英雄伝説VII 世界設定

英雄伝説VII

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/22 03:09 UTC 版)

世界設定

人・物・金が集まり「魔都」とも呼ばれる都会クロスベル市を中心とした、クロスベル自治州が本作の舞台となっている。時間軸としては「零」が「空の軌跡 the 3rd」から数カ月後[23]、「碧」がその数カ月後となり、共に七耀暦1204年の出来事となっている[注 1]

クロスベル自治州

本作の舞台。ゼムリア大陸西部に位置する自治州で、「零」の時代より70年前に成立。北のエレボニア帝国と東のカルバード共和国と言う二大国に挟まれており、両国の緩衝地となっている。またマインツ鉱山から豊富な七耀石が採れることから熾烈な領土争いの対象となってきた。しかし七耀暦1202年にリベール王国より提唱された不戦条約が締結されてからは緊張状態も緩和されている。軍隊の保持は認められておらず、治安維持には警察と遊撃士協会が、国境防衛に限っては警備隊が活動している。

クロスベル市
クロスベル自治州の中心都市。大陸有数の貿易都市として成長しており、鉄道や飛行船も発着する中継地点でもある。
近年では再開発も進み、導力ネットワークなど先進的な技術も導入されている。
地下には上下水道や導力ケーブルなどのインフラが整備された「ジオフロント」と呼ばれる広大な空間が張り巡らされている。
しかし、スパイを取り締まる法律が制定されていないため、一歩裏に回れば帝国と共和国の諜報員が暗躍し、国外から流入した犯罪者組織やマフィアが抗争を行っている有様で、他国からは「魔都」と呼ばれている。
導力ネットワーク
導力技術を用いた情報ネットワークで、現実のインターネットとほぼ同じ機能を持つ。リベールのツァイス中央工房とエプスタイン財団が共同で開発を行っていたが、現在はエプスタイン財団とクロスベル中央銀行が開発を主導している。クロスベル市など複数の大都市で試験的に運用が開始されたが、ハッキングなど、インターネットと同様のリスクや欠点が早くも露呈している。 実際は、キーアを《零の至宝》に目覚めさせる巨大な術式の隠れ蓑であった。
アルモリカ村
クロスベル市の北東に位置する農村。養蜂を基幹産業としている穏やかな村で、クロスベル市の喧騒とは無縁な場所となっている。近郊には500年前の古戦場跡があり、奥には砦らしき遺跡が存在する。
鉱山町マインツ
クロスベル市の北西に位置する鉱山町。近年ではクロスベルの主要産業が金融や貿易に移り、また七耀石の産出も採掘技術の発達により他国に押されている。しかし産出量自体は減っておらず、この街で採れる七耀石を買い付けに来る商人も多い。
保養地ミシュラム
クロスベル市の南東、エルム湖の対岸に位置する高級保養地。2年前にIBC(クロスベル国際銀行)が開発に着手し、リゾートホテルや高級アーケード、テーマパーク「ワンダーランド」が一大観光スポットとなっている。マスコットキャラクターは「みっしぃ」。実際は、キーアを覚醒させるための台座であり、前述の巨大な術式によるエネルギーがここに送り込まれるようになっている。
聖ウルスラ医科大学
クロスベル市の南西に位置する医科大学で、病院も併設されている。設立にはレミフェリア公国が協力しており、大陸でも有数の医療技術を誇る。
ベルガード門
エレボニア帝国との国境に築かれた関所で、クロスベル市の西に位置する。眼前には帝国ガレリア要塞がそびえており、不戦条約が締結される以前は常時発射態勢になっている列車砲を突き付けられて極度の緊張に包まれていた。条約が締結されても警備隊が常駐しているが、国境のゲートは小さな鉄柵1つのみであり、帝国に対してはほとんど無防備となっている。新型の軽装甲機動車が配備されている。
タングラム門
カルバード共和国との国境に築かれた関所で、クロスベル市の東に位置する。アルタイル市とは距離が離れているが、ベルガード門と同様に無防備な状態となっており、新型の軽装甲機動車が配備されている。

