モスクワ 歴史

モスクワ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/22 15:36 UTC 版)

歴史

聖ワシリイ大聖堂


1147年キエフ大公国ユーリー・ドルゴルーキー(手長公)が会合を行った場所として言及されるのが最古の記録である。1156年に砦が築かれて以降、徐々に小都市化していった。1237年から1238年にかけてはモンゴル帝国軍によって灰燼と帰した

1271年ウラジーミル大公アレクサンドル・ネフスキーの末子であるダニール・アレクサンドロヴィチが遺領としてモスクワを獲得し、モスクワ公国が成立した。3代目モスクワ公のイヴァン1世の代にジョチ・ウルスにとりいってルーシ諸公からの徴税権を得たことから力をつけ、モスクワ大公国となった。1382年にはジョチ・ウルスのトクタミシュ・ハンによって占領されることなどはあったが、1480年イヴァン3世がタタールのくびきを完全に終わらせることで、モスクワはロシア最大勢力の都となった。彼はウスペンスキー大聖堂ブラゴヴェシチェンスキー大聖堂アルハンゲリスキー大聖堂を建設・再建し、クレムリンを壮麗なものとした。クレムリンの前に赤の広場が建設されたのもこの時代である。1534年から1538年にはクレムリン北東のキタイ・ゴロドをクレムリンと同じ城壁で囲み、以後この地域は商工業地域として発展した。

モスクワの歴史:赤色(クレムリン)、黄色(キタイ・ゴロド)、白色(白い町)、茶色(土の町)

1561年にはイヴァン4世によって聖ワシリイ大聖堂が建設された。1590年ごろにはクレムリンとキタイ・ゴロドの外側に城壁が築かれ、さらにその外側には土塁が築かれ、モスクワの町は大幅に拡張された。新しい城壁の内側はベールイ・ゴロド(白い町)、土塁と城壁の間はゼムリャノイ・ゴロド(土の町)と呼ばれた[11]。16世紀末には動乱時代となり、1610年には偽ドミトリー2世を擁したポーランド・リトアニア共和国軍がロシア・ポーランド戦争を起こしてモスクワを占領したが、商人のクジマ・ミーニンと公爵ドミトリー・ポジャルスキーを中心として組織された国民軍が1612年にモスクワを奪回し、翌1613年にはミハイル・ロマノフツァーリに選出されてロマノフ朝が成立した。

フョードル・アレクセーエフの描いた赤の広場(1802年)

ロマノフ朝時代は国土の拡張にともないモスクワも成長を続けたが、ピョートル1世1712年にロシア北西端のネヴァ川河口にサンクトペテルブルクを建設したことで首都の座を譲った。しかしそれ以後も副首都の座を保ち続け、歴代のロシア皇帝はモスクワにて戴冠式を行うことを常とした。古い貴族階級は遷都以後もモスクワに居住する者が多く、西欧の思想を取り入れる窓口となったサンクトペテルブルクに対し、モスクワは古いスラヴ主義の思想の中心地となっていった。1755年にはロシア最初の大学であるモスクワ大学が開校した。このころ、ベールイ・ゴロドの城壁が撤去され、その跡地にプリヴァール環状道路が建設された。

1812年にはナポレオンのモスクワ侵攻(祖国戦争)を受け、街は灰燼に帰したが、その後すぐに復興された。19世紀にはゼムリャノイ・ゴロドの土塁も撤去され、その跡地はサドーヴォエ環状道路となった。1851年にはサンクトペテルブルクとの間に鉄道が開通し、その後も1862年にはニージニー・ノヴゴロド、1864年にはリャザン、1868年にはクルスク1870年にはヤロスラヴリへの鉄道が相次いで開業し[12]、ロシア中央部の商工業の中心としての地位は揺るぐことなく、農奴解放による労働力の流入や軽工業の発展もあいまって、19世紀末には人口は100万人を突破した。ソビエトによって1918年に首都機能が移転され、ソビエト連邦ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国(現在のロシア連邦)の首都となった。

第二次世界大戦大祖国戦争時には市の北西40キロの地点にまでドイツ軍ナチス・ドイツ)が軍事侵攻したものの、軍民一丸となった抵抗により陥落しなかったが、100万人近い死者を発生させた[13]。かつては冷戦による対立関係があったアメリカ合衆国ワシントンD.C.とともに、モスクワは超大国の首都として二分し、スターリンニューヨークの高層ビルに対抗意識を持ち、スターリン様式という建物を多く建築した。

ソ連崩壊後のロシア連邦においても引き続き首都であり、人口1000万を超えるロシアの政治経済の中心である。2002年には、 チェチェン共和国の独立派のテロリストが起こした人質事件で発生した。

2021年、SARSコロナウイルス2の感染が流行し、大量の死者を発生させた。ロシア政府はモスクワをロックダウンさせることを決定した[14][15][16]

2022年に開始されたロシアによるウクライナ侵攻中の2023年、ウクライナ軍やロシアの反体制派(自由ロシア軍団またはロシア義勇軍団)からと思われるドローン攻撃が頻繁に行われている[17][18][19]

