トニ・クロース
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/04 23:53 UTC 版)
クラブ経歴
幼少期
ドイツ北部の都市グライフスヴァルトで生まれたクロースは、地元クラブのグライフスヴァルダーでユースチームを指導する実父の下でサッカーを始め、その後父がハンザ・ロストックに職場を変えるとクロースも弟フェリックスと共にロストックへ移籍した[3]。
リヴァプールFCやレアル・マドリード、ユヴェントスFC、ACミラン、アヤックスなども参加したイタリアでの16歳以下の大会で大きな注目を浴びた。2006年、チェルシーFCなどからの誘いを断り、毎年1軍がロストックで遠征試合を行なうことを条件にバイエルン・ミュンヘンのユースに加入した[3]。
バイエルン・ミュンヘン
プロ契約したクロースは最初はアマチュアリーグでプレーしていたが、間もなくプロと一緒に練習を始めた。
ブンデスリーガデビューとなった2007年9月26日のエネルギー・コットブス戦では、わずか18分間の出場で2アシストを記録する衝撃のデビューとなった。更にUEFAカップデビューとなったアウェイのレッドスター・ベオグラード戦では1点リードされた状況の81分に登場し、1ゴール1アシストの活躍で勝利に導いた。バイエルンは、マスコミにクロースのインタビューを無期限に禁止するなど成長をサポートした[3]。
レバークーゼンへのレンタル移籍
しかし、バイエルンのレギュラー陣に割って入るには至らず、より出場機会を得るために2009年1月より2010年6月までのレンタル移籍でバイエル・レバークーゼンに加入した。2009年4月18日のVfLヴォルフスブルク戦でブンデスリーガ初得点を記録。シーズン終了後にはバイエルンと2010年まで契約を延長し、またレヴァークーゼンへのレンタルも2010年7月までに延長された。2009-10シーズンは開幕から主力としてプレーし、シュテファン・キースリングとともにゴールを量産し、レヴァークーゼンの首位ターンに貢献した。前半戦最終節である2009年12月22日のボルシアMG戦後、バイエルンの名誉会長でもあるフランツ・ベッケンバウアーは、ビルト紙にて「トニ・クロースはここまでの最優秀選手だ。私は常に彼が新しいバラックになると感じていたんだ。彼は予想以上のプレーを見せているよ」と称賛した[4]。そのシーズンは、キッカーによるブンデスリーガのシーズンベストイレブンに選出された。
バイエルン復帰
バイエルン復帰後、期待通りの成績を残せなかったが、レヴァークーゼン時代の監督だったユップ・ハインケスがバイエルンの監督に就任すると中心選手の一人に成長した。
2012-13シーズンはハビ・マルティネスとともに中盤で重要な役割を担い、史上最速28節終了時点でのリーグ優勝を達成。他にもクラブはDFBポカールやUEFAチャンピオンズリーグのタイトルも獲得したが、クロースは怪我のため両大会の決勝に出場することは出来なかった。
翌シーズンも2014年3月25日のヘルタ・ベルリン戦で得点を挙げ、3-1での勝利に貢献。同試合でバイエルンはリーグ優勝を決め、ブンデスリーガ連覇を果たした。一方で、バイエルンとの契約延長交渉が給与面などで難航、クラブやジョゼップ・グアルディオラ監督との関係が悪化していった[5]。
レアル・マドリード
2014年7月17日、6年契約でレアル・マドリードへの移籍が決定[6]。背番号は8番。公式戦初出場となったUEFAスーパーカップのセビージャFC戦では、両チーム通じてトップとなるパス成功率96%を記録した[7]。入れ替わるようにバイエルンへ移籍したシャビ・アロンソと同じ中盤の底のポジションでレギュラーに定着し、11月9日の第11節ラージョ・バジェカーノ戦で、移籍後初ゴールを含む1得点2アシストの活躍をした[8]。移籍初年度は、リーガ・エスパニョーラ所属クラブの選手で唯一シーズン総パス成功数が3000本を超えており、シーズンを通して92%のパスを成功させた[9]。
2015-16シーズン、レギュラーとしてチャンピオンズリーグ優勝に貢献、二つのクラブで優勝を経験した初のドイツ人プレーヤーとなった[10]。2016年1月3日、バレンシアCF戦でパス成功率100%を記録した。
2016年10月12日、レアル・マドリードと2022年までの新契約を結んだことが発表された[11]。同シーズンは、リーガ優勝とともに史上初となるチャンピオンズリーグ連覇を達成した。2017年から始まったIFFHS選出の男子サッカー年間ベストイレブンに選ばれた[12]。
