モンサント (企業) ラウンドアップと遺伝子組換え作物

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モンサント (企業)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/17 15:37 UTC 版)

ラウンドアップと遺伝子組換え作物

ラウンドアップの化学構造式
ラウンドアップの風船広告。2010年6月、ドイツニーダーザクセン州

ラウンドアップの有効成分であるグリホサート[注 2]は非選択性除草剤であり、農作物も雑草も無差別に枯らす性質を持っている。遺伝子操作によりラウンドアップに耐性を有する遺伝子組み換え作物の種子(ラウンドアップレディーと総称される)のダイズトウモロコシナタネ、ワタ、テンサイアルファルファ等をセットで販売している。

米国科学アカデミー全米研究評議会は、ラウンドアップの過剰な散布により世界中で少なくとも383種類の雑草がラウンドアップに耐性を持つように進化しており、除草剤耐性遺伝子組換え作物の採用の際に農民は毒性の強い除草剤から安全性の高いラウンドアップに切り替えたが、ラウンドアップ耐性雑草の広がりによってはラウンドアップより強い毒性を持つ除草剤が必要となり、そのためにラウンドアップを使用している世界中の現代農業が利得を損なう状況が予測され、このような事態の防止に努めなければならないという研究を発表した。

2012年現在、アメリカでは多剤耐性雑草の出現と蔓延が危惧されるなか、ラウンドアップに加えて複数の除草剤を同時使用する農家が増えており、種子もそれに合わせて、多剤に耐性を持つ遺伝子組み換え作物が開発されてきている。(→ラウンドアップ耐性雑草の世界的な問題)

批判

「企業の欲望であるモンサントの悪魔の種子」。2012年1月、ハワイ州マウイ島

有害と考えられているGM食品や発癌性の疑われているラウンドアップに対し、環境活動家たちは「モンサタン(悪魔のモンサント)」、「ミュータント(突然変異)」などと批判している[18]

民間療法有機栽培を強力に推奨し、遺伝子組換え作物を拒否している団体であったNatural Societyは、モンサント社の遺伝子組換え作物やラウンドアップなどが人間の健康と環境の両方を脅かすとし、モンサント社を2011年最悪の企業に認定した[19]

ラウンドアップを巡る虚偽広告の判決

1996年、ニューヨークで、モンサントのグリホサート製品のラウンドアップ除草剤に関し、「ラウンドアップが生分解性で土壌に蓄積されません」「安全で人や環境への有害な影響を引き起こすことはありません」といった一連の安全性に関する広告が、虚偽かつ誤解を招く広告と判決された[20]

フランスの最高裁は、ラウンドアップの主な成分のグリホサートは、欧州連合(EU)が環境に危険だと分類しているため争われていた裁判で、生分解性できれいな土壌を残すという広告を虚偽広告と判決した[21]

ラウンドアップを巡るその他の訴訟

モンサントが扱われる作品

映画

書籍

音楽


注釈

  1. ^ ほとんどの製品が農薬登録されていないため、『非農耕地用』の表示がなされている。
  2. ^ IUPAC名ではイソプロピルアンモニウム N-(ホスホノメチル)グリシナート (isopropylammonium N-(phosphonomethyl)glycinate)

出典

  1. ^ "Monsanto CFO to retire." St. Louis Business Journal. Wednesday 12 August 2009. Retrieved on 19 August 2009.
  2. ^ a b c d e 2010 Form 10-K, Monsanto Company”. United States Securities and Exchange Commission. 2012年2月26日閲覧。
  3. ^ 独バイエル、モンサント買収を7日に完了 当局の承認すべて取得”. ロイター (2018年6月4日). 2018年6月21日閲覧。
  4. ^ モンサントとはコトバンク
  5. ^ Agribusiness, Biotechnology and War”. Organicconsumers.org. 2011年10月28日閲覧。
  6. ^ US Patent 3,799,758
  7. ^ EPA.gov
  8. ^ "PCBs: Production, Import/Export, Use, and Disposal", Agency for Toxic Substances and Disease Registry, at 467. Retrieved 26 August 2012.
  9. ^ General information - Posilac”. Monsanto (2007年). 2008年1月1日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2008年1月16日閲覧。
  10. ^ Cargill purchase report Archived 2012年7月14日, at the Wayback Machine.
  11. ^ St. Louis Business Journal, 23 March 2005. Monsanto closes $1.4 billion buy of Seminis
  12. ^ モンサント保護法案可決 賛否GMO法案立法合戦WebDice
  13. ^ Ignore hysteria over new ‘Monsanto’ bill
  14. ^ バイエル、モンサントの買収ようやく完了”. 日本経済新聞 (2018年6月8日). 2019年1月18日閲覧。
  15. ^ 中国遺伝子組み換えワタの研究開発・応用の20年(その1)
  16. ^ 農業と環境 No.95 (2008.3), "GMO情報: 組換えBtワタ、インド生産者の経済的利益", 独立行政法人 農業環境技術研究所
  17. ^ ISAAA Series of Biotech Crop Profiles: Bt Cotton in India: A Country Profile, Bhagirath Choudhary and Kadambini Gaur著, July 2010, ISBN 978-1-89245646-5.
  18. ^ モンサントと親会社バイエル、知っておくべき5つの事柄フランス通信社公式サイト
  19. ^ Monsanto Declared Worst Company of 2011
  20. ^ Attorney General of the State of New York. Consumer Frauds and Protection Bureau. Environmental Protection Burea (1996-11) (pdf). In the matter of Monsanto Company, respondent. Assurance of discontinuance pursuant to executive law § 63(15) (Report). New York. http://big.assets.huffingtonpost.com/fraud.pdf 2012年9月1日閲覧。. 
  21. ^ “Monsanto guilty in 'false ad' row”. bbc. (2009年10月15日). http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/8308903.stm 2012年9月1日閲覧。 


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