花になって
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背景・リリース
2023年10月1日、同月22日から放送開始される日本テレビ系アニメ『薬屋のひとりごと』のオープニングテーマが「花になって」に決定したことを発表[4]。メンバーはかねてより漫画化された同作を愛読していて、主題歌の依頼があった時は大声をあげて驚いてしまうほどの事でした
と語っている[5]。楽曲はコンペ形式で選ばれた[6]。
10月22日、12月6日に8枚目のシングルとして発売することを発表[7]。初回生産限定盤(CD+Blu-ray)、通常盤(CD)、期間生産限定盤(CD+Blu-ray)の3形態での発売で、初回生産限定盤に付属のBlu-rayには5月から7月にかけて開催された『pink blue tour 2023』のドキュメンタリー映像、期間生産限定盤に付属のBlu-rayにはテレビアニメ『薬屋のひとりごと』のノンクレジットオープニング映像を収録[7][8]。また、初回生産限定盤には『pink blue tour 2023』の模様を収録したフォトブックが付属し、期間生産限定盤はテレビアニメ『薬屋のひとりごと』の描き下ろし絵柄を使用したデジパック仕様になっている[7][8]。
10月29日、CDの発売に先駆けて先行配信が開始された[9][10]。
11月15日、ミュージック・ビデオが公開された[11]。
制作・レコーディング
「花になって」について、メンバーは、"日陰に咲く花"をテーマに、愛らしいキャラクターたちが動くことを想像しながら楽しく制作させて頂きました
と語っている[5]。小林や穴見によれば楽曲について、アニメサイドからキャッチーで中毒性がある
曲というリクエストがあったという[6][12]。作曲は穴見によるもので、ギターを弾きながらメロディーを考えている中で最後のピアノのフレーズが作られ、これをきっかけに書き上げられた[6]。曲の最初に入っているクラップは、穴見が漫画を読んだ時にけっこう引き絵が多いというか、景色が広い“大陸感”みたいなもの
を感じたことに触発されて加えられた[6]。
歌詞のテーマとしてアニメサイドから「自己愛」というキーワードが挙げられていて、作詞を担当した長屋はそれを主人公の猫猫をはじめとした登場人物とどう結びつけるかを考えたとし、主人公って明るかったり勇敢だったり、そういうイメージが強いと思うんですけど、猫猫ちゃんはわりと真逆だし、個人的には表情も面白いなと感じていて。笑うにしても不気味な感じで、でも、それがかわいいんですよね。そういう部分は私も魅力に感じていたので、ありのままの自分を愛してほしい、みたいな自己愛から歌詞を書いていきました
と説明している[6]。長屋によれば、元々本作と同様のテーマで別の曲を作ろうとしていたが、(歌詞のイメージはありながら)メロディーが思い浮かばず、諦めかけていたところにアニメ主題歌の依頼がきたという[6]。歌詞中の「あんじゃない」という言葉遣いは、猫猫の性格に由来する[13]。
楽曲制作は2023年初頭から始められ、レコーディングはアルバム『pink blue』の制作中だった2023年1月に行なわれた[12][1]。編曲は穴見と川口圭太の共作で、穴見は当初「ドッシリとしたロックサウンド」を想像しながら制作を行っていたが、川口の手によりギターの早弾きや二胡や銅鑼をはじめとした中国の伝統楽器が取り入れられた[6]。コーラスの掛け合いはちょっとコミカルでかわいらしい遊び心みたいな要素
として加えられた[6]。ピアノのフレーズは、ほとんどデモ段階のままとなっている[6]。
夢と悪魔とファンタジー
シングルにはカップリング曲としてZIP-FM開局30周年記念ソングとして制作された「夢と悪魔とファンタジー」(ゆめとまほうとファンタジー、英題: Dream, Devil & Fantasy)を収録[14]。発売に先駆け、10月31日から12月5日までフルサイズでオンエア[14]。
作詞は小林が手がけ、作曲は穴見とpeppeの共作となっている[13]。楽曲は2021年に穴見とpeppeが作ったメロディから発展したもので、穴見は当初からミュージカルのように展開にあふれた曲
