宇宙 宇宙論

宇宙

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/21 01:38 UTC 版)

宇宙論

ペトルス・アピアヌス (en:Petrus Apianus) による Cosmographia 。アリストテレスの説に沿ったコスモス像。天球の多層構造(アントワープ、1539年)
アルマゲスト』(George of Trebizond によるラテン語版、1451年頃)

宇宙について説明するにあたり、まず人類がどのように宇宙の理解を深めてきたか、おおまかな流れを解説する。

宇宙がいかに始まったかについての議論は宗教哲学上の問題として語られて続けている[6]。宇宙に関する説・研究などは宇宙論と呼ばれている。 古代インドのヴェーダでは無からの発生、原初の原人の犠牲による創造、苦行の熱からの創造、といった宇宙生成論があった。古代ギリシャではヘシオドスの『神統記』に宇宙の根源のカオスがあったとする記述があったが、ピタゴラス学派は宇宙をコスモスと見なし、天文現象の背後にひそむ的な秩序を説明することを追究した。秩序の説明の追究は、やがてエウドクソスによる、地球を27の層からなる天球が囲んでいる、とする説へとつながり、それはまたアリストテレスへの説へと継承された。2世紀ころのクラウディオス・プトレマイオスは『アルマゲスト』において、天球上における天体の動き(軌道)の数学的な分析を解説した。これによって天動説は大成され、ヨーロッパ中世においてもアリストテレスの説に基づいて宇宙は説明された。しかし天球を用いた天体の説明は、その精緻化とともに、そこにおける天球の数が増えていき、非常に複雑なものとなっていった。こうした状況に対し、ニコラウス・コペルニクスは従来の地球を中心とする説(地球中心説)に対して、太陽中心説を唱えた。この太陽中心説(地動説)は、当初は惑星軌道が楕円を描いていることが知られていなかったために周転円を用いた天動説よりも精度が低いものであったが、やがてヨハネス・ケプラーによる楕円軌道の発見などにより地動説の精度が増していき、天動説に代わって中心的な学説となった。宇宙は始まりも終わりも無い同じ状態であるものとアイザック・ニュートンは考え[6]、『自然哲学の数学的諸原理』の第3巻「世界の体系について」において、宇宙の数学的なしくみを説明し、地球上の物体も太陽の周りをまわる惑星も、それまで知られなかった万有引力というものを導入すれば数学的原理を用いて統一的に説明できる、ということを示してみせた。こうした理論体系を構築した背景には神学的な意図があったとも指摘されている。ニュートンが同著でユークリッド幾何学を用いつつ絶対空間・絶対時間という概念を導入したため、その後の西欧では多くの人々が宇宙を無限に均一に広がる空間だと見なし、静的で安定的なものだと考えていた。

科学的な分析が始まった[6]20世紀初頭でも科学者も含めてほとんどの人は宇宙は静的だと見なしていた。20世紀になりアルベルト・アインシュタインにより絶対時間・絶対空間を否定し、宇宙の不安定なモデル(宇宙方程式)が提示され[6]、1927年ベルギーの司祭ジョルジュ・ルメートルが「宇宙は“原始的原子”の“爆発”から始まった」とする説を提唱し、この説が後に「ビッグバン」と呼ばれるようになった。その説は最初は科学者などからも反発されたものの、やがて徐々に受け入れられるようになり、今日では多くの科学者が支持する「標準的宇宙論モデル」を構成する要素になっている。




注釈

  1. ^ 国際航空連盟、NASA等の諸活動を考慮した便宜的な定義
  2. ^ ここでいう「速度」の大きさとは地球のある位置から対象までの宇宙論的固有距離を宇宙時間で微分したものである。以下、「宇宙の大きさ」の項目における「速度」および「速さ」はこの定義に準ずる。
  3. ^ 450億光年先の空間は現在における光子の粒子的地平面である。
  4. ^ 「光行距離」は現代中国語での表現。日本語ではまだ Light travel distance の定訳はない。中国語でも Comoving distance の訳語は「共動距離」である。
  5. ^ 電磁波による観測に制限されない、観測可能な宇宙との違いに注意。
  6. ^ この2つのグループはライバル関係にあり、それらが同じ結論に至った事が観測の信ぴょう性を高めた。荒舩、p. 19

