生徒会探偵キリカ
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制作背景
著者の杉井曰く「巨大学園生徒会もの&高校を舞台とした探偵もの」[注 7]。杉井は「自分の高校生活の約半分を注いだ生徒会活動はいつか作品で描写してみたいと考えていた」との趣旨で執筆の狙いを述べ、「高校生の探偵の話は既に他社で書いているものの、その作品では最近さっぱり学校に行っていないので高校の話は書けていなかった」とも述べている[注 7]。杉井はまた、舞台となる白樹台学園の各機関(総務執行部・監査委員会・中央議会等)は自身の出身高校に存在したものをモデルにしていると述べ[注 5]、作中で描写される学校行事についても同様であるとしている[注 8]。
講談社ラノベ文庫担当編集者へのインタビュー記事では「文庫創刊にあたって杉井先生に執筆を依頼した際にはファンタジーものであったはずが、いつの間にかこうなっていた」との趣旨で本作について語られている[1]。これについては杉井自身も同様の趣旨のことを述べている[注 7]。
評価
北日本新聞の書評欄において本作が取り上げられており「少年向けの青春小説の第一人者として活躍する著者による、ミステリータッチの学園ラブコメディー」として紹介されている[2]。また、漫画版連載開始を紹介した記事においては、本作は「変わり者が集う生徒会を舞台にした学園ラブコメ」と評されている[3]。さらに、「引きこもりのヒロインが不器用な形で自らのレゾン・デートルを学園という世界に問いかける姿が切ない。作者のテイストを踏まえつつ新境地を開く本作に期待」「総務執行部の女性陣3人のボケにツッコミを入れ続ける主人公という構図のテンポがよい」との趣旨で本作は評されてもいる[4]。講談社ラノベ文庫編集者へのインタビュー記事においては、「キャッチフレーズ『ハイテンション学園ラブコメ・ミステリー』のとおり、テンポ良い会話のやりとりと謎解き的な面白さが本作の魅力」との趣旨で語られている[1]。
既刊一覧
小説第3巻とコミック第1巻は同時発売であり、一部書店では同時購入者に対して本作のオリジナル特典グッズの配布を行った[5]。小説のみ、コミックのみの購入者に特典グッズを配布した書店もある[5]。 また、小説第4巻・コミック第2巻も結果として同時発売(2013年6月7日付)となり[注 9]、これを機としたキャンペーンが行われている[6]。
小説
講談社ラノベ文庫より刊行。他に尖端出版(台湾)より2012年11月より翻訳版が刊行されている[7]。
タイトル | 発売日[8] | ISBN | |
---|---|---|---|
1 | 生徒会探偵キリカ1 | 2011年12月2日 | 978-4-06-375204-5 |
2 | 生徒会探偵キリカ2 | 2012年3月30日 | 978-4-06-375229-8 |
3 | 生徒会探偵キリカ3 | 2012年10月2日 | 978-4-06-375259-5 |
4 | 生徒会探偵キリカ4 | 2013年6月7日 | 978-4-06-375305-9 |
5 | 生徒会探偵キリカ5 | 2014年1月31日 | 978-4-06-375355-4 |
6 | 生徒会探偵キリカ6 | 2015年6月2日 | 978-4-06-375372-1 |
7 | 生徒会探偵キリカS1 | 2019年12月2日 | 978-4-06-517170-7 |
漫画版
生徒会探偵キリカ
『月刊少年シリウス』にて2012年6月号から2015年5月号まで連載し、2015年4月23日から2015年11月25日まで『水曜日のシリウス』にて連載。原作は杉井光、漫画はYUI、キャラクター原案はぽんかん⑧。単行本はシリウスKCより刊行されている。
表現するメディアの違いからストーリーの展開に若干の変更が加えられているものの、ほぼ小説の内容に沿った形での漫画化である。一方で、作画のYUIにより漫画版オリジナルのエピソードが挿入されてもいる[注 10]。ストーリー進行としては、単行本第2巻までの時点で朱鷺子が未登場であるなど、小説第1巻の半ばまでに相当するものとなっている。
原作者の杉井は連載開始号である6月号巻末の作者コメントにおいて「読者気分で毎号楽しみにします」との趣旨のコメントをしている。また、小説第3巻あとがきにおいては「異例の早さで漫画化が決まったため、連載準備に入った時点では原作は1巻分しかなくYUIさんの苦労が偲ばれる」との趣旨のコメントをしている。
タイトル | 発売日[8] | ISBN | |
---|---|---|---|
1 | 生徒会探偵キリカ1 | 2012年10月2日 | 978-4-06-376361-4 |
