疑惑 (松本清張)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/19 09:24 UTC 版)
あらすじ
この節にあるあらすじは作品内容に比して不十分です。 |
T市の新港湾(映画版では富山新港湾)の岸壁で、鬼塚球磨子(おにづかくまこ)と夫・白河福太郎の乗った車が、時速40キロのスピードで海へ突っ込み、夫が死亡する事件が起こった。球磨子は車から脱出し助かったが、保険金殺人と疑われ警察に逮捕される。
新聞記者の秋谷茂一は、球磨子が新宿でのホステス時代にヤクザとつるんで詐欺・恐喝・傷害事件を起こしたこと、資産家である福太郎と結婚した直後、夫に巨額の生命保険をかけたことを詳細に報じた上で、球磨子を「北陸一の毒婦」と糾弾する署名記事を書いた。秋谷の記事を契機に他のマスコミも追随、日本中が球磨子の犯行を疑わないムードになった。
裁判の途中から球磨子の国選弁護人を引き受けた佐原卓吉(映画版では佐原律子、2019年ドラマ版では佐原卓子)は民事専門で刑事弁護の経験に乏しかった。球磨子の犯行を確信する秋谷は、佐原に状況を覆す力はないと高をくくっていた。
しかし佐原は意外にも証人尋問で球磨子に不利な証言を巧みに覆してゆき、球磨子が無罪となる観測も出始める。球磨子の過去の行状から、秋谷は自由の身となった球磨子がヤクザを率いて「お礼参り」にやってくるのではないかと怯える。
佐原は球磨子が事件を起こしたのではなく、福太郎が無理心中を図ったと推理。車内に残された遺留品からその方法を解明して秋谷に説明し「彼女を救い出す」と自信を見せる。
佐原は事務所で球磨子の無罪を主張する弁論要旨を執筆する。恐怖のあまり正常な神経を失った秋谷が鉄パイプを手に事務所の前に現れるところで物語は終わる。
注釈
- ^ 『青春の門 自立篇』と併せての受賞。
- ^ 『セーラー服と機関銃』等と併せての受賞。
- ^ 『幻の湖』と併せての受賞。
- ^ 『道頓堀川』と併せての受賞。
- ^ 『道頓堀川』と併せての受賞。
- ^ 原田・松本共に『道頓堀川』と併せての受賞。
- ^ 『疑惑戦線-松本清張スーパー・ドキュメントブック』(1982年、工作舎)に、鼎談「男が疑う、女が惑わす」が収録されている。
- ^ 実際には、各撮影日の前日に自らセリフをアレンジし、本番ではそれに合わせてアドリブで動作を付けるなどした。
- ^ 一例として、球磨子が律子との初対面のシーンで「嫌いだな〜私、あんたの顔」というセリフ。また、「鬼塚球磨子って名前がよくないのよ。これが“早乙女静香”とかなら印象が違うと思うな」というセリフも桃井のアイディア[3]。
- ^ 本人によると、「裁判を見て思ったのは“弁護士は演技者”ということ。その様子を参考に、本作では証人によって質問時の言葉遣いや表情を色々と変えました」とのこと[3]。
- ^ 撮影の川又昴や古田求からそのように聞いたと、白井佳夫と西村雄一郎は述べている[8]。
- ^ 竹山が脚本を手がけた清張原作テレビドラマは、新規脚本が全12作、本作のような改稿作品も含めると全16作にのぼる。
出典
- ^ 「邦画フリーブッキング配収ベスト作品」『キネマ旬報』1983年(昭和58年)2月下旬号、キネマ旬報社、1983年、117頁。
- ^ 林悦子『松本清張映像の世界 霧にかけた夢』(2001年、ワイズ出版)22-24頁参照。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x 週刊現代2022年10月15・22日号・週現「熱討スタジアム」・第447回「映画『疑惑』を語ろう」p140-143
- ^ 林『松本清張映像の世界 霧にかけた夢』21-22頁参照。
- ^ 『松本清張傑作映画ベスト10 第8巻 疑惑』(2010年、小学館)参照。
- ^ a b 岩下志麻「松本清張先生原作の映画に出演して」(『松本清張研究』第13号(2012年、北九州市立松本清張記念館)収録)参照。
- ^ 『松本清張傑作映画ベスト10 第8巻 疑惑』参照。
- ^ 白井佳夫・大木実・西村雄一郎「映画『張込み』撮影現場からの証言」(『松本清張研究』第2号(1997年、砂書房)収録)参照。
- ^ 林『松本清張映像の世界 霧にかけた夢』22頁参照。
- ^ 上記・10年前の映画版では検事を演じていた。当版では正反対の立場で弁護士を演じ、10年前に比較して劇中での格も上がっている。
- ^ 本作の脚本・竹山が1991年に手がけた清張作品『砂の器』にも佐藤は出演していた。
- ^ 1980年代、90年代に清張作品の脚本を1作ずつ手がけており、本作が通算3作目の清張作品となった。
- ^ 17年ぶり実に3度目の『疑惑』出演となった。
- ^ a b c d e f g h i j k l “米倉涼子、津川雅彦さんを偲ぶ「“人間”を感じる方でした」”. ORICON NEWS. オリコン. (2018年12月28日) 2018年12月28日閲覧。
- ^ a b “津川雅彦さん、遺作は清張作品 米倉涼子ら出演のテレ朝「疑惑」”. Sponichi Annex. スポーツニッポン新聞社. (2018年8月9日) 2018年8月9日閲覧。
- ^ a b c d “津川雅彦さん最後のドラマはテレ朝「疑惑」来年放送”. 日刊スポーツ. (2018年8月9日) 2018年8月9日閲覧。
- ^ “テレビ朝日開局60周年記念 松本清張ドラマスペシャル「疑惑」の音楽を担当しました。”. 住友紀人公式サイト (2019年1月5日). 2019年2月12日閲覧。
- 疑惑 (松本清張)のページへのリンク