布袋劇 人形

布袋劇

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/27 01:14 UTC 版)

人形

現代布袋劇人形

布袋劇で使用される人形の基本構造は身架、服飾、盔帽(頭部装飾飾)に分類される。身架には木製の頭部、布製の身体部、木製の手、布製の脚、木製の鞋が含まれ、伝統的な人形の大きさは約80cmである。

種類により分類すれば、布袋劇での役により、布袋人形も「生」、「旦」、「浄」の大きく3つに分類し、更にそれを出生、花臉、旦、神道、精怪、雑角などに分類することが出来る。人形師が「一擔籠」と俗称するこれらの人形は、伝統布袋劇では一つの布袋劇を上演するのに、この6小分類の各種80種類用意する必要がある。

これらの人形の頭部の多くは古くは中国泉州で多く生産されていた。1920年代以降、台湾では型を使用した頭部(賽璐珞)の製作が試みられたが、やはり泉州から輸入した唐山頭が主に使用されていた。唐山頭でも特に有名なのが塗門頭と花園頭である。塗門頭は主に泉州塗門街の周冕を号とすものであり、台湾では「塗頭」とも呼ばれて、花臉のものが有名である。花園頭は泉州環山郷花園頭村で生産されていたものであり、生、旦等のものを特異としている。泉州産の頭部で使用される木材の多くは銀杏と香梓木が使用されている。これに対し台湾ではが多用されている。製作の過程は荒削りしたのち、研磨、更に綿紙を塗った後にベースとなる「土底」と呼ばれるものを塗り、表面をファンデーション処理した後に、顔を形成し、最後に髪や鬚を取り付ける。

脚本

布袋劇のは自由に動く人形と音楽により伝承されており、脚本の多くは口伝されたもの、または講談師が出演者に述べた内容に従っており、書物として現在に伝わる伝統布袋劇の脚本は非常に少ない。当時口伝によっていた内容としては『三国志演義』、『西遊記』、『封神演義』、『水滸伝』等の奏せ何時が主体となっていた。

1945年以後、漳泉地区の布袋劇は衰勢となり、台湾布袋劇のみが発展を続けた。台湾布袋劇師の黄海岱中国語版は広く徒弟を募集し、その技能伝授のために自ら『五虎戦青龍』、『大唐五虎将』、『三門街』、『昆島逸史』、『秘道遺書』の脚本を成文化させた。また1960年代になると黄俊雄は著名な布袋劇作品である『雲州大儒侠』脚本を、黄海岱により『忠孝義勇伝』が完成している。

中国では漳州の漳州木偶劇団が1980年代の改革開放政策以降、児童劇を題材とした脚本を用いるようになり、台湾でも市民愛好者による布袋劇団でこの方法が試されている。それでも一般的には伝統的な脚本と、即興による台湾語による口白がなお布袋劇の大きな特徴とされている。

歴史

布袋劇の歴史は古く『武林旧事』、『東京夢華録』などの古籍の中の記載に遡るとされる。それは宋朝宮廷で執り行われた宴席の余興の中に既に人形劇であり、現在の布袋劇とは内容が異なるが、人形劇が泉州を発祥とした故事として広く伝わっている。

伝承では明代科挙に数度落第した梁炳麟が、福建省仙游県九鯉湖にある仙公廟に及第を祈願したところ、夢の中で一人の老人が梁炳麟の手の上に「功名帰掌上」と書き、これを吉兆とした梁炳麟であるが、応試で再度落第した。失望した梁炳麟は人形劇を学び始め、人形の中に手を入れる方式を編み出し、更に文学に造詣が深く、各種稗官野史を用いた物語が観客を魅了し、ここに布袋劇が始まったとされる。このほか明の隆慶(1567年-1572年)年間に、福建龍渓県の科挙に落第した孫巧仁により編み出されたとの説も有る。

17世紀中葉になると布袋劇は相当の人気を博し肩担劇のスタイルを取り入れるようになる。肩担劇とは簡易舞台を設置し、舞台下の人形師が方の上で人形を操作する芸能である。18世紀までに布袋劇は様々な地方で異なる職業集団が現れ、屋外で行う野台劇と室内で行う内台劇に分派した。その中で野台劇は各地を従業し、次第に諸神への感謝への芸能と変化し、簡単な舞台装置と少数の演出家により上演された。

内台劇は18世紀に登場したが、最も流行したのは20世紀になってからである。内台劇は豪華な舞台装置と野台劇に比べ大人数による演出が特徴である。一般には内台劇は一般の室内劇と同様の舞台装置を備え、人間の代わりに人形を使うものとされている。そのため京劇や映画の演出効果と重複するため内台劇は廃れるようになり、1980年代以降は特殊なものを除いて内台劇は福建及び台湾では殆ど見られなくなった。

これ以外に1960年代、内台劇はテレビ布袋劇という方式を発展させている。これはテレビ撮影セットのなかで布袋劇を演出するというものであり、台湾において相当の栄光を治めた。1990年代以降になるとケーブルテレビやDVD、映画等多くのメディアにより発信されている。


  1. ^ 日本人。「チャン チンホイ」は芸名。台湾布袋戯の陳錫煌・呉栄昌に師事。出典「台湾の布袋戯(人形劇)に魅せられて 文化交流で広げたい友好の心(『日中友好新聞』2012年02月15日号)
  2. ^ 台北偶戯館台湾文化部
  3. ^ 林柳新紀念偶戯博物館公式サイト
  4. ^ 林柳新紀念偶戯博物旅々台北、2011年8月19日
  5. ^ 雲林布袋戲館公式サイト





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