出典

  1. ^ a b 広辞苑【宇宙】
  2. ^ 『大辞泉』う‐ちゅう〔‐チウ〕【宇宙】]。
  3. ^ “Hubble's Deepest View Ever of the Universe Unveils Earliest Galaxies” (プレスリリース), NASA, (2004年3月9日), http://hubblesite.org/newscenter/archive/releases/2004/07/ 2008年12月27日閲覧。 
  4. ^ 宇宙”. トクする日本語. 日本放送協会 (2014年9月24日). 2014年9月25日閲覧。
  5. ^ フジテレビトリビア普及委員会『トリビアの泉〜へぇの本〜 5』講談社、2004年。
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m 荒舩、pp. 8-13、ビッグバンからはじまった宇宙
  7. ^ Rindler (1977), p.196.
  8. ^ Christian, Eric. “How large is the Milky Way?”. 2007年11月28日閲覧。
  9. ^ I. Ribas, C. Jordi, F. Vilardell, E.L. Fitzpatrick, R.W. Hilditch, F. Edward (2005). “First Determination of the Distance and Fundamental Properties of an Eclipsing Binary in the Andromeda Galaxy”. Astrophysical Journal 635: L37–L40. doi:10.1086/499161. http://adsabs.harvard.edu/abs/2005ApJ...635L..37R. 
    McConnachie, A. W.; Irwin, M. J.; Ferguson, A. M. N.; Ibata, R. A.; Lewis, G. F.; Tanvir, N. (2005). “Distances and metallicities for 17 Local Group galaxies”. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 356 (4): 979–997. doi:10.1111/j.1365-2966.2004.08514.x. http://adsabs.harvard.edu/cgi-bin/nph-bib_query?bibcode=2005MNRAS.356..979M. 
  10. ^ Mackie, Glen (2002年2月1日). “To see the Universe in a Grain of Taranaki Sand”. Swinburne University. 2006年12月20日閲覧。
  11. ^ 「宇宙図の見方」(国立天文台)
  12. ^ a b c d e f 荒舩、p. 20、宇宙は今、何歳なのか
  13. ^ Nine-Year Wilkinson Microwave Anisotropy Probe (WMAP) Observations: Final Maps and Results (PDF)”. 2013年1月29日閲覧。
  14. ^ Britt RR (2003年1月3日). “Age of Universe Revised, Again”. space.com. 2007年1月8日閲覧。
  15. ^ Wright EL (2005年). “Age of the Universe”. UCLA. 2007年1月8日閲覧。
    Krauss LM, Chaboyer B (3 January 2003). “Age Estimates of Globular Clusters in the Milky Way: Constraints on Cosmology”. Science (American Association for the Advancement of Science) 299 (5603): 65–69. doi:10.1126/science.1075631. PMID 12511641. http://www.sciencemag.org/cgi/content/abstract/299/5603/65?ijkey=3D7y0Qonz=GO7ig.&keytype=3Dref&siteid=3Dsci 2007年1月8日閲覧。. 
  16. ^ Planck 2013 results. XVI. Cosmological parameters (PDF)”. 2013年6月8日閲覧。
  17. ^ a b c d 荒舩、pp. 22-23、星や銀河は宇宙のわずか5%にすぎない
  18. ^ Planck reveals an almost perfect Universe”. ESA (2013年3月21日). 2013年7月7日閲覧。
  19. ^ 「徹底図解 宇宙のしくみ」、新星出版社、2006年、p39
  20. ^ 荒舩、pp. 16-17、ビッグバンで膨張した宇宙の成長
  21. ^ a b c 荒舩、pp. 14-15、ビッグバンの前にも宇宙はあった
  22. ^ 「宇宙はどのように生まれたのか?」(国立天文台)
  23. ^ a b 荒舩、pp. 18-19、宇宙が辿る運命は3つの可能性





宇宙と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「宇宙」の関連用語

1
98% |||||

2
98% |||||

3
74% |||||


5
宇宙空間 国語辞典
70% |||||

6
宇宙論 国語辞典
70% |||||

7
宇宙進化論 国語辞典
70% |||||

8
70% |||||



宇宙のお隣キーワード

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   
検索ランキング



宇宙のページの著作権
Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。

  
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの宇宙 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2020 Weblio RSS