組織

クロスベル警察
主に自治州の都市を担当する治安維持組織。ただし帝国、共和国双方の派閥に属する議員による圧力を受けており、満足に機能していない。そのため市民からの信頼は薄く、治安組織としては遊撃士協会の方が信頼されている状態である。
特務支援課[24]
セルゲイ・ロウが中心となって設立された新部署で、ロイド達が所属する。市民の御用聞きから魔獣退治まで、ありとあらゆる依頼を請け負う。当初は市民の信頼を失った警察の人気取りを行う部署と呼ばれ、警察内では「貧乏クジ」「遊撃士の猿真似」などと酷評された。そのため志願者が一人もおらず、訳アリの新人ばかりがメンバーとして迎えられた。しかし、様々な依頼を誠実に、そして精力的にこなして行く中で徐々に市民や警察内部の信頼を得るようになり、遂にはクロスベルを揺るがす『教団事件』や『碧の大樹事件』を解決する事に尽力する。その為、「閃Ⅲ」のユウナからは憧れの的となっている。
元々はガイの「失敗しても構わないから、若手がやる気を出して働ける場所を作りたい」という想いから産まれた。
内戦後の帝国によるクロスベル占領に伴いクロスベル警察は帝国所属の「クロスベル軍警」へと形を変え、その過程で《特務支援課》も解散状態になる。ロイドは帝国軍の目を掻い潜っての抵抗活動、ランディは帝国の士官学校への強制出向、ティオは出向元での監視下業務など、ルーファス総督の謀略によって各メンバーがバラバラに動かざるを得ない状況に陥っている。
捜査一課
主に国家規模の重大事件の捜査を行う部署。所属する捜査官は一級の能力を持つエリート達で、高い使命感と正義感を持つが、やや堅苦しく柔軟性に欠ける部分がある。
遊撃士協会
民間人の保護と地域の平和を目的とした民間団体。警察とは異なり市民の信頼を得ている。
クロスベル警備隊
自治州の防衛を担当する部隊。法律上軍隊を持つことができないために警備隊を名乗っているが、実質は自治州の軍隊と言ってもいい。主にエレボニア帝国との国境であるベルガード門とカルバード共和国との国境であるタングラム門に駐屯している。
IBC(クロスベル国際銀行)
クロスベル自治州のみならず、大陸全土から集まってくる莫大な資産を管理、運用する巨大銀行。総裁はディーター・クロイス。クロスベル市の一角に巨大な本部ビルを構えており、多くの企業が入っている。
ディーターが市長に就任してからはマリアベル・クロイスが総裁を務める。
元々は《幻の至宝》の継承者であるクロイス家が、失われてしまった《幻の至宝》を再現する手段を模索・実行するのに必要な資金を集める為に銀行家を始めたのが前身であることが「碧」で明らかとなる。
その資本力は大陸全土の金融業界を混乱に陥れるほど多大なもので、クロスベル独立時にはこのカードも用いて帝国共和国両国との交渉を行った。
アルカンシェル
クロスベルが誇る劇団で、圧倒的なパフォーマンスで国内外に多くのファンが存在する。
ルバーチェ商会
クロスベルの闇を象徴するマフィア組織。クロスベル自治州の成立と同時期に誕生しており、マルコーニは5代目の会長になる。商会の名称通り、誕生初期は武器の密輸やミラ・ロンダリングなどを行っていたが、帝国と共和国の対立の中で急速に武装化が進み、薬物と人身売買以外の非合法商品や猟兵団の斡旋なども行うようになる。マルコーニが会長になってからは帝国派のハルトマンと親密な関係になり、毎年、創立記念祭の時にミシュラムにあるハルトマンの邸宅で《黒の競売会(シュバルツ・オークション)》と呼ばれる裏の社交界が開催されるようになる。しかし、共和国からやってきた《黒月》との抗争に苦戦し、更にロイド達に《黒の競売会》を潰されてハルトマンの不興を買ったことで組織の屋台骨にヒビが入る。その後、劣勢を挽回するために「グノーシス」を《D∴G教団》から入手して構成員に投与するが、「グノーシス」の影響で構成員が暴走して身勝手な行動を行うようになり、更に《教団》の復活を狙ったヨアヒムに組織を乗っ取られてしまう。最終的にマルコーニとガルシア以外の構成員は魔人に成り果てた末にロイド達に倒され、マルコーニ、ガルシアらも捕縛された。しかもヨアヒム絡みの事件によって議員たちからも完全に見限られてしまった。構成員と後ろ盾を失ったことで組織は完全に崩壊した。
黒月(ヘイユエ)
カルバード共和国の東方人街に一大勢力を有する犯罪組織。組織の規模はルバーチェよりも遥かに巨大である。クロスベルの裏社会を奪い取るためにツァオを派遣した。クロスベルでは表向きには「黒月貿易公司」として貿易業を営んでいる。
D∴G教団(ディージーきょうだん)
女神の存在を否定している、狂気の教団。「D∴G」の読みは「ディージー」。悪魔を信仰しているとされるが、「女神を否定する」ということからきたものであり、実際は都合がいいので形式的にそうしているようである。「平等」を唱えており、幹部司祭であっても位階そのものはさして高くない模様。名称の「D」は《虚なる神(デミウルゴス)》、「∴」は「~ゆえに」を意味し、「G」は「真なる叡智=グノーシス」を意味する。セルゲイ曰く、「ここ数十年間で最悪の事件を起こした最低の奴等」。各国から多数の子供を誘拐して「儀式」と称した非道な人体実験を行っており、「グノーシス」は実験で使用された薬品の総称である。あまりにも凶悪な存在のために、各国の警察と軍隊、遊撃士協会が共同戦線を張って殲滅作戦を行い、更にそれらとはまた別の方向から《結社》や《星杯騎士団》までも《教団》の壊滅を行ったほどである。作戦によって本体は崩壊したものの、《教団》そのものは完全に滅亡するまでには至っていない。
一部の幹部が「楽園」と呼ばれる拠点を勝手に創り上げ、議員などの権力者たちに対して拉致した子供たちを弄ばせる場として提供していた。尚、その「楽園」は《結社》が派遣した執行者の手によって壊滅させられ、後の《殲滅天使》はそこの被検体であった事が判明する。
その正体は、クロイス家が《零の至宝》を奪還するために産み出した傀儡組織であった。
《D∴G教団》殲滅作戦
七耀暦1198年頃に実行された作戦。ゼムリア大陸各地に点在する《D∴G教団》の拠点を一斉に襲撃して《教団》の殲滅を狙った作戦で、各国の警察及び軍隊と遊撃士協会が共同戦線を張り、カシウス・ブライトが総指揮を行った。各拠点での戦闘は熾烈を極め、捕縛された《教団》信者の大半が自決し、更に「儀式」の犠牲となった子供達の無残な遺体が大量に発見されるなど、地獄絵図そのものの光景が繰り広げられた。この作戦で《教団》本体は壊滅したが、大陸各地に残党が潜んで復活の時を待ち受けている。
『黎の軌跡』において壊滅した《D∴G教団》が接ぎ木の形で存続していたことが判明する
ローゼンベルク工房
高名な人形師が工房長を務める人形工房。製作される人形は一体数万ミラの価値が付けられるほどである。人形だけでなく、アルカンシェルの舞台装置の制作も行っており、卓越した技術を有している。実は《身喰らう蛇》の《十三工房》の出先機関。

注釈

  1. ^ 「碧」作中において、「零」作中に登場した『クロスベルタイムズ』が「04年度前期」分としてクロスベルタイムズ社にアーカイブされている。また「碧」作中の『クロスベルタイムズ(1)』において、「'05年度」を「来年度」と扱っている。
  2. ^ 「審判の指環」の連載時及び「零の軌跡」連載開始時の誌名は『電撃王』。「零の軌跡」連載中の2011年12月号より『電撃マオウ』に誌名変更。

出典

  1. ^ a b 日本ファルコム『IR情報』2010年4月23日。
  2. ^ a b 日本ファルコム『IR情報』2010年7月2日
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  5. ^ 欢乐百世获《英雄传说:碧之轨迹》代理权
  6. ^ a b c 日本ファルコム『IR情報』2011年3月24日。
  7. ^ a b c 『電撃PlayStation』vol.492、20頁
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  9. ^ 大众软件2013年中国电脑游戏产业报告
  10. ^ 「PlayStation® Awards 2010」受賞タイトル及び「PlayStation® Awards コレクション」シリーズ展開と購入キャンペーンのご案内〜抽選で100名様にPS3®専用地上デジタルレコーダーキット「torne(トルネ)™」をプレゼント〜”. プレイステーション®オフィシャルサイト. ソニー・コンピュータエンタテインメント (2010年12月3日). 2011年11月14日閲覧。
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  16. ^ 日本ファルコム『IR情報』2010年4月26日
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  18. ^ a b 日本ファルコム『IR情報』2010年12月21日
  19. ^ キャラアニ、角川ゲームス、日本ファルコム、ピラミッド PS Vita「英雄伝説 零の軌跡 Evolution」制作発表会を開催~今夏発売予定、価格はカード版が6,090円、DL版が5,040円~,Game Watch,2012年2月10日
  20. ^ PS VITA「英雄伝説 零の軌跡 EVOLUTION」”. 2012年6月2日閲覧。
  21. ^ ファルコムオンラインショップ”. 2013年4月19日閲覧。
  22. ^ “あの“碧の軌跡”がフルボイスとなってPS Vitaに登場。「英雄伝説 碧の軌跡 Evolution」が2014年に発売”. 4Gamer.net. (2013年7月11日). https://www.4gamer.net/games/225/G022506/20130711022/ 2013年7月11日閲覧。 
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  41. ^ 日本ファルコム『IR情報』2014年6月20日。





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