北北西に進路を取れ 作品の評価

北北西に進路を取れ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/11 09:33 UTC 版)

作品の評価

映画批評家によるレビュー

Rotten Tomatoesによれば、批評家の一致した見解は「手に汗握るサスペンスで、映像的にも象徴的な、このヒッチコック後期の傑作は後に続く数え切れないほど多くのアクションスリラーの基礎を築いた。」であり、79件の評論のうち高評価は99%にあたる78件で、平均点は10点満点中9.1点となっている[10]Metacriticによれば、16件の評論の全てが高評価で、平均点は100点満点中98点となっている[11]

受賞歴

第32回アカデミー賞(1959年)において3部門にノミネートされた。

1960年エドガー賞の映画脚本部門でアーネスト・レーマンが最優秀賞を受賞した。

トリビア

劇場予告編からのスクリーン・ショット
  • 恒例のヒッチコック監督のカメオ出演、本作では冒頭のクレジットタイトルの最後、発車直前のバスに乗ろうとした男性がドアを閉められてしまうシーンに登場する。なお、ヒッチコックが女装して列車の乗客として出演しているという説があるが[12]、この女性客を演じているのは『裏窓』にも彫刻家の役で出演したジェスリン・ファクス(Jesslyn Fax)である[13]
  • 食堂車のシーンで、ケンドールが“I never discuss love on an empty stomach”(私は空腹で愛を論じたことがない)と言っているが、もともとのセリフは“I never make love on an empty stomach”(私は空腹でセックスしたことがない)であり、彼女の唇の動きもそうなっている。過激すぎるセリフとして声だけ差し替えられた[14]
  • ソーンヒルが農薬を散布する軽飛行機に襲われる有名なシーンは、カリフォルニア州ベーカーズフィールドで撮影された[15]。飛行機はボーイング・ステアマン モデル75でアメリカ軍が第二次世界大戦中に練習機として導入し、終戦後は民間に払い下げられたため、実際に農薬を散布する農業機として利用されていた。
  • この映画の中のミスの1つがメイキングで明らかにされている。ラシュモア山のカフェテリアでケンドールがソーンヒルを拳銃で撃つ場面、ケンドールが発砲する「前」に、画面右手の奥にいる少年が両手で耳をふさいでしまっている(1h45m30s)。何度もリハーサルを繰り返したのが原因のようで、進行役のエヴァ・マリー・セイントは「なぜこのテイクが残されたのかは謎です」と語っている[15]
  • ラストシーンで、ソーンヒルとケンドールが寝台車の中で抱き合った後、列車がトンネルの中に入っていく。ヒッチコックは「あれはこれまでわたしが撮った映画のなかでもいちばん猥褻なショットだ…列車は男根のシンボルだ」と語っている[16][17]
  • ジェームズ・ステュアートはソーンヒル役を熱望していたが、ヒッチコックは婉曲に断ったという[18]。ヒッチコックは、『めまい』がヒットしなかったのはジェームズ・ステュアートがラヴ・ストーリーを演じるには年を取りすぎていたからと考えていたようで、『北北西に進路を取れ』はスパイ・アクション映画ではあるが、ラヴ・ストーリーが大きな位置を占めているため、ジェームズ・ステュアートよりも年長ではあるが若々しいケイリー・グラントを選んだのだろうとトリュフォーは推察している[19][20]

ギャラリー


注釈

出典

  1. ^ North by Northwest (1959) - Financial Information” (英語). The Numbers. 2022年11月20日閲覧。
  2. ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』(キネマ旬報社、2012年)159頁。
  3. ^ C. Lee, Johnny; Forlizzi, Jodi; E. Hudson, Scott (October 2002). “The kinetic typography engine: an extensible system for animating expressive text” (英語). UIST '02: Proceedings of the 15th annual ACM symposium on User interface software and technology (Carnegie Mellon University): 81-90. doi:10.1145/571985.571997. 
  4. ^ 小林信彦『1960年代日記』(ちくま文庫)P.30-31
  5. ^ Alfred Hitchcock (n.d.). "Peter Bogdanovich Interviews Alfred Hitchcock The legendary interview from 1963". EuroScreenwriters - Interviews with European Film Directors (Interview) (英語). Interviewed by Peter Bogdanovich. 2013年4月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年8月26日閲覧North By Northwest (1959): It's a fantasy. The whole film is epitomized in the title--there is no such thing as north-by-northwest on the compass.
  6. ^ Shakespeare, William. W. G. Clark, W. Aldis Wright, Ed.: “Hamlet, ACT II” (英語). Perseus Project. 2022年11月20日閲覧。
  7. ^ トリュフォー 1981, pp. 265–266.
  8. ^ トリュフォー 1990, pp. 265–266, 第12章 1957-1959 註(15)『北北西に進路を取れ』.
  9. ^ “映画解説 今月のプログラム”. 機内誌 WINDS (JAL): 124. (1986年4月号). 
  10. ^ "North by Northwest (1959)". Rotten Tomatoes (英語). Fandango Media. 2022年11月20日閲覧
  11. ^ "North by Northwest" (英語). Metacritic. Red Ventures. 2022年11月20日閲覧。
  12. ^ Moore, Matthew (2008年8月15日). “Did Alfred Hitchcock make a secret cameo appearance in drag?” (英語). The Telegraph. The Telegraph. 2022年11月20日閲覧。
  13. ^ Jesslyn Fax - IMDb(英語) 2022年11月20日閲覧。
  14. ^ 『北北西に進路を取れ』50周年記念版, 収録された脚本家アーネスト・レーマンの解説.
  15. ^ a b 『北北西に進路を取れ』50周年記念版, 収録された「メイキング」.
  16. ^ トリュフォー 1981, p. 137.
  17. ^ トリュフォー 1990, p. 137, 第7章 1942-1944 逃走迷路.
  18. ^ Winner by a Nose: Eva Marie Saint Remembers North by Northwest” (英語) (2012年4月4日). 2022年11月20日閲覧。
  19. ^ トリュフォー 1981, p. 265.
  20. ^ トリュフォー 1990, p. 265, 第12章 1957-1959 註(10)『メリー・ディア号の遭難』.


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