三大始祖 各系統

三大始祖

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/17 05:21 UTC 版)

各系統

エクリプス系
ダーレーアラビアンに遡る父系である。エクリプス自身はヘロド-ハイフライヤー親子の活躍の前に一度もチャンピオンサイア-になれなかったが、19世紀にタッチストンストックウェルが出て父系を拡大し続けた。19世紀末には傍系のキングファーガスの子孫から史上最も強力な種牡馬であるセントサイモンが出ており、このころまでにはサラブレッドの父系において支配的な勢力を確立した。現在前述のストックウェルの子孫、ベンドアからファラリスを経てネアルコ又はネイティヴダンサーに至る父系が多く、中でも前者の主流であるノーザンダンサー系と、後者の主流であるミスタープロスペクター系は、サラブレッドから他の父系を排除する勢いで拡大している。エクリプス系内でもこれらのファラリス以外の父系に属する馬はかなり珍しくなっている。
2016年生産頭数におけるシェアは、殆どの国が90%台後半である。特に日本は99.96%に達する。比較的シェアの低い国は韓国91.7%、ブラジル92.9%などがある。
マッチェム系
ゴドルフィンアラビアンに遡る父系である。18世紀中ごろにマッチェムが出たが、ヘロドやエクリプスの時代には既に支配的な地位を失っており、その後も拡大することは無かった。20世紀では、ハリーオンやマンノウォーの父系が伸び、前者は21世紀現在勢力を失っているが、後者からリローンチを経た系統がアメリカで強く、ティズナウなどの種牡馬が多数活動している。ただし、近年は韓国に多数の種牡馬が輸出されたため、やや勢いが衰えている。その一方で、アイルランドにいるドリームアヘッド(マンノウォーからノウンファクトを経る系統)が成功しつつあり、今後勢力を拡大するとみられる。
2016年生産頭数におけるシェアでは、韓国8.3%、ブラジル7.1%、アメリカ3.7%、インド2.3%などの地域で比較的シェアが高い。頭数ベースではアメリカ合衆国が最多となっている。その他イギリス、オーストラリア、ドイツ、アルゼンチンなどでも1%前後のシェアを有しており、全世界では1.8%となっている。
ヘロド系
三大始祖の中で最も小さい父系がヘロド系である。三大始祖が成立したころはヘロド-ハイフライヤー-サーピーターティーズルの父子孫が1777年から1809年までの33年間に31回も首位種牡馬となった様に圧倒的であったが、現在は著しく衰退している。英愛を除き、世界的に競馬場でこの系統に属す馬を見るのは非常に稀となっていて、トウルビヨンザテトラークを経た数頭のマイナーな種牡馬がプライベートに供用されるのみに後退した。
父系存続の可能性が最も高いのは、イギリスに残る、トウルビヨンからアホヌーラ、そしてインディアンリッジを経た系統である。現在残るヘロド系の大半がイギリスに集中しているにもかかわらず、この国でもヘロド系が占める位置はほんの僅かで、シェアにして1%程度に過ぎない。それなりに繁殖牝馬を集めることができる種牡馬として、パールシークレット、ドゥーナデン英語版の2頭が活動している。何れもスプリントとステイヤー路線を走った格安種牡馬である。
2016年生産頭数におけるシェアでは、フランス1.4%、インド1.4%、イギリス0.9%となっており、頭数ベースではイギリスが最多である。その他の国ではほぼゼロに低下している。日本では2016年にギンザグリングラス産駒の2頭が血統登録されている(シェアにして0.03%)。なお、フランスも種付け頭数を集めていたリンガリが南アフリカ共和国に輸出されたため、2017年以降はゼロ近くに低下するとみられている。

注釈

  1. ^ 類似の噂話には、アングロアラブ種における血統偽装(「テンプラ」と呼ばれる)がある。
  2. ^ 「アメリカンダミー」という呼び方は中島自身の造語である可能性が高い。彼は自著『血とコンプレックス』で「いわゆるアメリカンダミー」と(あたかも既存の用語であるかのように)言及しているが、中島以前の競馬関連書籍でこの言葉を用いた例は見受けられない。

出典

  1. ^ 楠瀬良 2010, p. 218.
  2. ^ 楠瀬良 2010, p. 219.





英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「三大始祖」の関連用語

三大始祖のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



三大始祖のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの三大始祖 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS