ヴァンツァー ヴァンツァーの概要

ヴァンツァー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/28 05:04 UTC 版)

歴史

2020年、E.C.ドイツ連邦共和国ヴァレンシュタイン大学のミハイル・ランドルト教授が発明したアクチュエーターが全ての始まりである。化学反応によって硬軟化する特殊素材を応用した可動調整装置は各方面で大きな反響を呼ぶ。

WAP自体の歴史は2025年、ランドルト教授に資金援助をしていたシュネッケ社が開発した試作機、WAW(ヴァンダー・ヴァーゲン、Wander Wagen)に端を発する。ただし、性能は従来のものより低く、資金面から開発は難航した。翌年には地雷処理用作業車両開発を依頼されていたディアブルアビオニクス社がWAW技術という点からシュネッケに協力を依頼し、了解を得たため、資金援助を開始する。これに対し、取り残されることを恐れたO.C.U.側もリードを取りたいとして、開発参加を表明し、ジェイドメタル社、詳細は不明だが、次いでE.C.イギリスのセンダー社が参入している。

翌年、2027年にパロット(独語ではパパガイ、意は「オウム」)と命名された試作機が完成。過剰と言えるほどの性能を示す。反面、後述の問題により、機体が非常に高価なものになってしまい、開発は停滞する。

開発当初はアクチュエーターと機体制御を行うCOMの搭載による高額な機体価格が問題視されたが、2029年にディアブルアビオニクス社が提示したMULS規格により問題は解消される。シュネッケとディアブルアビオニクスは現在の規格を戦闘用WAW専用とすることを決め、2040年参入各社との協力のもと、MULS-P(Multi Unit Link System-Panzer)規格を開発。従来の規格との互換性を保ちつつ、機体サイズを25%大型化、出力も40%向上した。また軍事利用に対応するために両肩と背中に兵装用ハードポイントを設け、両手に武器が携行できるようCOMの規格も変更された。MULS-P規格の機体には従来のWAWとの区別のためにヴァンダー・パンツァーの名称が与えられた。

シケイダ

機体諸元
シケイダ(WAP-01 Cicada)
メーカー シュネッケ(E.C.ドイツ)
ディアブルアビオニクス(U.S.N.)
センダー(E.C.イギリス)
ジェイドメタル(O.C.U.オーストラリア)
固定武装 なし
携帯火器 MULS規格適応品
主要搭乗者 ツェルベルスガード

アフリカ紛争末期に実戦投入されたWAWだが、性格は後のWAPに近く史上初のWAPと呼称される。完成自体はMULS規格発表と同時の2029年であり、同時にU.S.N.に97機、E.C.ドイツに15機実戦配備されている。

シュネッケ社のボディパーツ、ディアブルアビオニクス社のアームパーツ、センダー社のレッグパーツ、ジェイドメタル社のCOMパーツと各社が得意とする部門での共同開発体制が取られ、後の時代では見られることの無い多国籍開発兵器が完成することになる。これを皮切りにWAWの兵器化は進み、「MULS」規格を戦闘仕様に共通化した新規格「MULS-P」規格が誕生。後のWAPの歴史へと繋がる。

当のシケイダは脚部を担当したセンダー社がWAP化を進め、第2次ハフマン紛争期に後継機を生み出している。外観的にはバケツのような円筒状頭部が特徴。

シケイダ改(WAP-01R CicadaR)
アフリカ紛争時、大量に出回った密造WAP。俗に言う黒シケイダである。正規品をも上回る性能を有し、しかも安価であった。

アフリカ紛争の後、シケイダの全権利はセンダー社が勝ち取った。

特徴・スペック

最大の特徴であるMULS-P規格は機体を胴、腕(右/左)、脚、COMにブロック化した上で分割、規格化し、メーカーを問わず、どんな組み合わせであれ稼動することを目的としている。よって、それに則った互換によるメンテナンスの平易さ、汎用性の高さを特長とする。腕部パーツは通常兵器を装備するマニピュレーターの他に装弾数/火力に優れた武器腕への換装が可能である。また脚部パーツの交換により、2足歩行、4足歩行、クローラー、車両形態など様々な地形条件に適応できる。また足裏に装備されるライドホイールによるローラーダッシュなども可能であり、従来の兵器の枠組みに囚われない柔軟な運用が出来る。また、一部WAPを除き搭乗員は1名のみと省力化が進められており、非常時にはブロック化されたコクピットが射出される仕組みとなっているため生存率は既存兵器に比べ高められている。