また、2月にはウクライナ軍がモスクワにミサイル攻撃を行う予定だったものの、アメリカ合衆国連邦政府が自粛するように圧力を掛けたとの報道があったものの[20][21]、5月にはクレムリンがドローン攻撃[22][23][24]に見回られた。6月にはロシアの民間軍事会社ワグネル・グループ武装蜂起ワグネルの反乱)を宣言し、ロシア南部を占領した後、モスクワに進軍させた[25][26]。モスクワ市内は外出禁止令を発令した[27][28]

7月には高層ビル街のモスクワ・シティなどでも大きな爆発が発生した[29][30]シェレメーチエヴォ国際空港などの主要空港が一時閉鎖される事態にも陥った[31][32]。その後も、ウクライナ軍によるモスクワへのドローン攻撃が相次いでいる[33][34][35][36]

2024年にもロシア大統領選挙期間中に、ウクライナ軍からと思われるドローン攻撃が発生した[37][38]


  1. ^ a b 「朝倉世界地理講座 大地と人間の物語10 東ヨーロッパ・ロシア」p255 朝倉書店 2007年1月25日初版1刷
  2. ^ 世界の都市圏人口の順位(2016年4月更新) Demographia 2016年10月29日閲覧。
  3. ^ a b WMO averages”. 2011年1月12日閲覧。
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  11. ^ 「新版 ロシアを知る事典」内「モスクワ」項 平凡社 2004年1月21日発行
  12. ^ 「朝倉世界地理講座 大地と人間の物語10 東ヨーロッパ・ロシア」p244 朝倉書店 2007年1月25日初版1刷
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  15. ^ ロシアの新型ウイルス感染者が23万人突破 世界2位の多さに”. BBCニュース (2020年5月13日). 2024年3月22日閲覧。
  16. ^ ロシア感染止まらず、4万人超 モスクワは部分的にロックダウン”. 毎日新聞. 2024年3月22日閲覧。
  17. ^ https://www.facebook.com/mainichishimbun.+“モスクワで爆発や火災続発、70人以上が死傷 無人機攻撃も続く”. 毎日新聞. 2023年8月10日閲覧。
  18. ^ モスクワで爆発や火災続発、70人以上が死傷 無人機攻撃も続く(毎日新聞)”. Yahoo!ニュース. 2023年8月10日閲覧。
  19. ^ モスクワで爆発や火災続発、70人以上が死傷 無人機攻撃も続く(毎日新聞) - goo ニュース”. news.goo.ne.jp. 2023年8月10日閲覧。
  20. ^ 2月に「モスクワ攻撃」計画 米の自制要請で延期―ウクライナ:時事ドットコム”. 時事ドットコム (2023年4月25日). 2024年3月22日閲覧。
  21. ^ ウクライナ、2月にモスクワ攻撃計画か 米要請で中止”. 日本経済新聞 (2023年4月25日). 2024年3月22日閲覧。
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  23. ^ INC, SANKEI DIGITAL (2023年5月3日). “露大統領府に無人機攻撃 露側はテロと批判”. 産経ニュース. 2023年8月10日閲覧。
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  25. ^ ロシアでワグネル反乱 南部で交戦、モスクワへ北上か”. 日本経済新聞 (2023年6月24日). 2024年3月22日閲覧。
  26. ^ ロシアでワグネル反乱 軍と交戦、モスクワへ北上か”. 日本経済新聞 (2023年6月25日). 2024年3月22日閲覧。
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  29. ^ 「モスクワにドローン攻撃」ロシア国防省 プーチン大統領「停戦できない」”. テレ朝news. 2023年8月10日閲覧。
  30. ^ https://www.facebook.com/mainichishimbun.+“ウクライナ侵攻:ウクライナ侵攻 無人機、露ビルを攻撃 今月4度目 クレムリン西5キロ”. 毎日新聞. 2023年8月10日閲覧。
  31. ^ 攻撃継続中の情報も…ロシアに“最大規模”ドローン攻撃 モスクワで一時全空港閉鎖”. テレ朝news. 2023年9月2日閲覧。
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  33. ^ モスクワ市内 また“ドローン攻撃” ロシア国防省が発表”. TBS NEWS DIG (2023年8月12日). 2023年9月2日閲覧。
  34. ^ モスクワで相次ぐドローン攻撃 “見えない敵” 募る市民の不安”. 毎日新聞. 2023年9月2日閲覧。
  35. ^ ウクライナ ロシアへ「最大規模のドローン攻撃」か”. テレ朝news. 2023年9月2日閲覧。
  36. ^ 攻撃継続中の情報も…ロシアに“最大規模”ドローン攻撃 モスクワで一時全空港閉鎖”. テレ朝news. 2023年9月2日閲覧。
  37. ^ モスクワの空港にもドローン攻撃 - 【アベマ厳選】注目の最新&独自ニュースをチェック! - 厳選 (ニュース) | 無料動画・見逃し配信を見るなら | ABEMAhttps://abema.tv/video/episode/89-93_s10_p313312024年3月22日閲覧 
  38. ^ ロシア大統領選最終日 空港に攻撃”. Yahoo!ニュース. 2024年3月22日閲覧。
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