デミウルゴス 概説

デミウルゴス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/11 00:53 UTC 版)

概説

ギリシア語では「職人工匠」というような意味である。プラトンは物質的世界の存在を説明するために、神話的な説話を記した。この言葉と概念はグノーシス主義において援用され、物質世界を創造した者、すなわち「造物主」を指すのにデミウルゴスの呼称を使用した。

神学的思想

『ティマイオス』に記されている神話は、超越的な善なる創造神であるデミウルゴスが、自身の似姿としての宇宙を創造したというものであるが、この考え方は、ユダヤ教の思想家であるアレクサンドリアのフィロンや、異端ともされたキリスト教思想家のオリゲネスに影響を与えた。『ティマイオス』に記されている比喩的な寓話は、『旧約聖書』と調和性を持つのではないのかと彼らは考えた。

グノーシス主義

他方、グノーシス主義創造神話においても、ウァレンティノスの系統の世界起源論では、デミウルゴスは「造物主」で、まさにイデア世界に相当するプレーローマアイオーンを模倣して、この世と人間を創造したことになる。

しかし、グノーシス主義の思想や世界観に明らかなように、この世と人間は、いかに考えても不完全な存在にしか見えない。イデアの模造であるとしても、それが完全であるならば、この世も人間も完全に近いか完全な存在であるはずである。然るに、経験や現象が教えることは世界と人間の不完全さであり、「」の充満するこの世である。

そうであれば、デミウルゴスの創造が不完全なのであり、イデアの模造がかくも不完全で、悲惨で崩壊する儚いものである根拠は、模倣者の能力の欠如と、愚かさにあるとしか云いようがない。

不完全を完全にしていくのが、今のこの世の姿である。現在も創造の最中である、ということ。








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