2018-19シーズンのリーグ開幕戦となるヘタフェCFでは118本のパスのうち116本を成功させ、100本以上のパスを記録した選手の中でレアル・マドリード史上最高のパス成功率を記録した[13]。12月にはFIFAクラブワールドカップを再び獲得。通算5度の同タイトル獲得は歴代最多であり、過去6年間で5度優勝した[14]。2019年5月、レアル・マドリードとの契約を2023年6月まで延長した[15]。
2019年10月23日、UEFAチャンピオンズリーグのガラタサライSK戦でCL通算100試合目の出場を果たした[16]。2020年1月8日、スーペルコパ・デ・エスパーニャ準決勝のバレンシア戦で、コーナーキックから直接ゴールを挙げてチームの決勝進出に貢献した[17]。2度目となるリーガ優勝を達成し、自身も2016-17シーズン以来2度目となるUEFA選出ラ・リーガベストイレブンに選ばれた[18]。
2023年6月、クラブから2024年6月30日までの契約延長合意が発表され、レアル・マドリードでの10シーズン目を迎えることが決まった[19]。
- ^ a b c “クロース”. レアル・マドリードCF. 2020年2月6日閲覧。
- ^ トーニ・クロース - Qoly/コリサカ
- ^ a b c d e 神童トニ・クロースの衝撃。 NumberWeb 2007年11月9日
- ^ “「トニ・クロースは新しいミヒャエル・バラック」”. goal.com (2009年12月22日). 2020年12月19日閲覧。
- ^ “マンU移籍期限直前で大物獲得か。バイエルンのクロース、42億円で獲得の可能性”. livedoor.com (2014年1月31日). 2015年4月16日閲覧。
- ^ クロースのマドリー移籍を両クラブが発表 Goal 2014年7月17日
- ^ レアルMFクロースを同僚が称賛…デビュー戦でパス成功率96%を記録 soccer king 2014年8月15日
- ^ “Tekkers! Real Madrid’s Toni Kroos scored a beautiful golazo in win over Rayo”. 101greatgoals.com. 2015年10月26日閲覧。
- ^ レアルのクロース、今季パス3000本以上で成功率はなんと92%! soccer king 2015年5月13日
- ^ “Toni Kroos focused on Euros 2016 after Real Madrid UCL win”. espnfc.com (2016年5月30日). 2017年5月14日閲覧。
- ^ “Official announcement: Kroos”. realmadrid.com (2016年10月12日). 2016年10月12日閲覧。
- ^ “UEFA公式サイトが今季のラ・リーガベストイレブンを発表。王者レアルからは5人”. iffhs.de (2017年12月12日). 2020年12月19日閲覧。
- ^ 柴崎岳と対峙したトニ・クロース、レアル史上最高の『精度』を記録 ゲキサカ 2018年8月20日
- ^ クロース、クラブW杯最多タイトル獲得選手 realmadrid.com 2018年12月22日
- ^ Rマドリードがクロースと契約延長 23年6月まで 日刊スポーツ 2019年5月21日
- ^ “決勝点のレアルMFがCL通算100試合出場! ドイツ人史上5人目の達成者に”. フットボールチャンネル (2019年10月23日). 2020年2月5日閲覧。
- ^ “レアル、22年ぶりの歴史的一撃! MFクロースの芸術的“直接CK弾”にスペイン震撼”. Football-zone (2020年1月9日). 2020年2月5日閲覧。
- ^ “UEFA公式サイトが今季のラ・リーガベストイレブンを発表。王者レアルからは5人”. フットボールチャンネル (2020年7月23日). 2020年12月19日閲覧。
- ^ クロースがレアル・マドリーと契約延長で合意! 来季は在籍10シーズン目 ゲキサカ 2023年6月21日
- ^ 2得点でMOMのクロース「まだ1試合残っている」(ゲキサカ 2014年7月9日)
- ^ “Top assisters at Qatar 2022”. FIFA. 2023年3月16日閲覧。
- ^ 2014 FIFA World Cup Brazil™ - Statistics - Castrol Index(FIFA 2014年7月14日)
