ドラえもん のび太の魔界大冒険 作品

ドラえもん のび太の魔界大冒険

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/04 14:53 UTC 版)

作品

短編でお馴染みの道具「もしもボックス」が登場する唯一の劇場版作品である。そして、それによって作られたIFの魔法世界(つまり現実世界のパラレルワールドに当たる世界)が、話の根幹となっている。

この作品における魔法は、科学文明に取って代わった文明の利器という存在という位置づけで登場する。したがって、魔法世界において科学は迷信だと伝わっている。また、宇宙で呼吸が可能など科学常識が否定されていることが前提であるため、現代社会で迷信とされている様々な事象が現実的となっている(後述)。

本作品の舞台となる魔法世界は「ドラえもんとのび太がもしもボックスにより訪れた世界」であるため、登場するレギュラーキャラクターの内、ジャイアン、スネ夫、しずか、先生、両親は魔法世界の住人である。ヒロインの満月美夜子は、劇場版ドラえもんで初の女性メインゲストキャラクターである。またドラミが初登場[注 2]する劇場版作品でもあった。

魔界でデマオンに1度敗れた後、魔法世界にするために使用したもしもボックスの使用を止めようとドラえもんとのび太がタイムマシンで過去に戻る場面があるが、これは魔法世界から科学世界(つまりパラレルワールドから現実世界)にタイムマシンで行き来が可能である前提で描かれている。

原作・映画ともに、作中に嘘の終幕が登場し[注 3]、最終ページだと騙されたアシスタントもいたという[2]

監督を務めた芝山によると前作の興行収入が前々作までよりも低かったことから本作の製作中に「つぎでお客さんが入らなかったら辞めてもらうよ」と上層部から釘を刺されていたという。結果今作は17億の興行的収入をあげ、成功を収めたことから芝山は引き続き映画ドラえもんの監督を担当することになった[3]

1979年に『テレビ朝日版ドラえもん』を立ち上げた同局編成開発部の高橋浩は、映画版の興行成績が落ちていたことから[4]、この年が自然保護憲章制定10周年と知り、ドラえもんが「かけがいのない地球の自然を大切にしよう。緑を守ろう」と言えば、子供たちが自然に対する認識を高めてくれるのではないか、そのためにはドラえもんを緑にしたいと考えた[4]。周りからは反対されたが、藤本に趣旨を説明し快諾されたことから[4]、5周年記念および自然保護憲章制定10周年として、ドラえもんのカラーをグリーンにしたグリーンドラを前面に出した自然応援キャンペーン「僕たち地球人」が同時に行われることになった[4]。来場者にグリーンドラ缶バッジを配った[4]。後年の作品でも定番となる「入場者全員プレゼント」は、これが最初である[5]。また当時上映された映画では、グリーンドラとのび太が出演した短編広告アニメが上映された[注 4]

映画はドラえもん (1979年のテレビアニメ)のスタッフによって作られた。シリーズにおいて初めてCGを使用した。本作で使われたCGの一部は、1984年4月6日からのアニメOPにも使われた。


注釈

  1. ^ 扉1頁+本編188頁。
  2. ^ 担当声優の横沢啓子は、第1作の『のび太の恐竜』でピー助などの声を担当している。
  3. ^ 映画ではのび太が「このままじゃ、終われないよ」と突っ込みを入れていた。
  4. ^ ビデオおよびDVD版には未収録。
  5. ^ ビデオソフト化時に差し替えが行われた本編中2箇所の『風のマジカル』インストゥルメンタルBGMは劇場公開時のまま。エンディング曲自体も『風のマジカル』であったが、曲が短縮され、映像は局側で作られた本編の再編集映像に電子テロップでスタッフロールを重ねたものが使用された。
  6. ^ ドラえもんが空飛ぶじゅうたんを見てのび太を起こしに行く場面と、のび太としずかが一緒にホーキングする場面。
  7. ^ ただし、原曲をストリングアレンジしたBGM(エピローグなどで使われている)については、劇場公開時のままの形で使用されている。
  8. ^ 石になったドラえもんは並行世界(過去)ののび太に助けを求め、その世界ののび太がその石像が石にされた別の世界の自分達だと推測するも、並行世界の自分がそれを否定してしまう。
  9. ^ クレジット表記では「悪魔隊長」とも表記。
  10. ^ エンドロールでは松井忠重と表記

出典

  1. ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』(キネマ旬報社、2012年)430頁
  2. ^ GIGAZINE 藤子・F・不二雄ミュージアムの「ドラえもん×コロコロコミック 40周年展」は大長編ドラえもん全作品を満喫できる
  3. ^ INTRO”. nippon.com (2010年1月25日). 2020年1月14日閲覧。
  4. ^ a b c d e 高橋浩『視聴率15%を保証します! あのヒット番組を生んだ「発想法」と「仕事術」』第4章 異例ずくめのアニメ『ドラえもん』の船出 pp.132 - 134(小学館新書 2014年)
  5. ^ 大山のぶ代『ぼく、ドラえもんでした。 涙と笑いの26年うちあけ話』小学館、2006年6月20日、92頁。ISBN 978-4-09-387654-4 
  6. ^ Amazon.co.jp: 映画ドラえもん のび太の魔界大冒険を観る | Prime Video






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