幼稚園受験 幼稚園受験の概要

幼稚園受験

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/05 08:52 UTC 版)

幼稚園受験の現状

幼稚園受験自体はそう珍しいことではない。簡単に言えば、近所にある私立や公立の幼稚園に入園する前に、簡単な書類審査や面接をすることも広義で言えば幼稚園受験といえる。ただし、この記事で取りあげる国立や特定の幼稚園を受ける場合は様子が違ってくる。

近所にある幼稚園ではなく、あえてこれらの幼稚園を受験させる理由は家庭によって様々である。「幼小一貫教育でスムーズな教育を受けさせたい」「しっかりとした理念を持つ園と環境の中で子供を育てたい」という教育的事情、「系列の小学校へ幼稚園から内部進学し、小学校受験を避けたい」といった進学事情、「習い事や小学校受験に理解のある園や家庭の中で過ごしたい」「両親共働きなので都合の良い設備をもったところがいい」という環境的事情、「受験をするか、内部進学をするかどうかなどは一切決まっていないものの選択肢だけは広げておきたい」という今後の備えなどが挙げられる。「学力競争の中学受験は避けたい。小学校受験も人気の高まりにつれて難しくなってきたということで、幼稚園から高校・大学までエスカレーターで上がっていけるところがいい」という理由で受験を希望する者もいる[1]

一方、幼稚園の設立・運営の意図も様々である。これらの幼稚園は一条校として学習指導要領を踏襲しつつも、独自の教育方針・特色のある指導で教育を行っている。「系列校との幼小一貫教育のため」「系列の大学などでの教育実習の場のため」といったものから、「プリスクール同様に英語などの早期教育を行いたい」「運営母体の宗教の教えに従った子育てを行いたい」「公立よりも意識が高い保護者だけを集めた環境で、切磋琢磨させたい」「両親共働きだからと進学を諦めるのではなく、それをサポートしたい」などが挙げられる。

こういった保護者と幼稚園の互いの要求が一致したところで、入園希望者が募集定員を上回り、幼稚園受験という環境が生まれている[2]

そんな中にも少子化などの社会の波は少しずつ影響を及ぼしており、需要と供給のバランスが崩れて入園希望者が定員割れを起こしたり、園側の環境の変化で子供を受け入れられなくなったりすることで、規模縮小~閉園という展開をたどってしまう園も少なからず存在する[3]

一時期、「保育園に通っていると幼稚園受験・小学校受験に不利だ」という噂がまことしやかに流れたことがあるが、半分は嘘である。幼稚園が気にすることは、保護者が園を十分理解しているか、参加してほしい行事に保護者が出席できるかどうかなどである。両親共働きで保育園に通わせているような家庭は学校行事の参加が難しく、その場合は入園を嫌がられるであろうという推察が発端である。それは実際正しいのだが、共働きが珍しくない昨今では園も柔軟になっている。警察など緊急を要する職業はある程度は仕方ないとはいえ、保護者としては学校行事にはできる限り取り組んでいくし、なるべく都合をつけるように努力する。もし参加できない場合でも子供へのフォローはしっかりと行うという姿勢を示せれば問題はない[4][5][6]

幼稚園の種類

国立大学附属幼稚園

国立大学附属学校の系列の幼稚園で、現在の、そして今後の学習指導要領を検証するための実験園として運用される。系列校に進学できるかは園によって異なり、ほぼ全員が進学できるところもあれば、内部考査で合格した者だけの場合や、小学校受験の抽選を免除する程度でほぼ一般受験と同じというところもある。

私学の附属幼稚園

前述のとおり、幼小一貫教育の実践、早い段階での優秀な幼児の確保、ブランド力の維持、教育実習の場、独自の教育方針の実践などを目的として私学が設置した附属幼稚園である。国立同様、系列校に進学できるかは園によって異なり、内部進学が主流の園と、小学校受験で外部受験をすることが主流の園がある。

私学の人気園

俗に「受験幼稚園」と呼ばれることもある人気の私学幼稚園群。扱い的には一般的な私学幼稚園と同じである。通っている家庭の多くが小学校受験を想定しており、実質的に受験予備校的な存在になっている園が多い。教育意識が高い保護者が多く、子供を切磋琢磨させて成長させたいという目的で利用している。附属幼稚園同様、独自の教育方針を実践しており、一般的な私学の幼稚園より入試を意識した実践的な保育内容であったり、小学校受験に関する情報を提供したりと、様々なサポートが得られることが多い。受験をするかどうかは別にして、それらの独自の保育を目当てに利用する保護者も見られる。習い事や受験に関して寛容であり、中には「3年保育で入園して1年過ごした後、2年保育で再度幼稚園受験をして別の幼稚園に転園する」というケースもある。
小学校の附属園と違うところは、系列校がないため内部進学という道がそもそもない点である。小学校受験をするか、公立に進学をするかとなる。


  1. ^ 大学までのエスカレーターを狙うなら幼稚園から? 知られざる幼稚園お受験事情”. AERA dot.. 2020年1月1日閲覧。
  2. ^ 働くママの附属幼稚園受験 メリット・デメリット”. 日経DUAL. 2020年1月1日閲覧。
  3. ^ 短期大学附属幼稚園天使園 閉園のご挨拶”. 立教女学院短期大学. 2020年1月1日閲覧。
  4. ^ 保育園は小学校受験に不利って本当? 小学校の選び方と受験前に準備しておくべきこと”. 保育ネクスト. 2023年8月16日閲覧。
  5. ^ 保育園出身でも小学校受験が不利にならない理由とは?幼稚園にない良さ”. クラビノ. 2023年8月16日閲覧。
  6. ^ 「保育園からの小学校受験は難しい?」保育園児のメリットを生かして効率的に受験準備を進める方法”. お受験TOWN. 2023年8月16日閲覧。
  7. ^ なぜお受験では「紺のスーツ一色」になるのか”. 東洋経済ONLINE. 2020年1月1日閲覧。
  8. ^ miraicompass 小学校・幼稚園利用校一覧”. miraicompass. 2024年3月1日閲覧。
  9. ^ 学習塾業界における事業活動の適正化に関する自主基準”. 全国学習塾協会. 2019年12月3日閲覧。
  10. ^ 特定継続的役務提供”. 消費者庁 特定商取引法ガイド. 2019年12月3日閲覧。


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