ブート その他のブート手順

ブート

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/17 10:25 UTC 版)

その他のブート手順

他のプロセッサは異なるブートモードを持つ。

CPUマイクロコントローラのブート方法として以下のような技法がある。

  • TI OMAP や一部のDSPは、ブートROMを内蔵しており、単独で洗練されたブートシーケンスを実行でき、NANDフラッシュ、SD、MMCカードなど各種ソースからブートプログラムをロードできる。各種デバイスへの対応を回路で実現するのは困難であり、その代わりにブートROMを集積している。ブートROMであれば、複数のデバイスからのブートを試行することもできる。また、UARTSPIUSBなどから診断プログラムやブートローダをロードすることもできる。不揮発性メモリ上のブートソフトウェアが何らかの原因で消去されてしまった場合なども、この機能を使って復旧することができ、製造直後に不揮発性メモリにプログラムを格納するのにも使える。
  • JTAGなどのハードウェアデバッグ用インタフェースを使ってシステムの制御を獲得することもできる。そのようなインタフェースを使ってブートローダーを不揮発性メモリ(フラッシュなど)に書き込むことができる。また、デバッグ用インタフェースを使ってRAMに診断コードやブートコードをアップロードすることもでき、アップロードしたコードをプロセッサに実行させることができる。ブートROMを集積していないプロセッサで、不揮発性メモリの内容が消去された場合、これを使って復旧を図る。
  • 一部のマイクロコントローラはブート可能な不揮発性メモリにブートコードを書き込むことができる単純なプロトコルのインタフェースを用意している。製造時にそのようなインタフェースを使ってブートコードを不揮発性メモリに書き込む。システムをリセットすると、マイクロコントローラが自動的に不揮発性メモリ上のプログラムを実行開始する。例えば Atmel AVR などがこの方式である。この際のインタフェースはハードウェアで実装されていることが多い。ブートROMを持つプロセッサの場合、ブートROM上のソフトウェアでGPIOピンをそのようなインタフェースに使うこともできる。

多くのデジタルシグナルプロセッサ (DSP) には以下のようなブートモードがある。

  • シリアルモードブート
  • パラレルモードブート(HPIブートなど)

DSPはマイクロプロセッサやマイクロコントローラが別に存在するシステム設計ということが多く、それらがシステム全体の動作、割り込み処理、外部イベント処理、ユーザインタフェースなどを担当しており、DSPは信号処理だけを扱う。その場合DSPは別のプロセッサからブートすることができ、そのプロセッサを「ホストプロセッサ」とも呼ぶ。ホストプロセッサは「マスター」とも呼ばれる。DSPは自前のブート用メモリを持たないことが多く、必要なコードをホストプロセッサから供給してもらう必要がある。携帯電話、モデム、オーディオプレイヤー、ビデオプレイヤーなどがそのような構成を採用していることが多い。

FPGAチップは、電源を入れるとその回路構成情報を外部EEPROMからロードする。


注釈

  1. ^ EDSACの場合はロータリースイッチなどによるハードウェアから成る仕掛けからロードされた。
  2. ^ ハインラインは軍時代に無線を扱っているので、そちらからこの語を採った可能性がある。なお、邦題「時の門」は、The Time Gate と改題されて収録された作品集があり、そちらから採ったものと思われる。
  3. ^ : Nicolet Instrument Corporation
  4. ^ MBRに仕様にもよるが、アクティブなパーティションはプライマリパーティションである必要はない。しかし、いずれにしてもブートセクタに適切なコードがあることは必須である。
  5. ^ インテル版Macintoshでは、古いBIOSとの互換モードをファームウェアでサポートしている。
  6. ^ 一部制御ユニットには8台のデバイスしか接続しないが、16台以上を接続するものもある。実際、3830 DASD コントローラはオプションで32台のドライブをアドレッシングする。

出典

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