地衣類 形態による分類

地衣類

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/13 02:36 UTC 版)

形態による分類

地衣類はその形態から、葉状地衣類痂状地衣類樹状地衣類に大別される。この分け方は必ずしも分類体系を反映するものではないが、同定する上では参考になる。

葉状地衣類
薄い膜状の地衣類。コケ植物の苔類に見られる葉状体に似ている。表面には菌糸による上皮層があり、その下には藻類を含む藻類層がある。藻類層の下には菌糸からなる髄層があり、下皮層によって下面が区切られる。基質上には下皮層から生じる偽根という根に似た構造で固着する。成長は地衣体の周辺から外に向かって伸びることで行われ、不規則な雲状の形になることが多い。子実体は地衣体表面に上向きに付くことが多い。
痂状地衣類
多数の痂状地衣が樹皮についている。白っぽい斑紋に見えるのはほとんどが地衣類。左の大きいものはモジゴケの一種、黒い線は子実体。
痂状地衣類 チズゴケの一種で(フジヤマチズゴケ)高山の岩肌に張り付いている。地衣体が非常に硬いため乾燥状態では細かくひび割れている。
葉状地衣に似ているが、裏面に下皮層がなく、地衣体が基質に密着、あるいはとけ込んでいるように見える痂状と呼ばれる状態のものである。砂岩などの基質の上では、地衣体が基質と完全に一体化していることもある。多少色があることでその形がやっとわかる場合や、子実体だけが並んでいるように見えることもある。全体は円形で、外に向かって成長する。子実体は、表面に上向きに並ぶ。
樹状地衣類
ヤマヒコノリの一種。吸盤のように見えるのは形成中の子実体。
ヒメレンゲゴケの一種。挙げた手のようにも見える。
前記2つとは全く異なり、枝状になって基質から立ち上がるものである。垂れ下がったり、這い回ったりするものもある。状の軸は皮層に囲まれ、その内側に藻類層がある。形は様々であるが、細かい枝に分かれたり、傘状になったりするものはあるが、コケ植物の茎葉体や高等植物のように、葉のような構造を作ることはない。子実体は枝先などにつく。

  1. ^ 柏谷博之 2009, p. 10.
  2. ^ 白水貴(日本語) 『奇妙な菌類 ミクロ世界の生存戦略』NHK出版、2016年4月9日。ISBN 9784140884843 
  3. ^ 杉山純多, 岩槻邦男 & 馬渡峻輔 2005, p. 308.
  4. ^ 柏谷博之 『地衣類のふしぎ コケでないコケとはどういうこと? 道ばたで見かけるあの“植物”の正体とは?』SBクリエイティブ、2009年10月24日。 
  5. ^ a b c d e f g h i 【イチからオシえて】不思議な生き物「地衣類」大気汚染、ヒートアイランド現象の指標にも毎日新聞』朝刊2017年12月20日くらしナビ面(2022年11月20日閲覧)
  6. ^ 嶋田英誠. “野草譜 サルオガセ”. 跡見群芳譜. 2021年1月29日閲覧。
  7. ^ 黒川逍 1996, pp. 12–13.
  8. ^ 「雪茶」との関連が疑われる肝障害の事例”. 「健康食品」の安全性・有効性情報. 国立健康・栄養研究所. 2021年1月29日閲覧。
  9. ^ 地衣類とは”. 日本地衣学会. 2022年8月18日閲覧。
  10. ^ 地衣類とは”. 地衣類研究会. 2022年8月18日閲覧。





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