信楽焼
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/12 00:40 UTC 版)
特徴
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古信楽にはしばしば見られる特徴的な窯変の現象もある。器面の素地が荒く、細かな石粒(石英粒や長石粒、珪砂)などが多く含まれていることも特徴の一つである。
信楽焼の焼かれた甲賀地域(滋賀県最南部)は、伊賀地域(三重県)と隣接し、そのため信楽焼と伊賀焼は雰囲気がよく似ているといわれるが、これは同じ古琵琶湖層の粘土層を利用しているためで、「古信楽」と呼ばれる信楽特有の土味を発揮して、素朴であたたかい情感は、この古琵琶湖層の粘土にある。
灰釉の他にも、植木鉢や火鉢に見られる「なまこ釉」など、絵付の商品が少ないためか釉薬の種類が多いことや、大物づくりの成型、乾燥、焼成技術なども信楽焼の代表的な特徴である。
また、作家によって、焼き〆や粉引など実にバラエティーに富んだ焼き物を楽しめる事も信楽焼の特徴に挙げられる。
従って、現代の信楽焼は様々な技法が用いられる個性あふれる器であると言える。
技法
- 陶土は、水簸(すいひ)せず、製造すること。
- 成形は、轆轤(ろくろ)成形、押型成形または手ひねり成形による。
- 素地の模様づけをする場合には、「松皮」、「虫喰(く)い手」、「布目」、「印花」、「線彫り」、「櫛描」、「トチリ」、「掻き落とし」、または「化粧掛け」によるものである。
- 絵付は、手描きによる下絵付。この場合、顔料は鬼板または呉須を使用。
- 釉(くすり)掛けをする場合は、「重ね掛け」、「流し掛け」、「ろう抜き」、「イッチン」、「片身掛け」、「吹き掛け」、「はけ掛け」、または「はけ目」による。
- 素地の模様付け、絵付および釉掛けをしない場合は、登窯または穴窯による自然釉または火色を現出させる。
狸の置物
信楽焼の狸の置物の歴史は比較的浅く、明治期に陶芸家の藤原銕造が作ったものが最初と言われている[10]。1951年(昭和26年)、昭和天皇が信楽町行幸の際、たくさんの信楽狸に日の丸の小旗を持たせ沿道に設置したところ、狸たちが延々と続く情景に感興を覚え、御製を詠んだ逸話が新聞で報道され、全国に知られるようになった。信楽町長野・新宮神社に歌碑が建っている[11]。
「をさなき日 あつめしからに なつかしも 信楽焼の 狸をみれば」--昭和天皇
(幼いときに集めた焼き物のタヌキをなつかしく思い出した、という意[12]。)
縁起物として喜ばれ、狸が「他を抜く」に通じることから商売繁盛と洒落て店の軒先に置かれることが多い。信楽焼八相縁起[13]に因んで福々とした狸が編み笠を被り少し首をかしげながら右手に徳利左手に通帳を持って突っ立っている、いわゆる「酒買い小僧」型が定番となっている。
今では狸の置物は、信楽焼の代名詞のような存在となっている。信楽の玄関口である信楽駅前には5.3mのタヌキ像が展示されている[14]ほか、アクセス路線である信楽高原鐵道の車体には、タヌキのキャラクターが描かれている。
ちなみに、信楽の陶器組合の生産額からみれば、現在、タヌキの比重は3%ほどだという[15]。
サントリーが発売するウイスキー、オールドは黒い瓶と白いラベルとのコントラストが、信楽焼の狸を連想させるとし、愛飲者から「タヌキ」の愛称をつけられている。
信楽たぬきの日
信楽町の観光協会が定めた記念日。もともとは2008年に八相縁起から8月8日を、日頃立ちっ放しで頑張っている狸の置物にお休みして貰って(「信楽は狸の置物だけじゃない」とアピールする意味もあり)感謝する日「たぬき休むでぇ~(DAY)」を定めた。2012年に更なる発展を目指し、開催月を「いい月」の語呂から「11月」、名前も現在のものに変更した[16]。
- ^ “信楽”. 六古窯日本遺産活用協議会. 2019年6月26日閲覧。
- ^ 甲賀市史 第8巻 甲賀市事典. 甲賀市. (2016年12月12日). pp. 390-393
- ^ “他抜く愛敬 名陶の里 信楽高原鉄道”. 朝日新聞社DIGITAL. 2019年7月5日閲覧。
- ^ “信楽陶器”. 滋賀県 (2008年8月19日). 2013年9月28日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2013年9月25日閲覧。
- ^ 「信楽焼二割安 生産も昨年の約七割」『日本経済新聞』昭和25年12月8日3面
- ^ 朝日新聞2019年10月28日朝刊、天声人語
- ^ 朝ドラ『スカーレット』の原点。信楽の火と土が、ここまで私を生かしてくれた〈神山清子の半生・後編〉 婦人公論 2019年11月15日、2019年12月15日閲覧
- ^ 近代化産業遺産群33. 経済産業省. (2007)
- ^ 衛藤達生; 金澤恵子 (2017年1月29日). “日本遺産認定、県内から2件 忍びの里、甲賀・三重県伊賀 きっと恋する六古窯、甲賀など6市町 /滋賀”. 毎日新聞 2017年4月29日 地方版 2019年6月26日閲覧。
- ^ 信楽の都市創造性と社会デザイン:自然と都市と市民知に関する文化編集分析. 大阪市立大学 都市研究プラザ. (2014-12-25). p. 18 2019年7月5日閲覧。
- ^ おいでやす狸楽巣、信楽町長野・新宮神社・昭和天皇の歌碑
- ^ 朝日新聞2019年10月28日朝刊、天声人語
- ^ 信楽豆知識、ほっとする信楽、信楽町観光協会
- ^ “信楽巨大タヌキ、魔女に化ける…帽子に紫のマント”. 読売新聞 (2019年10月19日). 2019年10月19日閲覧。
- ^ 朝日新聞2019年10月28日朝刊、天声人語
- ^ “信楽たぬきの日”. 信楽町観光協会 (2019年). 2020年7月3日閲覧。
信楽焼と同じ種類の言葉
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