をやりたいと思っていたと語っている[13]。作詞を手がけた小林は、歌詞を書く前に「夢を忘れた若者」を主人公とした短編小説を書いた[13]。当初この小説を基に長屋に歌詞を書いてもらおうとしていたが、「初めてのやり方」だったことや、長屋が小説をどうやって歌詞にすればいいかで悩んだことから小林自身が歌詞を書くこととなった[13]。作詞時点で長屋もフルで歌詞を書いており、長い議論を経てカップリング曲としてチャレンジするなら
ということで小林が書いた歌詞が採用された[13][注釈 2]。歌詞について小林は小さい頃に抱いていた夢も、いつしか「夢は夢だから」と分別しちゃって、現実に持ち込もうとしない人も多いと思うし。そこをこじ開けるような、1歩を後押しできるような歌詞にできればいいなと思ったんです
と語っている[13]。
アウトロのピアノのフレーズは、緑黄色社会の楽曲と比較して長くなっている[15]。またピアノのペダルが切れる音も含まれているが、これはpeppeいわく物語が終わって本を閉じる瞬間
をイメージしたもの[15]。また、デモ段階で曲の冒頭と最後に入っていた街の雑踏音は、アレンジャーのLASTorderによって楽器で表現されている[15]。
評価
第三者による評価
音楽ライターの森朋之は、本作のサウンドを空間を切り裂くようなギターフレーズで幕を開け、エフェクティブなベースの音像、鋭く突き進むビート、80'sニューウェイブを想起させるシンセなどを融合させたバンドサウンド
と表現し、スリリングな旋律を響かせながら長屋は、“日陰に咲く花”をコンセプトにした歌詞を描いてみせる。美しい毒と華やかな香りが共存する楽曲のイメージは、緑黄色社会の新機軸と言っていいだろう
と評した[16]。
『ROCKIN'ON JAPAN』(2024年1月号)でシングルのレビューを手がけた畑雄介は、「花になって」をサウンド密集型の楽曲
、「夢と悪魔とファンタジー」を放出型の楽曲
と見なし、全編を滑らかに支配するpeppe(Key)の超絶技巧のピアノが仕掛け絵本のような立体感のある曲を鮮やかにめくってゆく
長屋が咲かせる「花」には《毒》が、小林が描く「夢」には《悪魔》が見え隠れしていて、それもまたリョクシャカらしいキャラクター
と評した[17]。
チャート成績
2023年11月1日に公開されたオリコン週間デジタルシングル(単曲)ランキングでダウンロード数12,421DLを売り上げて初登場5位を記録し、翌週のランキングで17,318DLを売り上げて2位にランクインした[18]。以来12月18日付のランキングまで7週連続でトップ5入りし、12月13日時点で累計ダウンロード数は63,995DLを記録している[19]。
2023年11月1日に公開されたBillboard Japan Download Songsで4,573DLの売り上げで初登場7位を記録し[20]、翌週のチャートで11,375DLを売り挙げて2位にチャートインした[21][注釈 3]。2023年11月8日に公開されたBillboard Japan Hot Animationでは初登場6位を記録[22]。
Billboard Japan Streaming Songsでは、2023年11月8日に公開されたチャートで初登場75位を記録[23]。その後2023年12月27日に公開されたチャートから6週連続で上位10位以内に在位し[24]、2024年1月17日に公開されたチャートで最高位となる6位を記録[25]。その後、22週目のチャートインとなった2024年4月3日で1億回を超える累計再生数を記録[24]。緑黄色社会にとって累計再生数1億回突破は「Mela!」以来2曲目となった[24]。
CDシングル『花になって』は、2023年12月18日付のオリコン週間シングルランキングで6,420枚を売り上げて初登場8位を記録[26]し、同日付のBillboard Japan Top Singles Salesでは6,519枚を売り上げて初登場7位を記録した[27]。
注釈
出典
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- ^ 畑陽一郎(編)「Certification 2024年1月度」『The Record』第750巻2024年3・4月合併号、日本レコード協会、東京都港区、2024年3月29日、14頁。
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