特別区
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/07 08:54 UTC 版)
沿革
特別区は、現行の地方自治法においては、その第281条の2第2項において都の地域内に存在する基礎自治体の一つとして位置づけられている。特別区の制度は、1947年(昭和22年)に公布された地方自治法に定められた。
なお、「特別区」という用語は特別区の制度創設当初から現在まで、日本において存在する地方公共団体としての「都」が東京都のみであり、実質的には「東京都区部(東京23区)」として用いられている。
特別区の制度は、明治時代に定められた区制、市制などの大都市制度を基とする。
1878年(明治11年)、東京府において郡区町村編制法が施行されて、宮城(皇居)周辺の都心部に、15区が定められた。1889年(明治22年)には、この15区に市制が施行され、東京市となる。
1932年(昭和7年)、周辺82町村が編入される。このとき、既存の15区に加えて、新たに20区が定められ、35区となった。第二次世界大戦中の1943年(昭和18年)には東京都制が施行されて、東京府および東京市は廃止され、35区は東京都の行政区となる。
1947年(昭和22年)3月、35区のうち24区が11区に再編され、再編されなかった11区とあわせて22区となった。同年5月、地方自治法が施行されて22区は特別区となった。同年8月、板橋区から練馬区が分区されて23区となった。制度創設から長らく、特別区は東京都の「内部的団体」と位置付けられ、日本国憲法93条2項の「地方公共団体」にあたらないと解されてきた[2][3]。
その後、2000年(平成12年)の地方分権改革により、特別区は「基礎的な地方公共団体」と規定され、その母体である東京都から相当程度の独立性を与えられた。ただし、特別区の法的地位は未だに「特別地方公共団体」であり、固定資産税の賦課徴収や消防責任など、本来は市町村の権限に属するものが東京都(特別区の連合体としての地位にある東京都)に留保されており、また都区財政調整制度のような地方税の特殊な分配制度があるなど、市町村のような「普通地方公共団体」と同一の権能を有するわけではない。
注釈
出典
- ^ “大都市地域における特別区の設置に関する法律”. e-Gov法令検索 デジタル庁. 2022年1月26日閲覧。
- ^ 最高裁大法廷判決、昭和38年3月27日刑集17巻2号121頁を参照。
- ^ a b c 特別区長公選制廃止事件 跳躍上告審判決(判決文全文) 京都産業大学公式サイト
- ^ 大都市地域における特別区の設置に関する法律(平成24年法律第80号)概要 総務省公式サイト
- ^ 東京都の県庁(都庁)所在地について 東京都政策企画局 公式サイト
- ^ a b c 特別区長公選制廃止事件 第一審判決(判決文全文) 京都産業大学公式サイト
- ^ 払拭されない「大東京市の残像」って何だろう? 特別区協議会公式サイト「飯田橋博士の特別区基礎講座」参照。
- ^ 特別区長会HP・「都区のあり方検討委員会及び都区のあり方検討委員会幹事会の記録」。このページのリンク先の『第二次特別区制度調査会報告 「都の区」の制度廃止と「基礎自治体連合」の構想』 を参照。
- ^ 大都市地域における特別区の設置に関する法律案 衆法第180回(常会)・議案番号第28号。
- ^ 大都市地域における特別区の設置に関する法律の一部の施行期日を定める政令・平成24年政令第243号
- ^ 第180回国会衆議院総務委員会議録第15号32頁(平24.8.7)
- ^ “道府県における特別区設置に係る手続の創設” (pdf). 立法と調査 2012.11 No.334. 2019年8月18日閲覧。
- ^ “市町村の名称について” (pdf). 2013年2月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年8月18日閲覧。
- ^ “令和2年国勢調査”. 総務省統計局. 2022年1月26日閲覧。
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