可解リー環
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/06/04 08:37 UTC 版)
性質
リーの定理は以下のようなものである。V が標数 0 の代数閉体 K 上の有限次元ベクトル空間で、g が K の部分体 k 上の可解線型リー環で、π が V 上の g の表現であれば、すべての元 X ∈ g に対する行列 π(X) の同時固有ベクトル v ∈ V が存在する。より一般に、この結果は、すべての X ∈ g に対して π(X) のすべての固有値が K に入っていれば成り立つ[6]。
- 可解リー環のすべての部分リー環、商環、拡大環は可解である。
- 非零可換リー環は非零可換イデアル、導来列の最後の非零項、を持つ[7]。
- 可解リー環の準同型像は可解である[7]。
- a が g の可解イデアルで g/a が可解であれば、g は可解である[7]。
- g が有限次元であれば、g のすべての可解イデアルを含む唯一の可解イデアル r ⊂ g が存在する。このイデアルは g の根基 (radical) と呼ばれ、rad g と記される[7]。
- a, b ⊂ g が可解イデアルであれば、a + b も可解イデアルである[1]。
- 可解リー環 g は唯一の最大冪零イデアル n, adX が冪零なる X ∈ g 全体の集合、を持つ。D が g の任意の derivation であれば、D(g) ⊂ n である[8]。
Completely solvable Lie algebras
リー環 g が completely solvable あるいは split solvable とは、0 から g への g のイデアルの elementary sequence を持つことをいう。有限次元冪零リー環は completely solvable であり、completely solvable Lie algebra は可解である。代数的閉体上、可解リー環は completely solvable であるが、平面のユークリッド等長写像の群の3 次元実リー環は可解だが completely solvable ではない。
- (a) 可解リー環 g が split solvable であることと adX のすべての固有値がすべての X ∈ g に対して k に入ることは同値である[7]。
例
- 0でない半単純リー環は可解ではない[1]。
- すべての可換リー環は可解である。
- すべての冪零リー環は可解である。
- bk を glk の部分環で上三角行列のみからなるとする。このとき bk は可解である。
- g を
-
- の形の行列全体の集合とする。すると g は可解であるが split solvable ではない[7]。これは平面の平行移動と回転の群のリー環に同型である。
- ^ a b c Humphreys 1972
- ^ Knapp 2002 Proposition 1.39.
- ^ Knapp 2002 Proposition 1.23.
- ^ Fulton & Harris 1991
- ^ Knapp 2002 Proposition 1.46.
- ^ Knapp 2002 Theorem 1.25.
- ^ a b c d e f Knapp 2002
- ^ Knapp 2002 Proposition 1.40.
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