原罪と楽園追放 原罪と楽園追放の概要

原罪と楽園追放

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/27 20:02 UTC 版)

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『原罪と楽園追放』
イタリア語: Peccato originale e cacciata dal Paradiso terrestre
英語: The Original Sin and Expulsion from Paradise
作者ミケランジェロ・ブオナローティ
製作年1510年頃
種類フレスコ画
寸法280 cm × 570 cm (110 in × 220 in)
所蔵システィーナ礼拝堂ローマ

主題

マザッチョの『楽園追放』。
同じくマザッチョの『アダムとイヴの誘惑』。
システィーナ礼拝堂天井画。

「創世記」によるとエデンの園で神によって創造されたアダムは「園の木々の果実はどれを食べても良いが、知恵の木の果実だけは食べてはならない」といわれた。その後、神はアダムの肋骨からイヴを創ってアダムの妻としたが、イブはにそそのかされて知恵の木の果実を取り、夫であるアダムにも与えて2人で食べた。しかしそのことを知った神は2人をエデンの園の東方に追放した。

作品

ミケランジェロはほぼ中央に善悪の知恵の木を描くことで画面を2つに分割し、画面の左側に原罪の場面を、右側に楽園追放を描いている。原罪は澄んだ明るい空を背景に、知恵の木の枝と地面の岩によって作り出された対角線の空間内に描かれている。裸のアダムとイヴは非常に筋骨たくましく描かれている。特にイヴはミケランジェロの女性に典型的な、男性的な筋肉質の身体つきをしている。蛇は女性の上半身を持ち(人間の頭を持つ姿で表現された伝統を発展させている)、長い蛇の下半身を知恵の木に巻きつけて、イヴに禁断の果実を取り、それをアダムに渡すように説得している。岩の上に横向きで寝そべったイヴは、蛇の言葉に応えるかのように上半身を後方にねじって手を伸ばしているが、アダムは別の果実を取るために立って樹上に手を伸ばしている。

壁画は木の葉が見られる画面左側の上部から始めて13日間にわたって描かれ、大きくて滑らかな筆遣いで制作された。

注目すべきは第5のベイの『イヴの創造』でアダムの傍らに枯れ木が描かれ、同様に『原罪と楽園追放』でも寝そべるイヴの傍らで枯れ木が描かれていることである。これは2人が永遠に生きることができる生命の木を無視していることを暗示している[2]

右側の楽園追放では背景に非常に平坦で荒れ果てた大地が広がっており、緑豊かなエデンの園とは対照的に不毛で乾燥している。ここでは天使が剣でアダムとイヴを脅かし、地上の楽園から彼らを追い払っている。彼らの身体は以前と比べて痩せているうえに老化しているように見え、恐怖と不安から顔を歪めて彫りの深い表情を作っており、先行するマザッチョの『楽園追放』(Cacciata dei progenitori dall'Eden)から影響を受けつつ、その表現を発展させている。とりわけ構図の観点から注目に値するのは、知恵の木の上にいる魅力的な蛇と、宙を飛ぶ天使の補完的で対称的な身振りである。


  1. ^ 『ヴァチカンのルネサンス美術展』p.163。
  2. ^ 田中英道 1995。
  3. ^ 『ヴァチカンのルネサンス美術展』p.175。
  4. ^ 『ヴァチカンのルネサンス美術展』p.189。
  5. ^ a b Marcin Fabiański, Correggio's "Venus, Cupid and a 'Satyr'."


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