2 | 生徒会探偵キリカ2 | 2013年6月7日 | 978-4-06-376396-6 |
3 | 生徒会探偵キリカ3 | 2013年12月27日 | 978-4-06-376434-5 |
4 | 生徒会探偵キリカ4 | 2014年4月9日 | 978-4-06-376459-8 |
5 | 生徒会探偵キリカ5 | 2014年11月7日 | 978-4-06-376497-0 |
6 | 生徒会探偵キリカ6 | 2015年4月9日 | 978-4-06-376538-0 |
7 | 生徒会探偵キリカ7 | 2015年7月9日 | 978-4-06-376555-7 |
8 | 生徒会探偵キリカ8 | 2016年7月8日 | 978-4-06-376582-3 |
9 | 生徒会探偵キリカ9 | 2016年7月8日 | 978-4-06-390610-3 |
生徒会探偵キリカたちの日常
「水曜日のシリウス」で2014年4月から2015年5月まで連載。原作は杉井光、漫画は福田直叶、キャラクター原案はぽんかん⑧。
タイトル | 発売日[9] | ISBN | |
---|---|---|---|
1 | 生徒会探偵キリカたちの日常1 | 2014年11月7日 | 978-4-06-376511-3 |
2 | 生徒会探偵キリカたちの日常2 | 2015年4月9日 | 978-4-06-376544-1 |
3 | 生徒会探偵キリカたちの日常3 | 2015年7月9日 | 978-4-06-376557-1 |
その他
著者は天王寺狐徹。講談社ラノベ文庫より刊行。小説ではなく、孤徹が説く政治の入門書。
タイトル | 発売日[8] | ISBN | |
---|---|---|---|
1 | 天才美少女生徒会長が教える民主主義のぶっ壊し方 生徒会探偵キリカ 番外 |
2019年12月2日 | 978-4-06-517875-1 |
注釈
- ^ 小説第3巻第4節参照。
- ^ 作中で「日影」の表記が見られるのは「日影」という表記そのものを話題としている箇所、および小説第3巻における真央によるひかげへの呼びかけ時のみである。
- ^ 小説第2巻第5節で美園本人が「母親がオーストリア人で5歳までザルツブルクにいた」と述べている。
- ^ 総務執行部役員として同時期に活動したことのある朱鷺子も小説第2巻第1節において駿を能力面では評価している発言をしている。また、料理面でも小説第3巻第5節において「神林の家に帰ると先輩と母の料理の腕の差を痛感した」との趣旨の発言をしている。
- ^ a b 小説第3巻あとがきにおける記述より。
- ^ 作者の杉井は小説第3巻あとがきにおいて「漫画版開始にあたっての設定資料として学園の地図や建物の見取り図を書いたことで、小説第2巻の最終エピソードにも生かせた」との趣旨のコメントをしている。
- ^ a b c 小説第1巻あとがきにおける記述より。
- ^ 小説第4巻あとがきにおける記述より。
- ^ 小説第4巻は当初2013年5月刊行作品としてアナウンスされていたが、最終的に6月刊行作品として2013/6/7にコミック第2巻と同時刊行となった。
- ^ 単行本第1巻あとがきにおいて原作者の杉井も指摘している。
出典
- ^ a b “ラノベ質問状:「生徒会探偵キリカ」 ファンタジーもののはずが気が付いたら……”. まんたんウェブ. (2012年5月11日) 2012年8月28日閲覧。
- ^ 北日本新聞 2012年6月17日付書評欄「今が旬」
- ^ “"ラノベ「生徒会探偵キリカ」がマンガ化、シリウスで始動"”. コミックナタリー. (2012年4月26日) 2012年8月25日閲覧。
- ^ 『このライトノベルがすごい!2013』(宝島社)p.128. および『このライトノベルがすごい!2014』p.119.
- ^ a b “"「生徒会探偵キリカ」フェア、カードや学生証が特典に"”. コミックナタリー. (2012年10月2日) 2012年10月5日閲覧。
- ^ “『生徒会探偵キリカ』キャンペーンサイト”. 講談社コミックプラス 2013年6月9日閲覧。
- ^ “學生會偵探桐香(01)-小說 尖端出版SPP網站”. 尖端出版 2014年5月9日閲覧。
- ^ a b c “講談社コミックプラス - 生徒会探偵キリカ - 既刊”. 講談社コミックプラス 2016年7月26日閲覧。
- ^ “講談社コミックプラス - 生徒会探偵キリカたちの日常 - 既刊”. 講談社コミックプラス 2016年7月26日閲覧。
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