回折
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/03 05:51 UTC 版)
結晶回折
電子線や中性子線などを結晶などに当てて得られる回折図形から結晶構造の解析を行うことができる。これは電磁波であるX線でも同様な結晶構造の解析を行うことができる。それぞれ電子回折法、中性子回折法、X線回折法として結晶構造の解析手法が確立されている。
写真撮影
写真撮影においても、絞りを小さく絞ると光の回折現象により画像の鮮明さが低下する。この現象については「小絞りボケ」の項を参照されたい。
レーザーの伝播
レーザーは伝播する際に、回折によりその変化の仕方が決まる。レーザーの出力ミラーが開口部になっており、その開口部によって光線の形は決定される。それ故に、出力の光線が小さいほど光線は早く分岐することになる。ダイオードのレーザーがHe-Neレーザーよりも大きく分かれるのはこれが原因である。 しかし逆に、このレーザーの放散は抑えることができる。まずレーザー光を、凸レンズを用いて拡張させる。次に二つ目の凸レンズでレーザー光を平行になおす。このとき焦点は一つ目のレンズに合うようにする。この結果、レーザーの開口部が大きくなるので、光線の放散は抑えられる。
回折格子
回折格子は、標準的な回折の可視的要素である。格子により回折が起こった光の形は、格子の成分の構造と数によって決まるが、すべての縞には限界強度が存在し、角度 のとき以下の方程式により与えられる。
このとき は光の入射角、 は格子成分の同士の距離、そして は正負の整数を表す。回折が起こった光は、回折格子の各成分により回折が起こった光が合わさることで観察され、本質的には回折と干渉パターンの畳み込みである。
回折限界
1873年にエルンスト・アッベによって光学顕微鏡の分解能を高めることは困難であること以下の式により示された。
光の波長:λ、媒体の屈折率:n 、入射角: 、開口数:NA
従来の幾何光学系では回折限界のため光学顕微鏡の分解能は200ナノメートルが限界とされてきた。近年、この限界を超える超解像顕微鏡が徐々に普及しつつある[1]。また、集積回路の製造においてはステッパーで使用される光源の波長が短い程、微細化が可能になるが、実用的な波長を短くする事には限界があるので液浸により屈折率を高めたり、開口数を大きくすると分解能が向上する。
- ^ Rice, James H. "Beyond the diffraction limit: far-field fluorescence imaging with ultrahigh resolution." Molecular BioSystems 3.11 (2007): 781-793. doi:10.1039/B705460B
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