ログネダ・ログヴォロドヴナ 研究と評価

ログネダ・ログヴォロドヴナ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/23 03:54 UTC 版)

研究と評価

出身地について

一部の歴史学者の意見では、ログヴォロドやログネダなどのポロツクの支配者層は他国の(あるいはヴァリャーグの)出身であるという。『原初年代記』には、ログネダの父のログヴォロドは海を越えてきて、ポロツクに自分の政権を有していたと記述されている[9]。この記述から、ログヴォロドは、同時代にトゥーロフの支配者であったトゥルィと共に、キエフの公家であるリューリク朝や、他の東スラブ人の土地の出身ではなかったとする説である。

「ログネダ」という名についても研究されている。すでに19世紀初めには、ドイツ人のロシア史学者であるA.L.シュローザー(de)が、ログネダはラグンヒリト、ログヴォロドはリョーグンバリトという名であったとみなしている。また、北欧の権威ある歴史学者であるE.A.リゼフスカヤとT.H.ジャクソン(注:両名ともロシア語表記の日本語音写)も、ログネダとログヴォロドの名前について研究している。一方、T.P.ティマフェーイヴァ(ru)によれは、ログネダの名はスラヴ起源であるという。また、ログネダがウラジーミルの求婚に対して言った、「奴隷の履物を取るのはいやです」という発言を、スラヴの習慣を熟知していたことの証明だとみなす説がある。

埋葬地について

ログネダの埋葬場所は不明である。『トヴェリ年代記』[10]によれば、1000年に、死を前にしたログネダは修道院で剃髪し、アナスタシヤという洗礼名を得たというが、他の資料に同様の記述がないことから、歴史学者はこの記述を事実とするのは難しいとしている[11]1866年、チェルニツァ村で華麗な装飾品と共に墓穴が発見された。A.M.セメントフスキー(ru)[注 5]は、これをログネダの墓と推定している。

評価

ログネダの子イジャスラフは、ウラジーミルに破壊されたポロツク公国を再建し、彼の子孫は代々のポロツク公となった。ベラルーシにおいては、ログヴォロド・ログネダ・イジャスラフの三代から始まるポロツク公国とイジャスラフ朝を、ベラルーシ国家の根源たる王朝と位置づけている[7]。またログネダの物語は、ベラルーシ史の代表的な説話として親しまれている[7]


注釈

  1. ^ ウラジーミルは鍵番(家政を司る役目をもつ者。身分としては奴隷身分とされた)のマルシャという娘の子であった[2]。また、新婦が新郎の履物を脱がせることが、スラヴの婚姻の儀礼の一部に含まれていた[3]。なお、「 」内のログネダの言葉は、『ロシア原初年代記』88頁より引用した。
  2. ^ 日本語文献では、『ロシア原初年代記』401-402頁、『歴史の狭間のベラルーシ』7-9頁等に記載されている。
  3. ^ 暗殺の理由は、家族を殺して祖国のポロツクを滅亡させた上に自分を捨てたことに対する復讐[7]や、ウラジーミルと他の女との関係への怒り[3]とするものがある。
  4. ^ クラスラフという小さな街で亡くなったという記述もある[3]
  5. ^ 1821年-1893年。歴史学・考古学・民俗学等の研究者。

出典

  1. ^ a b 『ロシア原初年代記』93頁
  2. ^ 『ロシア原初年代記』395頁-396頁
  3. ^ a b c d e 『ロシア原初年代記』401頁-402頁
  4. ^ 『ベラルーシ 境界領域の歴史学』129頁
  5. ^ 『ロシア原初年代記』134頁
  6. ^ 『ロシア原初年代記』143頁
  7. ^ a b c 『歴史の狭間のベラルーシ』7-9頁
  8. ^ Великие и неизвестные женщины Древней Руси
  9. ^ 『ロシア原初年代記』89頁
  10. ^ Полное собрание русских летописей』(意訳:ルーシ年代記大全集)の第15巻所収
  11. ^ Успенский Ф. Б. Скандинавы — варяги — Русь: Историко-филологические очерки





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