WAPの台頭により、対WAPとして大型機動兵器という新たなカテゴリの兵器を登場させることとなる。

WAPはその対空能力の高さから既存兵器であるヘリの対処は可能だが、平地における対戦車戦は不利。隠密戦や電撃戦は得意とするが、正面からの撃ち合いでは必ずしも優位には立てないのである。

全長6m(平均)、重量25t(平均)。2010年に実用化された半永久機関(いわゆる第二種永久機関に近づいた機関)を駆動に利用しており、長期間の単独行動も可能とする。WAW時代より引き続き採用されたこの機関は、アクチュエーター用電力の蓄積、供給を行うバッテリー、バッテリー充電用に発電を行うジェネレーター、燃料の消費によりジェネレーターを駆動させるエンジンの三種が有機的に繋がりあい、天然ガスやバッテリーなどを併用した機構である。また、化学反応によって急速に硬化、軟化する金属を利用したアクチュエーターを全身300箇所以上に装備しており、コンセプトである「人間と同じ動作をする機械」の役割を果たしている。

ハード面の進歩

当初WAPはジェイドメタル社のゼニスをはじめとして機動性に特化した機体が多かったが、ディアブルアビオニクス社のフロストの大ヒットを受け、重装甲と積載量の強化を狙った機体開発も進められていくこととなる。また、第2次ハフマン紛争以降は多様なバックパックの装備に合わせ、偵察や対電子戦に特化した仕様の機体開発が進められている。技術力と競争力の面から脱落していく企業が少なくない一方、新規参入も絶えず、そこには癒着に関する噂が絶えない。

ともあれメーカー間の開発競争は激しく、紛争以前は既存兵器の陰に隠れる形であったWAPが次第に戦略の中心に成り代わっていく様子がわかる。基本的には陸上兵器だが、2112年に到るまでには一部機種では水中戦や宇宙での活動を視野に入れたWAPの開発も進められている。

反面、取り回しの平易さから型落ち品や軍からの流出品もしくは鹵獲品等が闇市場に出回るなど問題となっている。現に主人公が正規軍もしくはそれに準ずる機関に所属している『4th』(ECサイド)『5th』等では装備品は概ね支給品で統一されているが、他のタイトルでは必ずしもそうであるとは限らない。WAPは安易にテロリストや犯罪組織の戦力になるなど問題となっている。

また、量産兵器としての側面が強いWAP産業であるが、既に第2次ハフマン紛争時には一部エースパイロット向けに性能を押し上げたアドバンスドモデルが支給されている。また、極一部を対象に専用機も生産されている。各国軍はWAPに対し、割と鷹揚に予算を取っているようで、O.C.U.では戦績に応じた装備支給、クリップカード等のような制度を設けている。また、軍内外を問わず、改造は盛んであり、民間でも闘技場やWAPスポーツは盛況である。

ソフト面の進歩

WAPの操縦は人間だけで出来るものではなく、COMの援護による機体制御や経験の蓄積によるCOM性能の向上により成り立つ。『4th』時では優秀なパイロットの動作が既にCOMに組み込まれている体制が既に整っており、パイロットの経験を学習する機能を搭載した霧島重工のグアナコにもそれを見ることが出来る。

従来の兵器に比べ、パイロットの経験・能力がより密接となっている故に、COMとパイロットを強く結びつける発想が生まれた。それをより強く実現したものとしてバイオニューラルデバイス(BD)が挙げられる。BDでは複数のアプローチが生まれ、熟練したパイロットの能力をそのままに再現、果てにはCOMとパイロットの融合という領域にまで踏み入れている。これらの技術は人道に反するものであり、世間に暴露された後は禁止されたが、COMと人間の連動という発想自体は後のCOM開発を大きく発展させている。

違った発想として、人工知能による無人兵器として、フェンリルのような搭乗者を必要としないものも存在する。ただし、その後のWAP無人化に到る流れは主流にはなっておらず、一部警備用や訓練用に見られる簡単な自動制御や遠隔操作のみとなっている。

COMでなく、搭乗者の性能という点では、バイオニューラルデバイスの発展形S型パイロットイマジナリーナンバーがある。この二者は従来の兵士を越える能力を有する。




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