累計1,000年間以上の軌道上運用を達成した[4]



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