- ^ クライフがクロースを絶賛 goal.com 2014年7月8日
- ^ クライフ氏、C・ロナのバロンドール受賞に異論「クロースが獲得すべき」 soccer king 2015年1月20日
- ^ ドイツが王者の意地見せた!クロースの劇的FK弾で逆転、初白星で突破に希望 サッカーキング 2018年6月24日
- ^ “デビューから10年…クロース、ドイツ代表100試合出場達成”. web.gekisaka 2020年10月15日閲覧。
- ^ “トニ・クロース、ドイツ代表からの引退を表明”. キッカー日本語版 (2021年7月2日). 2021年7月2日閲覧。
- ^ “クロース、ドイツ代表復帰を発表 「救世主ではない」と強調” (英語). AFP (2024年2月23日). 2024年3月23日閲覧。
- ^ “クロース3年ぶり復帰のドイツが開始7秒弾などでフランスに完勝! レ・ブルーは対ドイツ連敗”. 超サッカー (2024年3月24日). 2024年3月24日閲覧。
- ^ 5年間もパス成功率“90%以上”を保つ精密機械 レアルMF凄すぎる250試合 excite.ニュース 2019年12月2日
- ^ レアルの中盤支配するロングパスの魔術師 成功率“86.5%”のマエストロ excite.ニュース 2020年2月7日
- ^ Real Madrid's meticulous midfield metronome marca 2014年11月10日
- ^ Football transfer rumours: Real Madrid's Toni Kroos to Chelsea? theguardian 2016年9月4日
- ^ これが達人クロースの「技」!天下一品のインサイドキックを見逃すな livedoor.com 2016年8月28日
- ^ シャビが指名した後継者はまさかの宿敵・レアルにいた!「彼はマドリーのエンジン」 theworldmagazine 2017年5月25日
- ^ “現代版”スコールズ パスの名手が語る自分と似たゲームメイカー the WORLD 2020年5月13日
- ^ スコールズ氏が思う自身に似た現役選手は?「レアル・マドリーに2人いる」 Yahoo!JAPANニュース 2020年5月13日
- ^ “あの名手スコールズ氏が”年下の選手”を手本にしていた! 「彼のプレイを見て参考にしようと……」|theWORLD(ザ・ワールド)|世界中のサッカーを楽しもう!”. www.theworldmagazine.jp. 2022年1月18日閲覧。
- ^ “クライフがクロースを絶賛 | Goal.com”. www.goal.com. 2022年1月18日閲覧。
- ^ マン・U入りに近づいていたクロース「もしもはないがこれは言える。行っていたら…」 GOAL.com 2022年5月5日
- ^ クロース、レアル移籍の裏話を語る「マンUとの契約は完了していた」 FootballTribe 2020年2月28日
- ^ トニ・クロースを溺愛するジダン監督「彼を指導できて本当に幸せ」 講談社ゲキサカ 2020年9月2日
- ^ クロース、契約満了後の2022年に引退か「サッカー界を去る良い年齢」 サッカーキング 2016年11月29日
- ^ 引退までそう長くはない?…30歳を迎えたクロース「38歳までプレーすることはない」 サッカーキング 2020年2月7日
- ^ Bayern-Star Toni Kroos ist Papa Focus Online 2013年8月14日
- ^ トニ・クロースの素顔とは?弟フェリックスが明かす知られざる一面/インタビュー goal.com 2019年7月29日
- ^ あのサッカー選手も絶賛!「フェデラーは史上最高のアスリート」 the tennis daily 2020年2月21日
- ^ クロース、マルセロらブラジル人選手にはきつい新年の挨拶ツイート goal.com 2018年2月27日閲覧
- ^ “THE WORLD’S BEST PLAYMAKER 2014”. iffhs.de (2015年1月18日). 2015年4月16日閲覧。
- ^ “UEFA Champions League squad of the season”. UEFA.com. Union of European Football Associations (2015年6月9日). 2015年6月9日閲覧。
固有名詞の分類
- トニ・クロースのページへのリンク