抵抗権
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/04 23:21 UTC 版)
欧州
中世
西欧においては、国家はキリスト教法思想では神の前において原則として望まれたものであり、一方で国家の権威には良心の限界があり、抵抗権は「汝殺すなかれ」の限界がおかれ、あくまで消極的意味での政治的主張であった[1]。
一方でゲルマン法思想によれば明示的契約(盟約)に反する行為に対する抵抗は積極的意味で肯定された主張であり、もし君主が法を破れば臣民は契約上の義務から解放されて、抵抗の権利と義務を持つに到ると解されていたとされる[2]。
ポーランド・リトアニア共和国の「ヘンリク条項」
抵抗権の最も初期の明文化はポーランド・リトアニア共和国における国王と議会との協約であるヘンリク条項に見られる。黄金の自由と呼ばれる貴族民主主義制度下のポーランド・リトアニア共和国ではこの抵抗権とさらに以前から明文化されていた人身保護特権(ネミネム・カプティヴァビムス)に基づき、合法的な反乱である強訴(ロコシュ)が行われることがあった。
近代
市民革命
近代においてはジョン・ロックにより自然権の一つとして提唱され、アメリカ独立戦争やフランス革命の理論的根拠となった。ドイツでは戦う民主主義の実現理念として、ドイツ連邦共和国基本法の基本理念(第1章:民主主義を維持するために行使される自由と権利の絶対保障)を破壊する政治行動に対する抵抗権(第20条4項)が明文化されている。
ドイツ基本法における「抵抗権」
- ドイツ連邦共和国は、民主的かつ社会的連邦国家である。
- すべての国家権力は、国民より発する。国家権力は、国民により、選挙および投票によって、ならびに立法、執行権および司法の特別の機関を通じて行使される。
- 立法は、憲法的秩序に拘束され、執行権および司法は、法律および法に拘束される。
- すべてのドイツ人は、この秩序を除去しようと企てる何人に対しても、他の救済手段が存在しないときは、抵抗権を有する。
抵抗権と同じ種類の言葉
- 抵抗権のページへのリンク