神理教
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教説と特徴
基本的な教説は『神理図』[25]に説かれており、この図に解説を加えるための著書が『神理図解』[13]である[26]。思想は晩年までほとんど一貫しており、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)を中心からなる、日と月、世界と人の成り立ちと、こういった神のはたらき(理)を通した人への教えである[26]。先代旧事本紀大成経や竹内文書など、古史古伝的な要素も見られる。
祭神
饒速日命から十代目の五十言宿禰に端を発し、天之御中主神から天照皇太神までの十八柱を天在諸神(あめにますもろもろのかみ)として奉斎する。 天之御中主神、高皇産霊神、神皇産霊神、宇摩志阿斯訶備比古遅神、天之常立神、国之常立神、豊雲野神、宇比地邇神、須比智邇神、角杙神、活杙神、大戸之智神、大戸乃辨神、面足神、稜惶根神、伊邪那岐神、伊邪那美神、天照大神、以上十八柱神。 ほかに月夜見神、豊受姫神、経津主神、武甕槌神、大国主神、少彦名神、祓戸大神、野見宿禰命、饒速日命、彦須根大神が祭られている[27]。巫部大祖として忍穂見命を祭る。
神理図
『神理図』では、神の司る気があまねく満ち、天地開闢から神々と世界の成り立ちが説明され、子孫間にまたがる善因善果が簡潔に説明される[28]。
産土神
産土神(うぶすながみ)の考察である『産須根神考』では、産須根とは人が生まれた根であり、氏神であり氏の神であり、産土であるから地主神でもあり、さかのぼれば神の氏であるから、それが一家の氏となり村や地名の氏となったものもある。現在では、なになに八幡とかなになに天神、あるいは地名をつけているけれどもとはその氏神の古い呼称であるから、産土神として奉るのがいいと説かれていく。
宇賀神
『宇賀神本義』では教会内の稲荷は、宇賀御魂(うかのみたま、『日本書紀』の倉稲魂命)、豊宇気毘売(とようけびめ)、宇気母智(うけもち)とされる。伏見稲荷大社や豊受大神宮の祭神でもあり、御饌(みけ)の神である。一生を通じて食物・着物と、この神の恩のないときはないので仰ぎ祭っている。
五行神
復古神道系に分類され神典を重視しているにもかかわらず五行説も重視している。教派神道の研究学者である井上順孝によれば、教派神道の中でも経彦は五行説をもっとも取り入れている[29]。 他の流派も含めて習合神道では一般的に、土神=ハニヤスヒコノカミ・火神=カグツチノカミ・金神=カナヤマヒメノカミ・水神=ミズハノメノカミ・木神=ククノチノカミを五行神としているが、経彦もこの説を採用している。更にこれに加えて、これら五行神を祖として五色人が発祥したという。
- ^ “神理教の大教殿前”. 神理教. 2012年8月20日閲覧。
- ^ 井上順孝 1991, p. 226.
- ^ a b 井上順孝 1991, pp. 150–151.
- ^ a b c d 井上順孝ほか編 1996, p. 134.
- ^ a b 文化庁編さん 2011, pp. 5–6.
- ^ a b 井上順孝 1991, pp. 150–155.
- ^ 佐野経彦『神理教由来記』神理教本院、1894年。
- ^ 井上順孝 1991, p. 137.
- ^ 井上順孝 1991, pp. 137–138.
- ^ a b 井上順孝 1991, p. 139.
- ^ 神理教本院 1940, pp. 46–47.
- ^ 神理教本院 1940, p. 47.
- ^ a b 佐野経彦『本教神理図解』
- ^ 佐野経彦 1930, p. 4.
- ^ 井上順孝 1991, p. 162.
- ^ a b 井上順孝 1991, pp. 179–180.
- ^ 井上順孝 1991, pp. 164、182-186.
- ^ “神理教の大元稲荷神社”. 神理教. 2012年9月20日閲覧。
- ^ a b 井上順孝 1991, p. 140.
- ^ 井上順孝 1991, p. 141.
- ^ 井上順孝ほか編 1996, p. 457.
- ^ 神理教本院 1940, p. 50.
- ^ 神理教本院 1940, p. 51.
- ^ a b c 井上順孝 1991, p. 183.
- ^ 向谷匡史 1995.
- ^ a b 井上順孝 1991, pp. 214–220.
- ^ 井上順孝 1991, p. 229.
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- ^ a b c d e f g h 井上順孝 2003.
- ^ a b c d e f g 井上順孝 2008.
- ^ a b c d 井上順孝 2006.
- ^ a b c d “神理教”. 宗教情報リサーチセンター. 2012年9月30日閲覧。
- ^ a b c d 井上順孝ほか編 1996, p. 456.
- ^ a b 井上順孝ほか編 1996, p. 413.
- ^ “文部科学省人事”. 朝日新聞: p. 5. (2009年4月1日)
- ^ a b 文化庁『宗教年鑑 令和5年版』 P61
- ^ 『雑誌新聞総かたろぐ2011年版』メディア・リサーチ センター、2011年5月、574頁。ISBN 978-4895540414。
- ^ 「特集開教百三十周年記念大祭に向けて神理教のいろはに」『神理雑誌』2010年4月、6-9頁。 教会一覧の出典
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