メンフィス・ジャグ・バンド 演奏と録音

メンフィス・ジャグ・バンド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/04 15:37 UTC 版)

演奏と録音

メンフィス・ジャグ・バンドは、仕事があればどこでも演奏したし、地元の公園などでバスキングも行なっていた。バンドは黒人たちばかりではなく、白人の間でも人気があった。バンドは全部で80件以上の録音を残し、最も初期のものはビクターから、次いでピカニニー・ジャグ・バンド(Picaninny Jug Band)名義でチャンピオン=ゲネット・レーベル(Champion-Gennett label)から、最後はオーケー・レコードOkeh Records)からレコードが発売された。ビクター盤のレコーディングは、メンフィスとアトランタで、1927年から1930年にかけて行なわれ、チャンピオン=ゲネット盤は1932年8月にインディアナ州リッチモンドで、オーケー盤に残された最後のセッションは1934年11月にシカゴで、それぞれレコーディングが行なわれた[6]。最後の録音の頃には、彼らの音楽スタイルは流行遅れの廃れたものとなっており、シェイドは、ミュージシャンたちをグループとして維持していくことが最早できなくなっていた。ただし、グループの一員だった、個々のミュージシャンの中には、1940年代までメンフィス周辺で活動を続けた者も多かった。1959年にフォークウェイズ・レコード (Folkways Records)から発売されたコンピレーション・アルバムThe Country Blues』には、メンフィス・ジャグ・バンドによる「Stealin', Stealin'」が収録された。

最後の録音

1963年、シェイドは、キャノンズ・ジャグ・ストンパーズ(Cannon’s Jug Stompers)の元リーダーで、当時79歳になっていたガス・キャノン(Gus Cannon)とともに、最後の録音を行なった。彼らは『Walk Right In』というアルバムを制作し、スタックス・レコードから発売したが、これは、ザ・ルーフトップ・シンガーズ(The Rooftop Singers)が、キャノンの曲「Walk Right In」をシングル・ヒットさせ、チャートの首位に送り込んだことが契機となっていた[7]。ウィル・シェイドがジャグ、メンフィス・ジャグ・バンドの元メンバーであるミルトン・ロビーがウォッシュボードを担当し、トラディショナルな13曲("Narration", "Kill It", "Salty Dog", "Going Around", "The Mountain", "Ol' Hen", "Gonna Raise A Ruckus Tonight," "Ain't Gonna Rain No More", "Boll-Weevil", "Come On Down To My House", "Make Me a Pallet on Your Floor", "Get Up In The Morning Soon", "Crawdad Hole.")と、キャノンのヒット曲「Walk Right In」を演奏した。このアルバムはキャノンの人生の様々な局面をめぐる音によるドキュメンタリーといった趣きのものであり、数枚に及ぶはずの企画の一部であった[8]

ディスコグラフィ抜粋

タイトル ジャンル レーベル
2001 The Best of the Memphis Jug Band バラード、ブルース Yazoo
2007 Memphis Jug Band: Double Album(日本盤) バラード、ブルース Airmail Japan

  1. ^ Santelli, Robert (2001). The Big Book of Blues. Penguin Books. p. 334. ISBN 0141001453 
  2. ^ Weissman, Dick (2005). Blues: The Basics. Routledge. p. 51. ISBN 0415970687 
  3. ^ a b Oliver (ed.), Paul (1989). The Blackwell Guide to Recorded Blues. Cambridge, MA: Blackwell Publisher. p. 45. ISBN 0-631-18301-9 
  4. ^ Garon, Paul and Beth (1992). Woman With Guitar:Memphis Minnie's Blues. New York: Da Capo Press. p. 29. ISBN 0-306-80460-3 
  5. ^ Charters, Samuel Barclay (1995). The Country Blues. Da Capo Press. p. 125. ISBN 0306800144 
  6. ^ All Music: Song List for Memphis Jug Band
  7. ^ All Music: Gus Cannon
  8. ^ Vladimir, Bogdanov (2003). All Music Guide to the Blues: The Definitive Guide to the Blues. Backbeat Books. p. 8. ISBN 0879307366 


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